2006年03月

2006年03月19日

シンガポール第四便 4

今日はドレス・リハーサル。いよいよここまで来ました。

本番が行われる劇場に移って、いよいよ最後のリハーサル。
始まる前はいつものように賑やかに騒いでいた学生達も、さすがに緊張しているのでしょう。
ドレス・リハーサルは目茶目茶。いままでで一番悪い出来でした。

これはいかんと思って、当初は一回だけだったリハをもう一回やりました。
二回目はさすがに緊張も和らいだようで、まあ普通に出来ました。

ここまで来たら、もう精神的なものです。明日は、今まで3ヶ月間やってきたことを思い出して、精一杯頑張ってほしい。
学生達も、危機感をつのらせているようでして、明日は2時から最終稽古の予定なのですが、自主的に10時半に集まって稽古するようです。
こんなに、能の成功のために一生懸命になる外国人を見ると、本当に嬉しいです。明日の出来云々より、こういった気持ちを見せるようになったことが、彼等にとって、一番の収穫ではないでしょうか。


リハの後は、この学校の校長先生の家に招かれました。
校長先生は、インド系シンガポール人。やはり食事はカレーです。

かわいい4歳と6歳のお嬢ちゃんがいると聞いていたので、能楽トランプをお土産に持っていきました。
最初は人見知りして、なかなか近寄らないお嬢ちゃん達ですが、トランプに書かれている能の数々の絵を見て大興奮。
「オー!! KIMONO!!」
それもそのはず、今学校でちょうど日本の地理や文化・風習を勉強しているそうです。
6歳で、外国の地理を勉強するなんて、さすが国際都市・シンガポール。

ところでこの子供達は、食事中、あまり辛いカレーを食べていないことに気が付きました。
奥様に聞くと、やはりインド人でも、子供は辛いものが苦手だそうです。それを、時間をかけて徐々に慣れさせてゆくそうです。
別に、そんなもの慣れさせなくっても・・・・

まあ日本でも、子供はわさびを食べられないから同じなのですかねえ。


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2006年03月18日

シンガポール第四便 3

今日は、学校のスタジオを使っての最後の稽古でした。
明日は、劇場に移動してドレス・リハーサル、いわゆる申し合せがあり、明後日がいよいよ本番です。
まだまだ、仕上がりに不安な点はありますが、彼等の頑張りに期待しましょう。


ところで、今日は学生達のアパートに遊びに行きました。
シンガポールにはワンルームマンションなどはなく、留学生などは2LDK位のところをシェアして暮らすのが一般的です。
今回の学生も、男子6人のうちシンガポール人2人を除く4人が同じ部屋で共同生活をしています。
構成メンバーは、インド人2人と、マレーシア人とメキシコ人。不思議な組み合わせです。

外食が当たり前のシンガポールですが、インド人2人はベジタリアンなので、外食は難しいようです。
それで、毎日自炊をしているようです。マレーシア人の学生に言わせると、インド人の2人はとても料理が上手だそうです。
今日は、インド人の自慢の手料理を食べに行ったわけです。

ベジタリアンとは言え、インド人ですから、作る料理は全てカレー。
野菜カレー、豆カレー、卵カレーと、とにかくカレー尽くし。
毎日カレー食べて飽きないのか試しに聞いてみました。すると、
「日本人だって、毎日しょうゆを食べているじゃないか」
と言われました。
「????」

インド人にとってカレーとは、食事というよりは調味料とかソースに近いものだそうです。
カレーそのものを食べるというよりは、ご飯やナンや肉や魚や野菜など全てに、カレーをかけて食べるそうです。なるほどねえ、こりゃあ確かにしょうゆですね。


決して広くない学生の部屋に、私達能楽師と、1年生と3年生が全員集結して楽しく食事をしました。
総勢16人、7カ国の人間が集まって、ワイワイとカレーを食べる。
面白い経験です。
2年前も同じように学生の部屋に何度かあつまり、10ヶ国以上の人間と一緒に食事をしました。

その度に「もっと英語をしゃべれるようになりたいなあ」と思います。
結局語学力がないので、難しい話が出来ません。当たり障りの無い話をして、バカ笑いをしておしまい。
せっかく、いろんな国の人と話せる機会なのに、なんともったいないのでしょう。

次にシンガポールに行く時までに、英語をしっかり勉強しようと、心に決めました。
(もっとも、前回もそう思ったのですけどね)


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2006年03月16日

シンガポール第四便 2

今日から、主任講師の若先生ともう一人の先生K氏も稽古に参加して、いっそう賑やかになりました。
今まで一人で稽古していたので、大変でした。

発表会でやる内容ですが、オムニバス能とでも言いましょうか。
いろんな仕舞をくっつけて、一つのストーリーに仕上げたものです。

題名は「老将の夢」
年老いた侍が、昔の出来事を回想するというのが基本の話でして、その中で色んな能のシーンが登場します。学生たちは、簡単な装束を着けて入れ替わり立ち替わり様々な仕舞をいたします。

やればやっただけ、ドンドン進歩してゆく学生達の稽古は、やり甲斐があります。朝より、午後の方が確実に進歩しています。
学生達も楽しんでいるようでして、稽古の合間などに捕まってはドンドン質問してきます。
稽古を始めた頃のヤル気の無さがウソのようです。
思えば1月頃は、「能って何? どうしてそんなモノやらなくちゃあならないの?」
ってな態度がアリアリと感じられました。
それが今では、彼等なりにやる意義を見つけたようでして、とにかく一生懸命です。
来週の月曜日の発表会は、良いものが出来るでしょう。


ところで前述の通り、今回の学生は人数が少ないので、地謡の補助として先週から2年前の学生が稽古に参加しています。彼等は今、個人的な活動・訓練の時間でして、それぞれに忙しく何やらしているようです。
だから、「稽古には予定の付くときだけ参加してくれればいいよ」と言ってあります。
しかし、皆予定を繰り合わせて全員参加してきます。

何時間も延々と謡っている彼等は、楽しそうにしていますが、やはり、自分達も仕舞をやりたそうにウズウズしています。
とりわけ、2年前は稽古しなかった長刀を使う仕舞「船弁慶」には興味シンシン。
顔に、「ヤリタイ。ヤリタイ」と書いてあります。

ある日、「君達も休憩時間にチョットやってみる?」
と聞いてしまったのが運の尽き。

それ以来、休憩中はもとより、稽古の後も捕まって、延々と「船弁慶」を稽古する羽目になってしまいました。私の休憩時間は当然ありません。。。。


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2006年03月15日

シンガポール第四便 1

シンガポール便りも、いよいよ最終便。
昨日から、いよいよ発表会の稽古が始まりました。

今回は、発表会が前回より一週間早まったので、仕上がりに不安がありました。
前回より、概ね一週間遅れています。
ただ、学生にもその危機感はあったのでしょう。先週の水曜日からの5日間の自主練で、飛躍的に成長していました。相変わらずに、本当に自習をしているようです。

先週まで、授業は午前中だけだったのですが、今週は朝から晩まで6時間以上も稽古しています。
なんと、昨日今日でほとんど仕上がってしまいました。

2年前の学生達(3年生)も、全員参加して賑やかになっています。
3年生は既に、能を始め、京劇、インドのクーリヤッタム、インドネシアのワーヤンウォンを勉強しているのですが、皆口々に「能が一番面白かった」と言ってくれます。
3年生は、地謡だけなのですが本当に楽しそうに参加してくれます。嬉しいことです。


ところで、常夏の国シンガポールでは、当然浴衣で稽古しています。ランチタイムが短いので、浴衣のまま、街に食事に行きます。

学校がある場所は、東京で言えば大手町とか丸の内。オフィス街のど真ん中にあります。そこを浴衣で歩くのは勇気が要りそうに思われますが、この国では問題ありません。

シンガポールにはスーツにネクタイをする習慣はありません。
皆、ポロシャツや短パンで仕事しています。
確かに、常夏の国でヨーロッパの人と同じ格好をする必要はなく、とても合理的といえます。
でも、たまにスーツにネクタイして汗を拭きながら歩いている人がいます。
近づいてみると、だいたい日本人です。いやはや。時代はクールビズですよ。

そもそもポロシャツなんて、普通でして、日本人からみたら理解できない格好の人が沢山います。
インド系は、白いポンチョみたいなのをスッポリと着ています。インド系の女性はやはりサリーですし、マレー系はイスラム教徒だから、首のまわりをスカーフのようなもので覆っています。たいへん暑そうです。
中国の人民服みたいなの着ている人もいるし、アラブの王様が着ていそうな、派手な服を着ている人もいます。

浴衣なんて、ちっとも不思議な格好じゃないね。
そう思って街中を歩いていますが、やはりジロジロ見られます。

うーん、いくら他民族国家のシンガポールでも、浴衣は珍しいのか・・・
私から見れば、彼等の格好の方がよっぽど不思議なのですが・・・


at 23:20|Permalink

2006年03月13日

いよいよ最終便

昨日は、無事に九皐会にて「嵐山」の後ツレを勤めることができました。

今日から、いよいよシンガポール最終便に旅立ちます。20日の能の発表会に向けて、最後の追い込みです。
発表会は一般公開もいたしますので、シンガポール在住の方がいらっしゃいましたら、是非応援に来て下さい。

ところで、前回のシンガポール滞在の最後の日にとても嬉しいことがありました。

2年前の学生にフィリピン人がいまして、彼とは未だに、たまにメールのやり取りをしています。
その学生はもう卒業してフィリピンに帰ってしまったのですが、彼はある時、こんなメールを送ってきました。

「桑田先生が次にシンガポールに行く時は、絶対にシンガポールに遊びに行きます」

意地悪な私は、彼に
「絶対にシンガポールに来るって約束したのにどうして来ないんだ」
とメールを書きました。そうすれば、彼から近況を知らせるメールがくるだろうと期待していました。

次の日学校に行った時、私は目が飛び出るかと思いました。
なんと彼が学校に来ているのです。

私はビックリして、
「本当に来た。しかもこんなに早く…」


彼はメールを見て、慌ててフィリピンから飛び出してきた訳ではありませんでした。

彼は、メールの約束通り、本当に遊びに来たのです。
彼も、前の晩にシンガポールに着いて、私からのメールを見て驚いたそうです。

面白い偶然を喜んで、その晩は彼と楽しく飲みました。


本当に嬉しかったです。フィリピンから、シンガポールって、そんなに気軽に行ける距離ではありません。
それを、訪ねて来てくれて、涙が出そうになりました。

彼はインドの演劇に出演するため、すぐシンガポールを旅立ちました。

今度は、いつ会えるのかなあ。

他の学生が言っていました。
「お互い役者なんだから、ちゃんとそれぞれの仕事をキチンとしていれば、いつか会えるよ」

なんだか、本当にそんな気がします。
来るべき再会の日が、待ち遠しいです。

at 13:33|Permalink