2005年11月

2005年11月30日

またも北欧へ

11月も今日でおしまい。いよいよカレンダーも残すところあと一枚となりました。

明後日より、デンマーク公演に出かけます。
ついこの間、イプセンの「人形の家」を、イプセンの本国ノルウェー等でやって来たばかりなのですが、また北欧へ旅立ちます。

今度は、アンデルセンの童話「ある母の物語」を、アンデルセンの本国で上演するために行きます。

この能、なにが難しいって、地謡がデンマーク語なんですよ。

「でヴぃようむ りとうふお。 いとうめね すく」
「ぐらとう でむ うとうて まい。 さ すか やい」

なんて謡っています。

はあ、全く舌が回りません。


本当はもっと前から出発し、12月の頭には帰国する日程だったのですが、ずれ込んでしまい、帰国するのは九皐会で「巻絹」を舞う3日前。

一見大変そうですが、日本にいると、色々雑用があり、なかなか稽古時間が取れませんので、かえって稽古に励めそうです。

何せ、当初の予定ではもうデンマークにいるはずだったので、つい最近まで、この週には当然何も日本での仕事は入っていませんでした。
それが、直前で日程がかわり、この週はポッカリと予定が空いてしまいました。

手帳を見て
「ワーイ。月曜から木曜まで4連休だー!」

と喜んでたのもつかの間。あっという間に、全ての日に仕事が入ってしまいました。
ああ、私ってスケジュール管理がヘタクソ。

こんな訳で、何かと忙しい日本を離れて、デンマークで合宿してきます。
というのも、同行の能楽師5人中、私を含めて3人が、帰国して一週間以内に能のシテがあります。
その3人で、お互い稽古しようと言い合っております。



at 22:53|Permalink

2005年11月28日

秋晴れの三連戦

金・土・日と、三日連続の催し。
金曜日は喜正先生と若手囃子方の主催する「神遊」。土曜日は、坂師父子の主催する「真双会」。日曜日は、小島師の主催する「碧風会」。
三日とも、秋晴れの中で盛況でした。


私達能楽師は、いわば舞台役者なのですが、所属事務所もなければ、マネージャーもいない。
全て、個人で企画運営し、キップも売りさばかなければなりません。

そんな中、九皐会関係で、個人主催の会が三日も続くなんて、素晴らしい事です。


個人で活動しなければならないということは、大変なことなのです。
ただ、ウラを返せばそれだけ個人が活躍出来るということ。

私も沼津市にて、個人の催しを行ってます。
「個人主催なんです」
などと言うと、行く先ざきで、驚かれます。
「それは無謀だ」
と忠告下さる方もいます。

でも、せっかく能楽師となって、舞台活動の可能性があれば、頑張って行きたい。
そして、いい舞台を勤めたい。

そう思います。


at 12:34|Permalink

2005年11月24日

能「頼政」と平曲「橋合戦」

今日は、「ぎんが能楽サロン」の最終回。
のはずが、好評により来年も続くことが決定。今日は今年の最終回となりました。

最終回は超豪華版。来月の九皐会から、私がシテを勤める「巻絹」と、観世喜之先生の「頼政」のお話をして、最後に新井泰子さんによる平家琵琶の「橋合戦」の演奏。

「巻絹」は、いつもの見どころ紹介にとどまらず、シテを控えた意気込みや稽古の苦労話などを語りました。
そして、「頼政」の見どころを話していよいよ平家琵琶の演奏。

平家琵琶とは、平家物語の弾き語りのことで、平曲とも言われます。
平家物語には作者はおらず、琵琶の弾き語りによって現代に伝えられてきました。つまり、平家物語の原型なわけです。

現在、平家琵琶を伝える奏者は日本に数人にかおらず、たいへん貴重な機会となりました。
今日は演奏前にハプニング。なんと、弦が切れてしまいました。
ただ、参加者は目の前で弦を張り替えて調弦するところまで見ることができ、かえっておトクでした。

平曲「橋合戦」は、宇治川をはさんでの源頼政と田原忠綱の争いの弾き語りで、田原忠綱らが宇治川を渡るシーンなど、能「頼政」と殆ど同じ。
まあ、平家物語に題材をとった「頼政」が、その原型の「橋合戦」と同じなのは、考えてみれば当たり前ですが。

なかなか楽しいひと時でした。


この「ぎんが能楽サロン」来年も続きます。
基本的には、奇数月の第4木曜日です。
ただ、第1回目の1月だけは第3木曜日の1月19日となります。

次回1月19日は、2月5日に緑泉会でシテをさせていただく「高砂」を取り上げて、いろいろお話する予定です。
乞ご期待。


at 23:40|Permalink

2005年11月23日

一人芝居

先日、一人芝居を見てきました。
北欧公演でお世話になった、名取事務所主催の公演です。

能も究極のところ、シテの一人芝居の様な側面がありますので、一人で物語をどう演じるのか興味シンシン。

結局分かったことは、芝居はやはりセリフが命なんですね。
一人で演じる場合はなおさらです。言葉の抑揚や強弱で、何の変哲も無いただのコトバが心に響く。いい舞台でした。

能の場合、大事なのは「謡」だと、よく聞かされています。
「謡」の難しさ、最近身にしみて思い知らされます。


ところで、今年スウェーデン、ノルウェー、イギリスで行った「二人のノーラ」のツアーが、たいへん評判だったようでして、来年再び北欧での再演が決まりました。
今度は、ノルウェー、フィンランド、アイスランド、バルト3国のどこか。

たいへん素晴らしいお話なのですが、私は残念ながらスケジュールが合わず、行けそうもありません。

名取事務所の方に、「桑田くんが来れないと、今年ノルウェーで出来た飲み友達等が寂しがるよ」
と言われました。
うーん、私も寂しい。そう言われると、やっぱり行きたくなる。


at 23:05|Permalink

2005年11月19日

仙台にて

本日は杜の都・仙台にて催し。

最近、風邪気味の私は、仙台と聞いてバッチリ防寒対策。
しまいこんでいた、コートとマフラーを取り出していざ出陣。
予想通り寒かったけど、タクシーで移動するからあんまり関係なかったです。
それで舞台は、暖房と照明で激暑で汗ダラダラ。まあ、こんなもんです。


地方へはよく行きますが、だいたいは駅や空港に着いたらそのままタクシーで会場入り。帰りは駅や空港に直行するので、旅情も何もあったもんじゃない。せっかく仙台に行っても、青葉城見たり、松島見たり、まあしないですね。土地の名物なんて物もまず食べません。

ただ、今日は違いました。
終演後、主催者が宴席を設けて下さいました。美味しい料理に舌鼓をうって帰路へ。

朝、東京を出て、午前中に申し合わせを済ませて午後本番で、宴会しても、9時台には東京に着きます。

なんだ、仙台って近いですね。

ところで、東北新幹線の「はやて」って凄い。大宮の次はもう仙台。
大宮駅で、上越新幹線に乗ろうと思ってた人が、間違えて「はやて」に乗ってしまったら、仙台まで引き返せない。大変だ。

あ、そういえば私の知人に、新横浜へ新幹線で行きたかったのに、新横浜通過の「ひかり」に乗ってしまい、名古屋まで行ってしまったら人がいます。


at 20:36|Permalink