2010年11月

2010年11月20日

「熊坂」御礼

昨日、「熊坂」無事終わりました。

とにかく、疲れました。
終わった後は、しばしば放心状態・・・

能の後に、こんなに疲れたのは「道成寺」の時以来かなあ。
「石橋」の後も、こんなには疲れませんでした。

「熊坂」は大変だとは、聞かされていましたが、ここまでとは・・・

今回、しんどかったポイントをまとめてみます。

まず、前場も後場も謡が多い。
分量もさることながら、天下の大泥棒の威厳を出すため迫力満点で謡います。
前場は角帽子、後場は長範頭巾で耳が覆われているので、自分の声が良く聞こえないので、声が出ているのか分からなく、つい大声で怒鳴ってしまう羽目になります。(耳をふさいで会話してみてください。きっと大声になりますから)
さらに、後場に着ける長霊見は、口に穴が開いていないので、声がこもります。
空気が抜けないので、酸欠状態となってしまいました。後半動きまわっていて、本当に疲れました。

後場で、鬘桶にかけている時、ずっと薙刀を持っているのですが、これがとにかくつらい。
薙刀は、立てて持てばそんなに重量は感じないのですが、鬘桶にかけている時は、斜めに持たなければなりません。この時は、薙刀の質量がモロに右手にかかってきます。
重くて重くて、悲鳴をあげそうでした。
鬘桶から立って、薙刀をたてて持った時、心の底から安堵しました。

後場の激しい動きは、体力的に限界を超えます。
なにせ、それまでのしんどい謡と、薙刀の重さで、体が悲鳴を上げているのに、そこから飛んだり跳ねたりの大活劇です。
相変わらず、耳はふさがれ口も覆われ酸欠状態。
手は汗ビッショリで、少しでも気を抜くと薙刀が手から離れそうです。

最後、「次第次第に重手は負いぬ」と謡いながら、
「本当に重手だあ・・ 辛いよお・・」
と、心の底で悲鳴を上げていました。


そんなこんなで、とっても疲れた舞台でした。
だからこそ、やりきったという充実感があります。

体力のあるうちに、また勤めたいなあ。

そう思わせる能ですね。



kuwata_takashi at 23:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年11月18日

「熊坂」 申合

本日、「熊坂」の申合終了。
本番は明日です。

「熊坂」って、本当に体力というか筋力の必要な曲です。

今日は、「熊坂」申合のあと素人会の申合のお手伝いをして、
その後江戸川と銀座のお稽古場でお稽古。

明日に備えて休みたいのですが、東京の素人会が来週に控えているので、お弟子さんのお稽古もおろそかにできません。

明日はさすがに、全ての仕事をキャンセル。
「のうのう能」は夜始めですので、昼間はのんびり出来ます。

申合で出てきた問題点などを、ゆっくり調整しながら、とにかく体を休めて、舞台に臨みたいと思います。

よし、明日は大暴れするぞ。


kuwata_takashi at 23:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年11月15日

茉莉会 発表会

昨日は沼津御用邸にて、茉莉会発表会がありました。

茉莉会とは、私が指導しているお弟子様の会です。


沼津御用邸という、素晴らしい会場で、今年も賑やかに行われました。

毎年、お弟子さんの成長ぶりを見るのは楽しいものです。

やはり目標があると、皆様お稽古の時の目の色が違いますね。

今年は久しぶりに開催しました「御用邸能楽サロン」の方々も参加しました。

今回の能楽サロンの参加者は、皆様とても仲が良く、和気あいあいと楽しい雰囲気でした。

昨日も緊張した面持ちながら、フレッシュな謡と仕舞を披露なさいました。

これで第1ラウンド終了です。

今週の金曜日には、「のうのう能」で能「熊坂」を舞います。

来週は、東京の茉莉会発表会。

忙し過ぎて、日記の更新が滞っています。


kuwata_takashi at 17:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年11月08日

凱旋

昨日は、岡山県笠岡市にて能公演でした。

国民文化祭の関連イベントで、第一部が全国から集まった能楽愛好者の発表会。
第二部が、玄人の能楽師による演能でした。

私は、舞囃子「養老」をさせて頂きました。

岡山県笠岡市は、私の故郷広島県福山市の隣の市です。

笠岡は私の祖母の実家があるところで、親戚も多くいます。

そんな地元で、舞囃子をさせて頂いて、たいへん光栄です。



先週、祖母が亡くなりました。
数えで100歳の大往生でした。

このタイミングに、祖母の出身地の笠岡で「養老」を舞う。

はからずも、老いを養った祖母への手向けとなりました。


kuwata_takashi at 16:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0)