2008年10月

2008年10月18日

ソロから 1

混乱のジャカルタを乗り越えて、次の公演地・ソロへ到着しました。

どういう訳か、ソロではネットにはつなげたのに、ブログサーバーに接続出来ませんでしたので、アップが遅くなってしまいました。

ソロとは中部ジャワの中心地で、昔王宮があったところです。日本で言うと古都・奈良という感じです。
何といっても、あのジャワ原人の化石が発掘された場所です。
つまり、地球上でも最も早く人類が存在していたところという訳です。

このソロで素晴らしい体験をしました。
ワーヤン・オランの鑑賞です。

ワーヤン・オランとは、インドネシアの古典舞踊です。
今回のツアーで、一番見たかったのはこの舞踊劇です。

私は、シンガポールの演劇学校・「Practice Performing Art School」の能の講師をしております。
そういう関係で、もうシンガポールには10回以上行っております。
その学校は、アジア人のためのアジア人による演劇を目指している学校で、アジア中の役者が集まっています。
学校には、必修科目が4科目あります。それが、日本の古典芸能「能」と、中国の「京劇」、インドの「クーリヤッタム」、そしてインドネシアの「ワーヤン・オラン」です。

私は今まで、能はもちろん京劇もクーリヤッタムも本物を鑑賞する機会に恵まれましたが、ワーヤン・オランは見たことありませんでした。

シンガポールの学生たちと、ワーヤン・オランの話だけは出来ないのが、とてももどかしかった。

ホテルの近くに、ワーヤン・オランの劇場があると聞いた私は、飛びだして行きました。
念願のワーヤン・オランが見られます。

今回のツアーのコーディネーターの計らいで、開演前の楽屋も見ることが出来ました。

初めて見るワーヤン・オランは、想像と違っていました。
能のような、様式美の芸能を創造していたのですが、意外と大衆的な舞踊でした。
最近、私が少しかじっているバリ舞踊のほうが、圧倒的に儀礼的です。

ワーヤン・オランはいわゆるジャワ舞踊です。バリ舞踊とはかなり様相が異なります。
演者の構えもだいぶ違いますし、音楽的なテンポも異なります。
バリ舞踊の方が、リズミカルな印象です。

とにかく、太古から人類がすんでいたインドネシアは芸能の宝庫です。
各地に様々な芸能が根付いています。

本日、ソロ公演の初日でしたが、お客様の反応はジャカルタとは比べものになりません。
能と言う、おそらく未知な芸能を本当に楽しんでいるようです。


ところで昨日、ソロが誇る、ジャワ料理の有名店に行きました。

コーディネーターの方に、事前に調べてもらったら、その店は有難いことにビールを置いてあるとのこと。
みな喜び勇んで出かけました。10人位の団体です。

早速ビールを頼みます。
店には、大きいボトルと小さいボトルがあるそうです。私たちは、当然

「大きいボトル下さい!! とりあえず5本」

しばらくすると、ビールが運ばれてきます。

「ごめんなさい、大きいボトルが3本しかありません」

そうか、しょうがないな
「じゃあ、小さいボトルを、8本」

すると、今度はこう言います
「ごめんなさい、冷たいビールは、5本しかありません」

え? たった4本?
こっちは、常夏のインドネシアで汗をかきまくって、のどが渇きまくっている連中が10人も揃っています。
ビールの小瓶4本で足りるわけありません。

「あの・・・ すみませんけどぬるいビールで良いんで、持ってきて下さい。」

店の人は、笑っています。
「まあ、よくもまあ、こんなに飲むもんだ」
そんな顔してあきれています。

ぬるくても、ビールはビール。何やかんやと美味しく頂いています。すると・・・

「すみません。。。 当店のビールは無くなりました。」

ちょっと待て、ゆるいビールもいくらも飲んでいないぞ!!!

結局、店に無いんじゃあしょうがない。我々は店を後にしました。
イスラム圏ですので、どの店もビールの在庫は少ないようです。

その後、公演のスタッフ達が、同じ店に行ったそうです。
スタッフ達は、店の人にこう言われました。

「すみません、ビールはもう終わりです・・・」

スタッフは、ビールがあると聞いてその店に行ったのに、本当にがっかりしたそうです。
ゴメンナサイ。私たちが店中のビールを飲み干してしまいました・・・。


at 15:24|Permalink

2008年10月15日

ジャカルタから 2

今日は、リハーサル。
ホテルから劇場へは、タクシー移動です。

噂には聞いていましたが、ジャカルタの運転マナーはとんでもないです。

まず、車が凄く多い。まあ、それは人口が多いから仕方ないでしょう。
それより、驚くのは、バイクの多さ。
ざっと見て、道路の半分から三分の一はバイクに占められています。

そして、驚くことに、道路に車線はありません。あっても、誰も守っていません。
折り重なって走る車の横を、おびただしいバイクが猛スピードですり抜けていきます。
車線なんかないから、少しの隙間に車とバイクが我さきに飛び込んでいきます。

さらに、恐ろしいことに、その合間を歩行者が、普通に横断しています。
ジャカルタには、横断歩道はたまにありますが、歩行者用の信号なんてものはほとんど見当たりません。
道路がそんな具合なので、どの車もそんなにスピードは出せないのですが、その合間を普通に横断してゆく歩行者には参ります。

たまにある信号にとまったら、また大変なことになります。
物売りの人たちが、車を囲みます。
私たちは、なにせ初めて見るので、指さして驚いていたら、買う気のある客だと思われたらしく、二重三重に物売りに取り囲まれます。

赤信号は、確かに日本よりははるかに長い時間ですが、それにしても、信号待ち間に新聞やら子供のおもちゃやら、買う人なんているのでしょうか?

また、道に添ってたくさんの人が並んでいます。
何百人もの人が、道添いに車を待っています。とてもタクシーを待っているような雰囲気ではありません。

現地の人にあれは何をしている人か聞いてみると、驚く話を聞きました。
ジャカルタでは、あまりの交通渋滞ぶりに、朝夕は市内中心地へ車の乗り入れ制限があります。
車は、必ず三人以上乗ってないといけないそうです。
つまり、「一人や二人を運ぶためにいちいち車に乗ってはいけません。」
という法律です。

道端に警官が待っていて、一人や二人のドライバーを捕まえています。けっこうな罰金を払うそうです。

道に立っている人は、その罰金を逃れるために、市内に入るときに一緒に乗ってあげることで、報酬を要求する人々だそうです。

確かに、ドライバーからしてみれば、みすみす罰金を払うくらいだったら、それより安い額で誰かを乗せて市内に入っていったほうが得です。

しかし・・・  何て商売だ・・・

劇場は、とても良い雰囲気ですが、まあ古びていて汚いです。
まあ、それは想定内です。

今日は、リハーサルだけだったので夕方には終わりました。
夕方から、今回のツアーのメンバーで買い物と食事に出かけました。

食事に入ったローカルフードのレストラン。
とても安くて、美味しそうでした。

おのおの、舌鼓を打ちながら、まずはビールを注文したら、なんとビールはないとのこと。

なんてこった。ここはイスラム圏だった。。。

結局、昨日も行ったホテルのレストランでまたもやビールをガンガン飲みました。


at 23:22|Permalink

2008年10月14日

ジャカルタから 1

日本を11時に旅立って、バリを経由してインドネシアの首都ジャカルタへ到着しました。

バリで2時間の乗継があったせいで、空港に着いたのはもう夜8時。日本とは二時間の時差があるので、おおむね半日かかりました。

私にとって、シンガポール以外に初めて訪れる東南アジア。
ジャカルタは、東南アジア最大の都市と聞いています。なにせ人口は1100万人もいるそうです。

シンガポールの洗練された大都会のイメージでジャカルタの空港に降り立ってビックリ。

うーん。。。 何と言ったら良いのか・・・
一言で言うと、汚くてゴミゴミしている・・・

まあ、ゴミ一つ落ちていないシンガポールと比べてはいけませんね。

インドネシアに来てまず驚かされたのは、インフレのすごさ。
空港の両替所で、2万円出すと、183万ルピア戻ってきます。
いきなり財布はパンパンです。

空港でビールを飲むと、4万ルピア。
3人で軽く食事をすると、20万ルピア。。。

ホテルに着きました。ホテルは、日系の日航ホテルです。たぶん高級ホテルでしょう。
その中のレストランで、3人でガンガン飲みまくり、美味しいローカルフードも食べまくりました。
勘定は、108万ルピア。。。。。

100万という数字が出てくると、もう高いんだか安いんだかさっぱり分かりません。

インドネシア料理は、ざっと見るとマレー料理とほとんど変わりません。
マレー料理は、シンガポールでお馴染みなのでもうお手のもの。
メニューを見ても、殆どの料理は想像がつきます。

同行の能楽師に、得意げにメニューの説明をしました。

インドネシアは、イスラム圏なのでアルコールはなかなか飲みづらいと聞いていましたが、流石に日系のホテルのレストランなら問題なし。
インドネシアのポピュラーなビールは、ビンタン・ビールと言います。
これが、また美味しい。

明日から、暇があれば公演の様子など随時アップしていきます。どうぞ宜しくお願いいたします。


at 23:17|Permalink

秘蔵の日本酒

今日から、二週間インドネシア公演に出かけます。

昨日は、なんやかんや事務仕事を片付けていると、はや夜中。
それから頑張って荷造りに励みましたが、やはり朝までかかってしまいました。

荷造りしながら、ビールを浴びる程飲んでいます。
ほど良く酔っ払いました。

さあ、もう寝よう。

少しでも横になろうと寝室に向かうと、ふと棚の上の一升瓶が目に入りました。

お弟子様から頂いた、日本酒です。
限定300本でつくられた、シリアルナンバー入りの特別なお酒。

日本にいる間に飲んじゃおうと、一週間程前にフタを開けたまま、放置してあります。

なんてこった。
日本酒はフタを開けて、一週間が勝負。
二週間後に帰国した折には、とても飲める代物ではありません。

うーん…

少し悩みましたが、意を決しました。

よし、飲んじゃおう!

一升瓶に半分以上あったその特別な日本酒は、滞りなく私の胃袋に納められました。

うえっぷ!!

気持ち悪い……

これから、飛行機に乗りますが、完全に二日酔い。。。

前途多難です。


at 08:10|Permalink

2008年10月13日

三連休

世間では、三連休で盛り上がっています。

私は、忙しい三日間でした。

土曜日は檜原村で能公演。
写真のような、雰囲気たっぷりの野外ステージで、新作能「光の素足」です。
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主催は、西多摩地区で能の普及に励む兄弟子でした。

しかし…
檜原村ってスゴいところです。

山と渓谷に囲まれ、雄大な自然に心が癒やされます。

携帯も圏外になるこの檜原村は、東京都なのです。

東京もイロイロです。


日曜日は、九皐会定例会です。

朝は子供の運動会があったので、ちょっと顔を出して、矢来能楽堂に向かいます。

私は、「放下僧」のツレをさせて頂きました。

「放下僧」のツレは、殆どシテと同格という良い役です。

謡の分量はシテよりも多く、特に前場はツレが殆ど謡っています。

申合では、やはり遠慮があったのか、どうにも謡が軽くなってしまいました。

昨日は、殆どシテのつもりでしっかり謡ってみました。
ちょっとやり過ぎたかなとも思いましたが、気持ち良く謡うことが出来ました。


今日は、富士で謡会。

毎年富士市内の能のグループが集まり、富士ロゼシアターという立派なホールで発表会を行っております。

今年は、私の富士教室のメンバーも出演いたしました。

そんなこんなで、私もお手伝いに伺いました。

富士教室の方々は来月、毎年恒例の沼津御用邸での発表会が待っています。
それに向けて、良い経験になりました。

皆さん堂々と演じていました。

いくつか修正点もありますので、これからのお稽古で見ていこうと思います。


さて、怒涛のような日々を送っていますが、この後も続きます。

この秋は一日も休日がありません。
9月の頭に、「深川の休日」の記事をアップしましたが、次の休日は来年に来年になりそうです。。。


明日からは、二週間インドネシア公演に出かけます。

例のごとく、まだ何にも準備出来ていません。

インドネシアとはどんな国で、そのどこの都市で公演するのかすら、調べていません。

いや、書類は届いているのですが、忙し過ぎてまだ目を通していないのです。

例のごとく、事務仕事も溜まっていますし、今夜も徹夜になるのでしょう……


at 17:28|Permalink