2007年08月

2007年08月29日

作者のご指名

日曜日26日は、小金井薪能。
能は、「葛城」でした。
真夏に、雪景色の能をやるという趣向です。
舞台の上は、雪のかかった作り物の山や、笠、柴など、雪尽くし。

お客様は、涼しさを感じていただけましたでしょうか。


小金井薪能は、今年で29回目を迎える歴史のある薪能です。
来年、30回目を記念して、小金井市在住の作家・林 望氏が小金井を舞台にした新作能を書き下ろすことになっております。

今年は、来年上演される予定の新作能「桜守」の一部が、試演されました。

シテはもちろん、小金井薪能を立ち上げた津村禮次郎師。
ツレには、林 望先生のご指名で、私が抜擢されました。

私の敬愛する林 望先生に、指名されて喜んでいたら、ツレの役どころは、悪代官。

なんのことはありません。一番悪そうなヤツが指名されただけでした。


今年は、ホンのサワリの上演でした。

そうは言っても、ツレは謡も多く、覚えるのがたいへんでした。

終わって林先生は、一言。
「見ていて、思うどころがあるので、色々手直しします。
桑田君の出番も増やしてあげるよ」

林先生、有難うございます。
でも、謡はあまり増やさないで下さい。


という訳で、来年の第30回小金井薪能。
大注目です。


at 22:26|Permalink

2007年08月23日

嬉しき再会

一昨日、嬉しい再会がありました。

5年前、シンガポールの演劇学校で教えた学生が、日本に来ているというので、一緒に飲んだのです。

私が2年毎に能を教えに行っているシンガポールの演劇学校TTRPは6年前の開校です。
5年前、私はその一期生を教えに行きました。
一期生のうち、二人は卒業後同じ劇団に所属しており、今回来日して来たわけです。

といっても、今回日本で行われる公演は、日本とフィリピンとシンガポールの劇団との合同公演で、シンガポールから参加する役者はわずか3人。
そのうち2人がTTRPの卒業生っていうのも、嬉しくなってきます。


彼らは、日本人の演出家の下で、9月中旬の公演に向けて、只今稽古中です。
その合間の再会です。

いやあ、懐かしったです。
5年前の学生も、今や立派な役者さん。
このように、日本の劇団から呼ばれるまでになっているのです。

彼ら(シンガポール人の男の子とマレーシア人の女の子)の活躍ぶりを聞いて、びっくりです。
特にマレーシア人の女の子は、シンガポールでは知らない人がいないほど有名な女優だそうです。
出演映画のDVDも貰いました。

彼らが、私のことを覚えてくれて、会いましょうと、連絡くれた事が嬉しくてたまりません。


今でこそ、シンガポールには10回以上行ってるし、海外公演や外国人対象のワークショップなども何度もやっていますが、5年前にシンガポールに初めて行った時は、人生で2度目の海外でした。

5年前といえば、独立したて。
書生時代は、当然海外公演などには行きません。
独立してすぐに、ドイツ公演に行きましたが、それはもう、後をついて行っただけ。
一週間のドイツ滞在の間、日本語しか使いませんでした。

そして2回目に、シンガポールに一人で能を教えに行った訳です。。。

なんて無謀な。。。

そんな調子ですから、5年前に教えた一期生とはあまり交流出来ませんでした。
だって、英語がほとんどしゃべれませんでしたから。

私にとっては強烈な思い出ですが、彼らにとっては数多くいる先生の一人です。さして印象に残ってないと思っていましたが、違いました。

彼らも私のことをよく覚えていました。

理由は、私の凄い英語。
稽古中は、力ずくで分からせていました。

例えば

「角は左足で止まる」


「スミ イズ レフト ストップ」

まあ、そんな英語でも一緒に動いていれば、なんとか通じたようです。(たぶん)


学生たちに、私の英語が凄い上達していると、驚かれました。
そりゃあまあ、5年前がヒドすぎただけですけどね。


そんなこんなで、楽しいひとときを過ごしました。

来月の彼らの公演が楽しみです。


at 22:49|Permalink

2007年08月18日

狩野川薪能

今日は狩野川薪能。
今年の番組は「一角仙人」 私は、ツレの旋陀夫人を演じました。

この薪能の特徴は、地元の子供達が行う子ども能です。
今年も25名位の子供達で盛大に行われました。
玄人の能「一角仙人」の龍神も地元の子供が勤めました。

出演する子供達は、2月からお稽古を始め、この日に備えて来ました。

私も、お稽古に度々行きました。
子供達とのお稽古は、大変ですが、楽しいものです。

これからの日本をしょって立つ彼らに、この薪能の舞台と、それに至る能の稽古は、かけがえのないものとなるでしょう。

今日は、とにかく疲れました。
頑張った子供達に、乾杯をして、日記は終了いたします。


at 22:55|Permalink

2007年08月14日

佐渡の日蓮

昨日、佐渡三夜連続薪能が終了しました。

最終日は、真野町の大膳神社にて、創作能「佐渡の日蓮」が上演されました。

この能は、佐渡に配流になった日蓮上人を題材にした能で、「トキ」と同じく鼓童との共演でした。

佐渡島は昔は、島流しの場所で、様々な人が流されております。
その中には、数々の文化人も含まれ、それによって佐渡の文化は花開いたと謂われます。

佐渡で能が盛んなのも、世阿弥が配流されたことが、大いに関係しているようです。

この3日間、三つの神社を廻って薪能に出演いたしました。
どこも、農村の片隅にあるこじんまりとした神社ですが、立派な能舞台が常設されています。
そして、どこから来たんだろうと思う位たくさんのお客様が集まります。

これらの能舞台は、普段は町の愛好者の方がお稽古に使っているそうです。
そして能舞台は、町の誇りとして大事にされており、管理やメンテナンスも町の方が丁寧に行っているそうです。

佐渡には、そういった能舞台が至る所にあります。
佐渡薪能マップなるものを見ると、能舞台は35ヶ所。その内、10ヶ所の能舞台で、この夏に薪能が行われます。
人口6万5000人程の小さな島で、それだけの能舞台と薪能が催されていることに驚かされます。

薪能のほとんどは、地元の愛好者の方が演じているそうですが、かなり本格的に上演されています。


様々な能舞台の中でも、昨日の大膳神社の能舞台はかなり有名で、佐渡の観光案内などにも必ず載っております。

楽屋に入ってビックリ。なんと道成寺の鐘の骨組みまであります。
試しに舞台の上を覗くと、鐘を吊る滑車までありました。
添付した写真を参照して下さい。

この神社では、道成寺が演じられているのでしょうか。
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at 13:26|Permalink

2007年08月12日

創作能「トキ」

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今日は、佐渡薪能二夜目。

去年に続いて、創作能「トキ」の上演です。

この能は、まさに佐渡のご当地能です。
佐渡が誇る「鼓童」メンバーとの共演です。

今年は、狂言も交えてさらにバージョンアップして演じられました。


佐渡は、至るところ能尽くしの島です。
写真は、新潟港で見つけたポスターと、佐渡の港の船着き場の脇にある塔です。

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at 21:36|Permalink