2012年02月
2012年02月29日
うるう年
今日は、4年に1度のうるう年です。
私の同門に、この日に入籍した方がいます。
その夫婦は、4年に1度の記念日をさぞかし盛大にお祝いしていることでしょう。
おめでとうございます。
さて、今年は「うるう年」と「うるう秒」が重なる年です。
おまけに、旧暦では「うるう月」が入る年です。
これはかなり珍しいことなのではないでしょうか。
この2月29日は、実はとても有り難い日です。
私たち能楽師は、舞台のお仕事の合間にそれぞれのお稽古場を廻ってお弟子様のお稽古をいたします。
私は、個人稽古を「深川・沼津・富士・富士宮」の4か所。団体稽古を「江戸川・銀座・町田・深川・浦安」と5か所6クラス(銀座は水曜日と木曜日で2クラス)のお稽古場でお弟子様のお稽古をさせていただいております。
それぞれ月に2~3回ずつお稽古しております。
私の活動のメインは舞台活動です。当然、舞台のお仕事やその申合は最優先にスケジュールを組みます。
その合間に、上記のお稽古場を廻る訳です。
毎月、ジグソーパズルのように頭を悩ませます。
例えば、午前中に申合がある日は午後からの教室を組み合わせ、午後に催しがある日は夜の教室を入れます。
夜の公演に出演するときは、夕方までお稽古します。
毎月、効率よくお稽古をこなせるように、散々頭を悩ませます。
一番大変なのは、春秋の能繁期。
舞台の仕事が忙しいので、お弟子様のお稽古はなかなか都合がつかないことがママあります。
また、5月と8月と、12月と1月もたいへんです。
5月はゴールデンウィークが入るので、前半の1週間はお稽古日を設定できません。
8月もお盆休みで中旬は駄目ですし、年末年始もお稽古日を設定することは事実上無理です。
30日ないしは31日しかない1日を、いろいろ組み合わせてスケジュールを組むのは、毎月けっこう頭を悩ませます。
実は、2月もなかなかたいへんな月です。
何といっても、ひと月28日しかありません。
30日あってもパズルを組み立てるのは大変なのに、28日しかないので、結構頭を悩ませます。
だから、29日あるうるう年の年は、1日分余裕があってとても助かります。
そう思うと、つい恨み節を言ってしまいます。
何で、2月は28日しかないのでしょう?
昔聞いた話ですと、元々2月は29日で、8月が30日だった。
それに激怒したのが8月生まれの初代ローマ皇帝のアウグスタス。
「どうして、俺の産まれた月は30日しかないのだ」
そう言って、29日あった2月から1日を8月に移動したそうです。
私も8月産まれなので、アウグスタスの意見には賛成いたします。
でも納得できないのは、ただでさえ29日しかなかった2月から1日持ってきたことです。
私がアウグスタスなら、31日ある7月から8月へ1日移動します。
それによって、必要最低限の変更で済んだはずです。
1年は365日なのだから、基本的にひと月は30日として、どこか5つの月で31日にする。
これで良いと思ううですけどねえ。
なぜこうなっているのでしょう。
毎年、2月の編成に苦労する身から少々恨み事を言わせてもらいました。
2012年02月26日
神遊 15周年記念公演
今日は、「神遊15周年記念公演」
私は、「木曾」の立衆を勤めた後、「船弁慶 重キ前後野替」の地謡。盛りだくさんの一日でした。
一噌隆之師・柿原弘和師・観世新九郎師・観世元伯師・観世喜正師の5人が結成する神遊も、15周年を迎えました。
この15年で、50回近くの公演を重ねてきたスーパーグループです。
今日もめでたく超満員。
「木曾」は、三読物の一つの重い習いの曲。立衆は40分ほど舞台上で座り続けなければならないツライ役です。
その後が、「船弁慶 重キ前後之替」
今回は、特に「船中之語」と「舟唄」の小書つき。
「船中之語」はワキ方の重い習いの語りで、「舟唄」は狂言方の重い習い。
「重キ前後之替」は、シテ方の重い習いですので、今回の「船弁慶」はスペシャルな能でした。
それぞれを、宝生閑師、野村萬斎師、観世喜正師が大熱演でした。
地頭は、観世銕之丞師です。地謡を謡わせて頂いて、たいへん勉強になりました。
「船弁慶」は、6月24日の「桑田貴志 能まつり」で私も勤めさせて頂きます。
今回、素晴らしい「船弁慶」に接して、気持ちが奮い立ちました。
2012年02月23日
エデンの園 能の講座
今日は、松戸にある「松戸ニッセイエデンの園」にて能の講演をさせて頂きました。
連日のハードスケジュールで、全く準備が追いつかない状態です。
学生の合宿から火曜の夜帰ってきて、懸命に資料作り。
昨日は、一日中お弟子さんのお稽古をしていたので、全く準備が出来ませんでした。
何とか作った資料を昨日メールで送って、今日は行きの車の中で、お話する内容の整理。
色んなところで、お話させて頂き機会が増えたので、馴れたのでしょうか。
今日も、何とか講演を勤めることが出来ました。
この「ニッセイエデンの園」は、いわゆる老人ホームです。
病院や、フィットネスセンター、カルチャースクールまで併設している、巨大な老人福祉施設です。
この高齢化社会、元気で好奇心旺盛な高齢者がたくさんいらっしゃいます。
約100名ほどの参加者の方たちは、とても活発。
楽しく講演させて頂きました。
学生の合宿から、老人ホームまで。
能楽師の活動範囲は、多岐に渡ります。
2012年02月21日
明治大学能楽研究部 春合宿
場所は千葉の岩井海岸。冬場の海岸は、驚くほど寂しい。
部屋に閉じこもって、謡ったり舞ったりするには絶好の環境です。
月曜日の早朝に出発して、午前10時頃から学生たちに稽古するつもりで早起きしました。
ところが・・・
声が出ません。連日の声の酷使で声がれした模様です。
このまま合宿に行って、学生たちを怒鳴っていたら大変だ。
午前中のお稽古は、お休みさせて頂いて、急遽近くの耳鼻科へ出かけました。
お医者様はひと声。
「喉が腫れていますねえ。でも声帯は大丈夫です。あまり声を出さずに安静にしていてください」
「いや、声を出さないわけにはいかないのです」
実は、かかりつけの耳鼻科が予約が取れなかったので、初めて行く耳鼻科だったので、私の職業を知らないお医者様だったのです。
そこで、自分の仕事のことを話すと、
「では、点滴をしましょう。抗生物質を血液に入れると、即効性があります」
なんと点滴です。
病室のベットに横になり、じっとしていると・・・・
ZZZZZ・・・・
「終わりましたよ」
看護婦さんの声で目が覚めました。
「点滴終わりましたけど、もうチョット寝ていきますか?」
よっぽど気持ちよさそうに眠っていたようです。
ずっと寝ていたかったのですが、そうもいきません。学生の合宿へ急いで出かけました。
点滴ってすごいですね。
朝には全然出なかったこえが、昼には回復していました。
夜には全快です。
せっかくなので、学生たちと全開で飲みました。
ただ次の日、寒い民宿で一日中声出していると、また声がかすれてきました・・・
学生たちに指導していると、つい昔を思い出して熱が入っちゃうんですよねえ。