2008年12月

2008年12月31日

御礼2008年

今年も終わりです。色んなことがありました。

春には、深川の地に引っ越ししました。
念願の能舞台付きの自宅を建てて、深い近所付き合いの中、下町ライフを楽しんでおります。

5月に観世喜之ご夫妻・喜正ご夫妻をお招きして、「深川能舞台舞台披き」を行いました。
以来、自分の稽古を始めとして、私の社中のお稽古、明治大学能楽研究部の稽古などに使っています。
今後、この舞台を発信源にして能の良さを広めていければ良いなあと思っています。

今年は、例年になくシテ(またはそれに準ずるお役)が多い年でした。

1月、学生能「羽衣」
5月、緑泉会「芦刈」
7月、若竹能「忠度」
8月、小金井薪能 新作能「黄金桜」のツレ
9月、沼津自主公演「石橋」
10月、九皐会「放下僧」ツレ(殆どシテのような役)
11月、のうのう能「紅葉狩」
    鎌倉県民能「猩々乱」
12月、九皐会「春日龍神」

なんと9番もありました。
これは、私くらいの年代の一代目の能楽師にしては、異例の多さです。
「何だ、ダメじゃん」
と言われないよう、歯をくいしばって頑張りました。


また、今年は海外公演に2回行きました。
6月にモナコ、10月はインドネシア。
海外公演は大変ですが、海外ではこの日記の記事が増えることを見ても、やはりヒマなのだと思います。

何といっても、特に10月に2週間日本を空けたから、秋のスケジュールは大変なものでした。
まさに、分刻みのアイドル歌手なみ。一日2か所・3か所は当たり前。
9月から12月まで、完全オフの日は3日だけでした。
そのうち1日は、この日記に「深川の休日」としてアップした9月2日。あとの2日は、12月30日と31日、つまり昨日と今日。
いやあ、良く働きました。

8月は、深川最大のイベント。「深川八幡祭り」の本祭りがありました。
私は、神輿にガムラン演奏にと大忙し。
燃えた夏でした。


そして、今年最大に悲しかったことは、師匠の奥様とのお別れです。
思えば、奥様はこの自宅舞台の舞台披きに来ていただいております。
その時はとても元気に見えました。
私の家に来ていただいた、直後が最初の入院だったそうです。舞台披きが少しでもずれたら出かけられなかったと奥様はおっしゃっておられました。
舞台の上で、奥様と撮った写真があります。今は悲しくてなかなか見れませんが、大事にしたいと思います。

いろいろあった2008年ですが、もう終わり。
一年、どうも有難うございました。

来年は、春には「道成寺」
秋には、私の社中の素人会の5周年記念大会があります。

完全に勝負の年です。
ガンバルゾーっと。


at 20:55|Permalink

2008年12月22日

3日間

今日は、同門の能楽師の結婚式。
昨日は法事で行ったホテルオークラへ、また行きました。

一昨日は、九皐会100周年記念別会。
昨日は、奥様100ヵ日法要。
今日は、結婚式。

3日間毎日、同じ格好でした。
すなわち、紋付袴だった訳です。

仕事にも、仏事にも、慶事にも着れる、黒紋付きって、とっても便利なアイテムですね。


at 22:57|Permalink

2008年12月21日

百日 法要

今日は、矢来の奥様の百日法要の日でした。

師走とは思えないほどのポカポカ陽気の中、法要は粛々と行われました。

奥様の遺影を見ると・・・
まだ涙がにじみ出ます。

今日は、奥様の事を色々思い出しました。
奥様に教えられたことは、ここではとても語り尽くせません。

その教えを、肝に銘じて頑張っていきたいと思います。


at 23:13|Permalink

2008年12月20日

九皐会 百周年

イベント続きだったこのひと月も、大詰めです。

今日は、「九皐会百周年記念 別会」

10時に「翁」が始まって、「養老 水波ノ伝」「正尊」「羽衣 彩色ノ伝」「百万 法楽ノ舞」「鷺」と続いて、終了したのは、7時前。

いやあ、マラソンのような一日でした。


それにしても、九皐会 百周年

凄いことです。


百年もの間、九皐会の先輩たちが築き上げた伝統を受け継ぎ、より発展させるのが、我々の務めです。

百周年に立ち会えたことを誇りに思います。

150周年は・・・

無理ですね。


at 21:06|Permalink

2008年12月15日

「春日龍神」 御礼

昨日、九皐会にて「春日龍神」を無事に勤めました。
ご来場の皆様、どうも有難うございます。


やっと終わりました。
いやあ、とにかくホッとしました。

何せ、この1ヶ月は身に余るシテ続き。
おかげさまで、良い勉強をさせて頂きました。


「春日龍神」、大変な能でした。

前シテと後シテは、別人格ながら、同じく春日明神の使いです。
神々しく演じなくてはなりません。

前場の構成はシンプルなだけ、脇能のような真っ直ぐさが求められます。
なかなか役作りに苦戦しました。
後場は、龍神として思う存分暴れ回れば良い役です。
とは言っても、ところどころでやはり気を使います。

特に、能シテの登場からの地謡との掛け合いは、能の中でも、拍子当たりの複雑さは屈指のものです。

全体的には、まあ楽しく舞えたかなぁと思います。

実は「春日明神」、私の実家の住所が春日町という地名ということもあり、昔から思い入れのある能です。
奈良の春日大社とは全く関係ありませんが、私の町内にも春日神社があり、「春日龍神」の詩章にある通り、「年始より四季折々のご参詣」に出かけた神社でした。

また、是非やりたいと思います。


ところで、昨日は朝起きるとあいにくの雨。

「今日は、シテだぁ。がんばるぞー」
と目を覚ましたら雨。

やはり良い気分ではありません。

でも、ここでクサってもしょうがありません。
何事もプラス思考が、信条の私は、こう思うことにしました。

「ようし、私の龍神パワーで、雨が降ってしまったぜ。今日は、全開で頑張るゾー」

龍神は、古来より雨を降らせる神様として知られています。
「一角仙人」という能では、龍神を閉じ込めたばかりに雨が降らなくなります。

「ようし、私の龍神パワーで、もっとザーザー降りにしてやるぜ」

そう思うと、雨も楽しいものです。

私は、自分を鼓舞するつもりで、
「雨よもっと降れ!」

と心の中で叫んでいました。


ところが……
雨は、次第に止み、「春日龍神」が始まる頃には、すがすがしい好天となりました。。。


何だか、とっても複雑な気分でした。


at 23:00|Permalink