2006年03月

2006年03月31日

今度はことぶき大学

今日は、町田能楽サークルにてお稽古。

このサークルは、昨年の町田ことぶき大学の能楽コースの卒業生が母体となって、立ち上がったサークルです。
会員は当然、ことぶき大学受講資格者(つまり高齢者ということ)です。
外国人、子供、ことぶき大学、または母校の大学生と、色んな所で能を教えている自分が、結構面白いです。
あ、モチロン普通の個人稽古や団体稽古も当然していますよ。

色んな世代の方が、謡と仕舞の上達を目指して取り組んでいます。
少しでも多くの方に、能を楽しんで頂きたい。その手助けとなるべく、精一杯お稽古したいと思います。


ところで、今日の町田能楽サークルでは、終了後お茶席が設けられました。
会員の中にお茶の先生がいらっしゃいまして、その方が設けて下さいました。

さあ、困った。能楽サークルで行うお茶席だから、能の先生の私は当然「正客」
いくら、サークル内の気軽なお茶席とはいえ、あまりの不作法では、能楽師として威厳が保てない……

まあ、始まってしまえば何の問題もありませんでした。
お茶の先生が気を効かせて、色々教えて下さいまして、私はじっと座って、言われるまま、お茶やお菓子を頂いただけ。

お茶の先生が言うには、そもそもお茶席で大事な事は、和室に座って行儀よく振る舞うことだそうです。分からないことは、聞けばいいわけで、さもしたり顔で振る舞われるのが一番困るそうです。

まあ、能楽師ですから、和室での振る舞いには慣れてます。
正座だって人並み以上に出来ます。
今回は、とりあえず無難にこなしました。

ただ、格式のあるお茶会だとそうはいきません。
そんな所に招かれたら……

都合をつけて、逃げるしかないですね。


at 19:17|Permalink

2006年03月27日

今度は子ども能

日曜日は伊豆の国市に、子供の稽古に行ってきました。
毎年おこなっております、「狩野川薪能」の子ども能の稽古の為です。


一週間前まで、真夏のシンガポールで、外国人相手に汗だくになりながらお稽古していたかと思えば、今度は、桜もほぼ満開となった伊豆で、子供たちの稽古。
我ながら、そのギャップに戸惑います。

7月の薪能にむけ、今年は早くも20名以上の子供たちが集まって、また元気一杯に暴れ回っています。

よく聞かれます。
「子供の稽古と外国人の稽古はどちらがたいへん?」

うーん難しい質問です。どちらも、違う意味でたいへんなんですよ。
色んな意味でやりがいがあるのも同じです。

ただ、「どちらがより体力がいるか?」
という質問なら簡単です。
これは、圧倒的に子供相手の方が疲れます。

これから、随時レポートを載せていきますので、お楽しみ下さい。


at 18:17|Permalink

2006年03月24日

Dear TTRP students

今日から、早速2箇所でお仕事。滞っていた仕事やお稽古を、何とかこなさなくっちゃ。
忙しや、忙しや。

夜、大好評の「ぎんが能楽サロン」を終えて、パソコンを開いてビックリ。
たくさんの、ウィルスメールかと思いきや、シンガポールの学生から、コメントがビッチリ書いてあった。

確か、最後の打ち上げで、私のHPのことを言った気がします。
「君達のことも、日記に書いてあるよ。でも、日本語しかないから、君達には読めないよ」

「えー! 読みたい。 英語の記事はないの?」

「ある訳ないだろう。だいたい、読まれるとまずいことも書いてるから、英語なんかじゃあ絶対書けない」

「えー!!! 何書いてるの? 教えて! 教えて!」

「悔しかったら読んでみろ」

私は勝ち誇りましたが、計算外がありました。
中国系の人は、漢字読めば、何となく意味が分かってしまうようです。
あやや。

これからは、つごうのわるいことは、すべてひらがなでかかなければなりませんね。

でも、早速コメントがあって嬉しいです。


Dear TTRP students

How are you? Thank you for your message. I am very glad to see your funny comment.

I am drinking Japanese Beer now. It is certainly good. But I miss Tiger Beer in Singapore.

Someday I will go to Singapore to drink Tiger Beer. I want to watch your contemporary theater next time.

You know, my English is very poor. and so It hard for me to reply to each one.
When I have enough time, I am going to send some message to you.

I am good teacher. You also are good students.

I am looking forward to drinking Tiger together.
See you!


at 01:35|Permalink

2006年03月23日

シンガポール おまけ

今日は、苦手な画像取り込みに挑戦。
シンガポールの写真を何点か紹介します。


中国語圏では、ひらがなのやさしい感じが流行っていると聞きました。
何と読むのでしょう。「よきお味」かなあ
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ただ今、「舎利」の稽古中。舎利塔の代わりの箱と、打杖の代わりの剣。
アルジャジーラに送ったら、勘違いされそうな写真。
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インド人と、シンガポール人と、メキシコ人が、羽衣を相舞しました。
申合せですので、一人は長絹の露がついていません。
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最後に、全員で記念撮影。
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at 01:49|Permalink

2006年03月21日

シンガポール第四便 最終回

20日の発表会は、大成功に終わりました。
今までで一番良い出来でした。

当日は、なんと「ニュース・アジア」(アジア版のCNNのようなもの。アジア中で視聴可能)が取材に来ました。今週の土曜日にアジア中で特集番組が流れるようです。

その「ニュース・アジア」のインタビューで、インド系シンガポール人がこんなことを言っていました。
「能に出会えて、人生が変わりました」
私達は、「何言ってんだこいつ」と茶化していました。

彼は、当初はたいへん出来が悪く、私は何度も頭を抱えました。
ただ、徐々に進歩していって、発表会の出来は素晴らしかったです。
舞台の上で、堂々と演じている存在感は、今年の学生の中でもピカ一でした。
それは、他の能の先生も同じ意見で、「彼は大化けした」という評価を下しました。

一夜明けた今日は、能の採点の日。私達はその彼の頑張りを称えました。
採点後、彼は涙ながらにこう言ってきました。

「今まで自分は、どうしても自信が持てなかった。何をやっても不器用で、笑われてばかり。
役者になるなんて言ったらみんなにバカにされた。
いつも先生に怒られてばかりで、この学校も辞めようと思っていた。

でも、能の先生はそうじゃなかった。ダメな私を親切に丁寧に何度も教えて下さった。
いつも私は、自分は不器用だからと、すぐ諦めていたけど、今回は初めて頑張ることが出来た。そして、舞台に出てお褒めの言葉をもらったのは初めてです。
自信になりました。本当に有難うございます。」

そして、インド式の最敬礼をしてくれました。

彼の言葉を聞いて、私も熱いものがこみ上げてきました。彼は、本当に人生が変わったのです。

彼は、昔から演技が好きで役者になりたかったのですが、自分には無理と諦めてしまっていたようです。
ただ、この学校の存在を知って、ここで諦めては悔いが残ると思って、ナンとシンガポール航空(日本で言えば日本航空。世界でも有数の航空会社)を辞めて入学してきたのです。

彼は太っちょでコロコロしていて、体も切れない。およそ、役者には見えません。
でも、美男美女ばかりでは芝居はやれません。
彼にも当然彼の良さがあります。それを、シッカリ伸ばせば、いい役者になれると思います。
頑張ってほしいです。


シンガポールの演劇学校TTRPコースにおける、三ヶ月間の能の稽古と発表会の成果に関しては、彼を紹介すれば充分だと思います。
素晴らしい成果が上げられたと、自画自賛いたします。


また、2年前に能の稽古を受けた学生が、今回の発表会に全員参加してくれたことが、私は最高に嬉しかったです。
やはり2年前に、今回と同じように朝から晩まで3ヶ月間能の稽古をして過ごした学生が、もう一度能をやりたいと、修了した能のクラスに戻ってきました。
みんな、能は楽しいと喜んでくれます。
今回の発表会、地謡を担当した3年生は、上演中・約1時間、ずっと正座をして謡っていました。2年前は5分と正座していられなかった学生達がです。
1時間の正座なんて、日本人でもほとんど出来ないでしょう。

2年後、また新たな学生を指導にシンガポールへ行くことになっておりますが、その時には3年生は卒業してもういません。
2年前から、トータルして6ヶ月間も一緒に過ごした学生たちですから、本当に愛着があります。
これで、お別れと思うと、やはり目頭が熱くなります。

1年生は、2年後に向けて、正座の練習をスルゾーと、早くも張り切っています。もう、2年後の発表会に、地謡で出る気でいます。
そして「今回の3年生みたいに、新しい仕舞を教えて下さい。」と、お願いされました。


私にとっても、かけがえのない経験となりました。

演劇に向かって熱く取り組んでいる、私と殆ど年の変わらない学生たちを見て、うらやましくもあります。
私も、この学校に入学したくなりました。

でもきっと、能以外の伝統芸能は、ほとんど居残り特訓だろうなあ・・・
京劇なんか、バック転しないといけないですし・・・・


at 18:24|Permalink