2006年09月

2006年09月30日

追悼

今日は緑泉会で、番組は「佛原」と「菊慈童」。

「菊慈童」は坂 真次郎師の復帰の舞台となるはずでした。
残念ながらその願いはかなわず、今日は代役として緑泉会当主の津村禮次郎師が舞いました。

番組を見ると、偶然にも小鼓は鵜澤速雄師。

この夏亡くなった、私にとってかけがえのないお二人の、最後の共演となりました。


「菊慈童」といえば、菊の花をふんだんに施した作り物ですが、今回は坂家からたくさんの生花が提供されました。

誰ともなく思いました。
「今までにないほど、立派な作り物にしよう」

私たちは開演までの時間、食事もとらず作り物作りに没頭しました。


会の最後は、通常の付祝言ではなく、追善会の時のように、追加「融」で故人二人を偲びました。

「月の都に入り給うよそおい。
あら 名残惜しの面影や」


at 22:58|Permalink

2006年09月23日

大人の週末?

昨日、江東区の講座で「~贅沢なひと時~ 大人の週末の過ごし方」
というタイトルで講座を行ったのですが、今日は私が大人の週末を過ごしました。

知り合いの台湾人が経営している台湾茶のお店のお茶会に行ってきたのです。

台湾茶を始めとする中国茶は、今ひそかなブームのようです。
美味しいのはもちろんですが、健康に良いのも人気の秘密のようです。

今日は、様々な種類の台湾茶を、その由来や特徴を聞きながら味わうという、とてもカジュアルなお茶会。

色々なお茶やお菓子を楽しみました。

まさに、~贅沢なひと時~でしたね。

写真は、台湾茶のお茶葉です。c847da66.jpg


at 23:33|Permalink

2006年09月22日

江東区区民講座

今日は、江東区の区民講座に講師として招かれ、講座をしてきました。

講座のタイトルは、
「~贅沢なひと時~ 大人の週末の過ごし方」

ビックリ・・・

なぜ私が講師なのかサッパリ分からない・・・

とりあえず
「江戸時代には、謡曲・仕舞は大人の嗜みとして普通に親しまれておりました。
現代でも、嗜んでいる方はたくさんおります。
大人の趣味として、謡曲・仕舞を体験しましょう!!」

と、謡曲と仕舞の体験をメインに講座を進めました。

全員が初めての体験だったので、最初は戸惑いが感じられましたが、だんだんと大声で謡いだす受講生の姿を見て、一安心。

題名通り、贅沢なひと時を楽しんで頂けましたかねえ。

能に親しむ会では、このような依頼講座も受け付けております。

詳細は、能に親しむ会公式HP 
http://www.geocities.jp/kuwata_company/
をご覧下さい。



at 23:20|Permalink

2006年09月21日

山口にて

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沼津自主公演が終わっても、ひと息付く間もない忙しさ。

今日は山口の湯田温泉が誇る、天皇陛下御用達の旅館・山水園にて公演。
写真の通り、見事な日本庭園の池につくられた舞台で行いました。
公演が催された夜には、ライトアップされて、とても綺麗だったようです。

ただ、もう夜の野外能は寒いですね。

知る人ぞ知る寒がりの私は、震えていました。

風邪引かないよう気をつけなければ。


at 23:04|Permalink

2006年09月19日

安達原 御礼

昨日、沼津公演「安達原」をなんとか終えました。

2年前から始めた沼津の自主公演も、早くも3回目となりました。
自主公演ですので、公演の準備は全て自分でやらなければなりません。
三役の交渉から、チラシ作成、宣伝広報、何でもやります。
当日は朝9時から、舞台と楽屋の設営。。。
私にとって、文句なしに一年で最大のイベントです。

苦労に苦労を重ねて、やっと当日を迎えました。
「さあ、後は良い能を演じるだけだあ」

その考えは甘かったです。

17日から18日にかけて、過去10年間で最大の台風が日本列島を直撃しました。
沼津でも時折、突風と共に大雨が轟きます。
楽屋の窓から、前が見えないくらいの雨を見たときは、
「こりゃあ、だめだ。お客さん来てくれないわ」

そう覚悟しました。

開演ギリギリまでバタバタと公演準備に追われ、あわただしく動いていました。
あっという間に開演時間を迎え、私は最初に挨拶のために舞台に上がりました。

その時、私は初めて観客席を見ました。
私を迎えて下さったのは、満員のお客様の暖かい拍手でした。

私は感動のあまり、話そうと思っていた内容を全て忘れてしまいました。
頭が真っ白になり、支離滅裂な挨拶となってしまいました。
それも無理ないでしょう。私はもう少しで泣きそうでした。

あの大雨の中を、これだけ多くの人が「能に親しむ会 自主公演」に来て下さった。
こんな嬉しいことはありません。


肝心の「安達原」は、気持ちを取り直して冷静に出来ました。

「安達原」のシテは、最初作り物の中に入って登場します。途中、作り物を覆っている引廻しが降りて、私はお客様の目に触れます。

その引廻しが降りた瞬間、怖い視線を感じました。
500人の観客が、一斉に私に視線を投げかけてきます。

お客様の目が、ここまで感じられたのは初めてです。
良い緊張感を持つことが出来ました。


この、沼津自主公演を得て、私は毎年たくさんのことを学びます。
自主開催です。どこにも逃げることが出来ません。

催しの運営全てが私の責任として返ってきます。
とても、恐ろしいことです。

でも、毎年この公演を経て、多くのことを学びます。

私にとって、かけがえの無い舞台です。

こりもせず、来年も開催いたします。
19年9月8日(土) 沼津市民文化センター
ご参集下さいませ。


最後になりますが、「能に親しむ会 能楽鑑賞会」を支えてくださった全ての方々に御礼申し上げます。
未熟な私を舞台の上で支えて下さいました、観世喜之先生・喜正先生を始めとする能役者の方々。
受付を滞りなく行ってくださった、楽屋スタッフの方々。
様々な雑用を献身的にこなしてくれた、明治大学能楽研究部の学生達。
舞台設営から照明チェックまで責任をもって調整して下さった沼津文化センターのスタッフの方々。

心より感謝いたします。

また、今回新しい試みとして、ロビーにて能面展を行いました。
その能面展に際し、貴重な能面の数々を貸して下さった、沼津市在住の内田保太郎氏にも、厚く御礼申し上げます。


at 23:14|Permalink