2008年06月

2008年06月02日

モナコから 1

始まりは一本の電話でした。

今回のツアーの主催者のO師とは、日頃より親しくさせて頂いております。

ある日、お弟子さんのお稽古の合間にふと携帯を見ると、O師から何件も着信が。

慌てて、かけ直すとO師はいつものぶっきらぼうな口調で私の予定を聞いてきます。

O師とは、伊豆の子供のお稽古などで日頃から日程の調整、確認のやり取りがあります。
今回も、その類のつもりでした。

「あのさ。6月2日から6日の辺の予定って、どうなっている?」


O師からは、最近学生鑑賞能の都合を聞かれたばかりでした。
今回も、6月上旬のどこかの日に、そういった類の催しがあるのかなあと感じました。
前回は日程が合わなくてお断りしてしまいましたので、今回は何とか調整しようと思いました。

「うーん、申合が一つ入っていますが、その辺だったら調整出来そうです」

「そうか。じゃあヨロシクな」

O師は電話を切ろうとします。

「ちょっと待って下さい。いつ、どこで、何をやるんですか?」

「おー。えっとな、モナコに行って欲しいんだ」

いきなり過ぎてビックリ仰天
「モ、モ、モ、モナコ!!」


能楽師の仕事の頼み方って、だいたいこんな感じです。

だいたい、楽屋で会った時か電話で、おもむろに日程を聞かれて、「空いています」と返事したら、「では、宜しくお願いします」などと言われておしまい。
契約書や覚え書きのようなものは、一切なし。
全て、口約束の世界です。


何はともあれ、今日から3泊5日の超ハードスケジュールでモナコ公演に行きます。

前回の日記にも書きましたが、公演の会場はヨーロッパを代表するオペラハウスである、ガルニエオペラ劇場です。
そこで、「石橋」を舞わさせて頂きます。

「石橋」は、2年前に初演いたしました。
少し思うところがあり、今年の沼津の自主公演の5周年記念会で、満を持して再挑戦の予定でしたが、思わぬところで2度目の「石橋」です。

こんな機会はそうはありませんので、心して勤めたいと思います。


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