2008年07月

2008年07月31日

「忠度」御礼

日曜日、若竹能にて「忠度」を勤めました。

超満員のお客様にご入場いただきました。有難うございます。
あれだけ多くのお客様に囲まれると、やはり気合いが入ります。

ただ、当日は少し気合いが空回りしたかなあと反省しました。

特に後シテの謡が上ずってしまい、高音が旨くコントロール出来ませんでした。
「忠度」は、前場も後場も謡が長丁場で、マラソンのような曲です。
少し、後悔が残ります。

ただ、終演後先輩たちに伺いますと、今日はお稽古から申合までで、一番謡が抑えられていて、上ずっていなかったそうです。

自分としては、全くコントロール出来ないほど目茶目茶だったと思っていたのですが、周りからは落ち着いて謡っているように聞こえたそうです。

いずれにても、冷静ではなかったことは間違いありません。


少し背伸び曲だったなあと思います。
でも、挑戦しがいのある曲でした。

「若竹能」とは、九皐会の若手のグループの会です。
普通、演能に際して私たちは申合というただ一回のリハーサルを経て当日を迎えるます。
しかし若竹能は、申合以外にも集まって複数回稽古をするというのを伝統としております。
若手で芸が未熟な分、何度も稽古して、皆で良いものを作っていこう!
というスタンスなのです。

今回も、事前に何度か集まって自主稽古をいたしました。
その中で先輩方からいろいろなご注意・ご指摘をいただきました。
かなり厳しいことも言われ、落ち込んだこともありました。

本当に、良い経験をさせていただきました。

今年は、まだまだ舞台が続きます。

8月は新作能「黄金桜」のツレ、9月は「石橋」、
10月は「放下僧」のツレ、11月には「紅葉狩」と「猩々乱」
12月は、「春日龍神」

シテ、またはシテに準ずる重要なツレが目白押しです。

大変な、年だあ。


at 22:17|Permalink

2008年07月26日

夜空に 吉兆

今日は、若竹能「忠度」の前日ですので、完全オフの予定でしたが、急遽新作能「黄金桜」の稽古が入りました。

「黄金桜」とは、今年で30周年を迎える小金井薪能で、30周年記念に行われる小金井市の桜にちなんだ能です。

原作は、小金井市在住で、小金井薪能設立にも関わった林望氏。

私は、大役のツレに指名され、張り切っております。


「黄金桜」の稽古は、昼過ぎまで続き、帰るともう昼下がり。
かねて約束していた近所の呉服屋に行き、今年の深川八幡の祭りの用意をします。
今年は、3年に一回の深川八幡祭りの本祭り。
深川の町は、お祭り一色です。


夕方から、やっと自宅舞台にて「忠度」の稽古を始めます。
昨日の申合で受けた注意を、確認しながら何度も見直し、自分なりに納得出来る稽古が出来たので、自宅舞台から外に出ました。

すると・・・

花火の音が賑やかに聞こえます。

「そうか、今日は隅田川の花火大会の日だった」

我が家は、隅田川からすぐ近くです。
こんなに大きな花火の音がするのなら、屋上から見えるかもしれない・・・

我が家は、陸屋根となっており、広いルーフバルコニーがあります。
ただ、家のちょっと離れた辺りに高層マンションが立ち並んでいるので、あまり見通しは良くありません。
隅田川の花火も、まあ見えないだろうな。。。

ほとんど期待せずに屋上に上がると、ナント

高層マンションの隙間から、計ったように花火がキレイに見えます。
これ以上ない角度です。
おそらく隣の家からは、少しマンションの陰になるはずです。
それくらいギリギリの角度ではありますが、我が家の屋上からは、隅田川花火が、本当に綺麗に見えます。

しばし、見とれました。
そして・・・ 何とも言えない良い気分になりました。


明日は、いい舞台になりそうです。


at 22:14|Permalink

2008年07月25日

申合 終了

今日は、「忠度」の申合。

申合は、本番より緊張します。
色々、課題も見つかりました。
明後日までに、うまく調整したいと思います。

どのみち、小さくまとまった舞台にする気はありませんので、あとは、当日暴走しないように気をつけます。


写真は、銀座での盆踊り大会。
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昨日の夕方、銀座のお稽古に行きましたら、稽古場の前の公園に櫓が組まれて盆踊りの準備が行われていました。

「銀座で盆踊り?」
あまりのギャップに戸惑いました。
銀座の人間に盆踊りする人なんているのかね。

そう思って、稽古場に入りました。

9時半頃、稽古を終えて外に出てビックリ。
老若男女、たくさんの人がひしめき合って、大盛り上がりです。

私が稽古しているあたりは、銀座と言っても、一番北側の銀座一丁目です。
この辺りや新富町には、結構古くから住んでいる住民がいるそうです。

老舗の和菓子屋や料理屋も多い地域なので、祭りも盛り上がるそうです。

とても楽しそうでした。
ちなみに、ウチの町内も来週盆踊り大会です。
いよいよ、夏真っ盛り!


at 15:15|Permalink

2008年07月24日

もうすぐ「忠度」です 

いよいよ、今週の日曜日に若竹能「忠度」が近づいてきました。
明日は、その申合。

「忠度」は、とにかく難しい能です。
謡が、格別に難しい。

ここんところ、猛特訓でした。

明日は、思う存分やってみます。
きっと、いろいろ不具合も出てくると思います。
でも、力を込めて演じることは忘れないようにします。そうしないとお客様には伝わらないと思うから。

頑張ります。


at 22:12|Permalink

2008年07月13日

ところ変われば

新居のトイレには、ウォシュレットが付いています。
私は、今までウォシュレットには否定的でして、一度も使ったことはありませんでしたが、使ってみると結構快適!
今ではすっかり愛用しています。

さて、先日モナコ公演に出かけたときは、それはそれは素晴らしいホテルに泊まらさせていただきました。
世界中のセレブが集まる超高級ホテルです。
そのホテルの素晴らしさを、参加能楽師で称えあっていると、ある能楽師がひと言

「でもよ、こんなに良いホテルなのに、ウォシュレットが付いてないなんて・・・」

賛同する人は多くいました。
確かに日本だと、普通のビジネスホテルにも付いている設備です。なんでこんな高級ホテルに無いの?と思っても無理はありません。

しかし、それもそのはずです。世界中でウォシュレットは日本にしかないのです。


意外に感じますが、確かです。
5年前、アメリカで現地の日本人のお宅に呼ばれた時、アメリカ人たちが、その家にあるウォシュレットを見て大興奮していました。
その時初めて、ウォシュレットは日本にしか無いということを知りました。

テクノロジー大国のアメリカ人も見たことがないシロモノだったようです。

今、秋葉原では携帯用ウォシュレットを買って帰る外国人が多いらしいので、何年か後にはもっと普及するかもしれません。


4年前、ベルギーのアントワープ公演でのことです。
公演の後、街角のバーで良い気持ちで飲んでいた私たちは、そのうち隣のテーブルのベルギー人のグループと意気投合しました。

「へー! 日本から来てんだ。日本って凄いハイテクな国なんだろう」

私は調子にのっています
「そうだよ。なんだって機械がやっちゃうんだから。
まず、このビール。日本のバーには自動ビール飲み機があるんだよ。テーブルに座ると、マジックアームが伸びてきて、自動的にビールを飲ませてくれるんだ」

ベルギー人たちは大ウケ
「じゃあ、この肉はどうやって食べるんだ?」

「もちろん、マジックアームが食べさせてくれる」

その後調子にのった我々は、朝起きたら自動でパジャマを着替えさせてくれるベットだの、自動で顔を洗って歯を磨く洗面所など、さまざまな冗談を言って笑い合っていました。

その中でベルギー人の一人が言いました
「じゃあ、自動的にお尻を拭いてくれるトイレも日本にはあるのかい?」
ベルギー人たちは大盛り上がり。

私は言いました
「それは、本当にある」

「ハハハ・・・ じゃあ、マジックアームが伸びてきてお尻を拭くのかい?」

「いや、そうじゃない。水ボタンを押すと水が出てきてお尻を洗って、次に風ボタンを押して乾かすんだ」

ベルギー人はまだ笑っています。
結局、私の英語力の不足もあって、ついにベルギー人たちはウォシュレットのことを信じてくれませんでした。

確かに、あの話の流れでは、ジョークと思われても無理はないですね。。。

ところ変わればなんとやらです。
「フランダースの犬」で有名な、アントワープでの楽しいひと時でした。

あ、そういえば日本ではあれだけ有名な「フランダースの犬」のこと、アントワープの人は誰も知りません。
日本人がアニメで勝手に知っているだけのようです。
アントワープの人は、「ネロ」とか「パトラッシュ」とか言ってもちんぷんかんぷん。
面白いものです。


at 23:36|Permalink