2005年03月11日

外国人ワークショップ

先日、外国人向けの能楽ワークショップのお手伝いに伺いました。
主催は能楽協会なのですが、九皐会の若先生がうけたまわり、私がお手伝いに伺った次第です。

「外国人に体験もさせるから、よろしく指導頼むね」
そう言われて、ひそかにハリキリました。

「よし、去年シンガポールで鍛えた語学力を駆使して指導するぞ」
去年、シンガポールの演劇学校で怪しい英語で能を教えた記憶がよみがえる。

いよいよ、体験が始まる。さあ、まずは挨拶だ。

「アット ファースト。 グリーティング」
会心の英語だ。まずは挨拶から、これが日本のお稽古の心だ。

「よろしくお願いしマース」

「!!!!!」
そうか、挨拶は覚えてきたんだな。よし、じゃあいよいよ実技だ。
「アー ユー レディ」

「ハイ 大丈夫デース」

ん? 何か感じが違う。ひょっとして・・・
「ドゥ ユー スピーク ジャパニーズ」

「はい、今、勉強していマース」

なんだ、日本語分かるんですね。はい、早合点していました。

参加者は、全員日本語が堪能な方ばかり。私の怪しい英語なんてお呼びじゃなかったですね。
まあ、それはそれとして、外国人に能を教えるのはやはり難しい。

でも、参加者は皆興味深々の様子。こっちも楽しんでやりました。

いつか、世界中の人たちに、能のオモシロさを伝えられたら・・・
まあ、グローバルな能楽師を目指す私にとっての大きな目標です。





at 21:25|Permalink

2005年03月07日

謡曲仲間

昨日は久々のオフ。たまった事務仕事をすませ、いよいよ迫ってきた「船弁慶」の稽古をする。

夜は、「しんの会」という会の打ち上げ宴会に参加。「しんの会」とは、大学時代に能楽研究部などの能楽サークルに入っていた人達が中心となって活動している会で、年二度の舞台発表をおこなっています。
様々な大学の出身者が集い、楽しんでいます。ただ、舞台の前は何度も集まって稽古しています。学生時代を思い出して、けっこうストイックに稽古しているようでして、舞台内容もかなり本格的。

私も学生時代の先輩や後輩に混じって、能の話をしているうちに、昔にタイムスリップします。面白いもので、プロになって普段「先生」といわれている今も、学生の頃の先輩にはヤハリ頭が上がらない。

学生のサークル仲間が卒業後何年もたっても集まってワイワイやる。マァ、よく聞く話です。でも、昔と同じ様に稽古して舞台を勤めるなんて、能楽サークルならでは。
これがスポーツ系のサークルなんかだと、30超えて昔と同じ様にプレイするのは不可能。また文化系でも、企画系や研究系のサークルは、たまに集まってもイベント企画したり難しい研究したりはしないはず。
こう思うと、一生続けることの出来る、お稽古系サークルってイイナと思うんです。多分、昨日集まってた連中って、50になっても60になっても学生時代と同じ様に稽古して、同じ様に舞台にたってるのでしょう。しかも、年々少しずつ上達していけるはずです。だって、舞台にたつこと以上の稽古ってないですから。

謡曲仲間ってイイナと実感しました。


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2005年02月27日

長い道のり

本日は沼津で「能に親しむ会」の講演会。
2時からと4時半からと2回に分けて行ないました。4月の「船弁慶」公演に向けて、どちらも賑わいました。特に2回目は「能の世界の義経」と題して大河ドラマにひっかけて「船弁慶」の宣伝をチャッカリする。
「船弁慶」も、S席はほぼ完売となりました。A席はまだありますので、お越しの方はお早めにご注文下さい。当ホームページからも申し込めます。

今日は大変だったのは、実は行き道でした。
日曜日なので、行楽客で伊豆は込むので、早めに車で出たのですが、なんと雪による凍結のため東名高速は、大井松田から沼津間が通行止め。
慌てて246号線に降りるも、やっぱりの大渋滞。地図なき道を強引に通ってなんとか小田原まで下りてきて、小田原厚木道路に乗ったのが運の尽き。事故渋滞で全く動かない。
「おい、こんな時に事故るな」

とにかく、もう間に合わない。
聞いたこともないインターまで何とかたどり着いて、またも地図なき道を通り、イチかバチか小田原駅まで引き返すことにする。
「ああ、カーナビがあれば」と思いつつ、かろうじて小田原駅へ到着する。後は駐車場に止めて新幹線。と思いきや同じ事考えてる人がたくさんいるようで、駐車場が全く空いてない。
駅からかなり離れた駐車場をやっと見つけ、車を突っ込むと、両手両肩に大荷物を抱えて猛ダッシュ。
新幹線に飛び乗ってかろうじて間に合いました。

こんなに暖かいのに、なんで凍結してんだ、全く。やはり、箱根の山を越えるって大変なんですね。さすが天下の険。

明日は沼津稽古なので、今日は沼津泊なのでラクチンの予定でした。しかし、実際は講座の後、これから小田原に車取りに行かなきゃ。
ハァ、箱根越えは凍結が危険なので、熱海に出て、暗い夜道をドライブ。トホホ・・・

昨日、講座準備のため、1時間半しか寝てない。体力持つかな。


at 20:20|Permalink

2005年02月25日

ぎんが能楽サロン

木曜日の夜は、本年2度目の「ぎんが能楽サロン」がありました。

この時期、注意するのはカゼ。特にインフルエンザです。流行ってますから。
今日も、急に来れなくなったお客様が5、6人いらっしゃいました。
主催者が気をきかせて欠席者の分の椅子をとっぱらって、私のスペースを広くとって下さいました。
「これで、今日は存分に動けますね」

今回のテーマは「賀茂」。存分に動かなければならなくなってしまいまった。
一人しかいないので、自分で謡いながら「賀茂」の所作をいくつかやってみる。飛んだり跳ねたり、大変だった。

調子に乗って動きすぎたら、息が切れる。暫くはハァハァ、ゼィゼィ言いながらしゃべるはめになってしまいました。

そろそろ寄る年波を考えなきゃね。


at 08:56|Permalink

2005年02月21日

「朝長」のトモ、長い

昨日、「朝長」のトモ何とか終えました。いやあ、長かった。

今日気付いたのですが、装束って重いんですね。
今日着けた装束は、素襖といって袖のたっぷりしたものだったので、袖の重みが全て腕にくるんですよ。いやあ重かった。

ただ、能の最中は気になりませんでした。
私、「朝長」って大好きなんですよ。謡が凄くカッコイイんですよ。動きの少ない能ですが、謡が盛り上げていって、最後にちょっとだけ動く型が、それまで動かないぶん効果的なのですよ。

そうはいっても、腕は痛い。終演後、名古屋の友達と飲んだのですが、ビールが主食の私ですが、大ジョッキはやめときました。
飲めないんじゃなくて、持てないんですよ。
はぁ、しばらく重いものは持てませんね。

昨日は夜中に帰ってきて、今朝は朝一番に稽古能。
その後、車に飛び乗って、千葉の岩井海岸に来ています。指導している、明治大学能楽研究部の合宿です。
この部の合宿は、夏はスキー場で冬は海水浴場と決まってるんですよね。
何故って、安いから。

今日から3日間、学生の合宿稽古です。なにせ、学生は体力あるから、教えるほうも大変です。なにせ、日に9時間も稽古してますから。そのくせ、朝まで飲んでる。いったい、どういう身体してんだ。
まぁ、私も学生の時は同じでしたけど。


at 20:27|Permalink

2005年02月18日

ライオンキング

今日は、名古屋九皐会の申合せで名古屋に来ております。

私は「朝長」のトモと、「雷電」と仕舞の地謡。
「朝長」のトモは、能楽評論家の堂本正樹氏が隠れた難役と言ってるように、たいへん難しい役です。
ではこの役のなにが難しいのでしょう。
この役は、主人の太刀を持つだけなのですが、問題なのはその時間。だいたい25分から30分くらい、ずっと太刀を肩の高さに水平に持ってなければならない。当然太刀は模擬刀なのですが、それでも結構重い。ただ、この際それよりも無視できないのが自分の腕の重さ。
腕を水平に挙げる以上、太刀の重さと腕の重さを肩で支える形になります。人間の腕って、どれくらいの重さなのでしょうか? 量ったこと無いけど、5キロくらいあるんじゃないですかねえ。試しに、自分の腕を肩と水平に挙げててください。たぶん5分もすれば腕が震えてきますので。

申合せは午前中で終わり。ホテルに移動しましたが、チェックインは3時から。
「どうやって時間つぶそう。あ、そういえば今やっている映画「オペラ座の怪人」見たいんだよな。見に行ってこよっと。」
と、ホテルを出ると、目の前に劇団四季の「ライオンキング」の劇場を発見。今日の公演は13時半からで、当日券ありとの文字を見つける。
これはいいやと、早速入って見る。映画「オペラ座の怪人」がミュージカル「ライオンキング」に変わってしまった。

いやあ、ミュージカルを見るのは一年ぶりだけど、面白いねえ。何といったって、ストーリーや登場人物はいたって単純。ただ見ているだけで楽しめる。そもそもミュージカルって、役者の歌やダンスを楽しむものだから、頭使わなくていい。これが登場人物の人間関係が複雑な演劇とかだと、頭が疲れます。
単純に、ライオンやらハイエナやらキリンが踊ってるのを楽しんでみました。

能もそうなんですよね。難しく考えないで、能楽師の謡や舞を単純に楽しんで欲しいなあと願います。

終演後、本日は特別企画として、「ライオンキング大解剖」という講座が同じ劇場で行われました。
さっきまでミュージカルに出演していた役者が登場して、動物のパペット(着ぐるみのこと。決してぬいぐるみとは言わない)の中身がどうなっているかとか、舞台の裏話などを楽しく聞かせてくださいました。

なんかこれって、九皐会でやってる「のうのう講座」や、わたしが市川でやっている「ぎんが能楽サロン」みたい・・・

どこも、お客さんサービスを一生懸命やってるんですねえ。
いろいろ刺激になった一日でした。


at 22:45|Permalink

2005年02月17日

平家琵琶

今日は、「ぎんが能楽サロン」でいつもお世話になっている「ぎんがホール」へ、平家琵琶(平曲)を聞きに行ってきました。

演奏者の新井素子さんは、日本で数少ない平家琵琶の演奏者として全国で活躍中です。11月の「ぎんが能楽サロン」では、ゲストとして演奏をしていただく予定になっています。

さて、平家琵琶とは聞きなれない言葉ですが、何なのでしょう。
要は、平家物語の弾き語りです。

平家物語の作者って誰でしょう。
源氏物語なら紫式部、枕草子なら清少納言と、作者はすぐ答えられるのですが、平家物語の場合、はたと困ってしまう。
どうも、特定の作者は存在せず、いつの日か琵琶の弾き語りによって伝えられた物語ってのが「平家物語」のようです。

その「平家物語」を語って聞かせるのが平家琵琶です。いわば平家物語のオリジナルです。語りがメインですので、琵琶の演奏は薩摩琵琶や筑前琵琶と比べると、地味ですが、そのぶん語りはしみじみと心の中に染みこんでいきます。ぎんがホールという狭い空間にはもってこいでしょう。

平家琵琶は、発生は能より古く、能の大成者世阿弥も、能の節付けにおいてずいぶん参考にしたようです。能の中に「語」や「クドキ」という一節がありますが、私が思うに、これらなんかかなり平家琵琶から影響をうけているんじゃないかなと思います。

「ぎんがホール」では、偶数月の第3木曜日に、この平家琵琶の会をおこなっております。何せ狭いホールですのですぐ満席になってしまいます。、チケット入手はお早めに。


at 22:21|Permalink

2005年02月12日

明大謡会

今日は、明大能研OB有志による謡会の日でした。
OBの中に、別荘に簡単な能舞台風の部屋を持っている人がいまして、そこで隔月で謡会を行なっています。
私は参加OBの中では圧倒的な下っ端なのですが、玄人なので当然全ての曲で地頭をまかせられます。
とはいえ、先輩たちはみな、お稽古始めて何十年の超ベテラン。まわりで朗々と見事に謡われます。私も負けないように張り合って謡うので、終わるともう声がガラガラ。

今日のメンバーの中には、普段からお稽古している人も、していない人もいますが、みな学生時代に戻って生き生きと謡ってます。終わった後は、当然大宴会。楽しいひとときです。

謡いを通じて、一生付き合える仲間っていいですね。


at 23:46|Permalink

2005年02月08日

実家

今、仕事のついでに広島の実家にいます。

そんなこと言うと、
「実家はいいわね、落ち着くでしょう」
などと言われます。まあ、人それぞれですが、私の場合実家にいるとなんだか落ち着かないですね。
まず、自分の居場所がない。
昔、自分の部屋だったところは完全なる物置で足の踏み場もない。私に許されたスペースは、昔使ってたベッドの上のみ。その上で着替えや覚え物をしてビールを飲む。そして寝る。

またなんといっても、寒い。うちには暖房器具はコタツしかない。昔、自分の部屋だったところには壊れたエアコンが有るのみ。早く直して欲しいのですが、まあ一年に1~2回しか帰らない息子のためにエアコンを直す気なんてさらさらないようですね、やはり。何せ1年の内、360日位はただの物置ですから。
じゃあ、コタツの部屋に行けば良いのですが、そこでは耳の遠くなった両親が大音量でテレビ見てて、やはり落ち着かない。

また、狭いマンションに慣れてしまった私には、田舎のただっぴろい家は不便なことこのうえないんですよ。トイレに行ったり、冷蔵庫にビールを取りに行くのに、遥か歩いて行かなきゃならない。コタツになんぞ入ってたら絶望的です。

「ふるさとは 遠くにありて 思うもの」
とは、よく言ったものですね。
なかなか帰れないと、無性に帰りたくなるのですが、いざ帰ると落ち着かないんですよね。


at 20:15|Permalink

2005年02月02日

能楽体験講座

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「能楽体験講座」と題して昼夜と、講座を行ないました。

昼の部は、素晴らしい日本庭園の池の上に浮かぶ純和風の建物「源心庵」にて行ないました。
上は窓から見た庭の景色です。


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参加者は、ポカポカと陽を受けて、謡に仕舞に元気よく体験出来ました。
能のオモシロさって、色々あると思いますが、能楽師が舞台で行なっている芸と同じものが、気軽に習えるって事も大きいと思います。

こういった体験講座をすると、「へー、能って習う事が出来るんだ! 知らなかった」という声をよく聞きます。

能って、数あるお稽古事の中でも、最も古くから日本人に親しまれてきた芸能なんですが、昨今は、違うようです。どうも日本人から「遠い存在」と思われているようですね。
今回、参加者より、「面白かった」「またやりたい」という声を多数頂きました。「能に親しむ会」はその名の通り、能に親しんでいただく会です。「遠い存在」の能を、身近なものにしていきたい・・・
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その一心でやっております。準備は大変ですが、また続けていきたいと思います。

左は、夜の部の様子です。夜は、葛西区民館の本格的なホールでの体験講座。参加者は、めったに上がれない舞台の上で緊張してましたが、それもまた良いものですね。


at 21:26|Permalink

2005年01月30日

義経

大河ドラマ「義経」、面白いですね。毎週楽しみにしています。

「義経」の放送は、能にとっても追い風です。なにせ、能には「義経物」多いですからねえ。
今日は、鞍馬山で義経が鬼一法眼について武術の修業をする話。まあ、これはいわゆる「鞍馬天狗」のお話です。次回は、有名な五条の橋での弁慶との対決の話。これは言うまでもなく「橋弁慶」の話です。

私も、今年は所縁の能をいくつかさせていただきます。
まず、4月には沼津で「船弁慶」。7月には若竹能で「箙」。狩野川薪能で「鞍馬天狗」。
大河ドラマとの対照で見ますと、まず「船弁慶」では前半は静御前の役をやります。大河では同じ役を「石原さとみ」がつとめています。後半は平知盛の役。これは大河では「阿部寛」がやってます。
「箙」のシテは梶原景李ですが、これは配役が発表されてません。あまり有名な武将じゃないので、大河には出てこないかも。因みに、梶原景李の親父、景時は、「中尾彬」がやるようです。
「鞍馬天狗」のシテは、義経に武術を教える天狗。つまり、今日出てきた「美輪明宏」です。

「だからどうした」と言われればそれまでです。まあ、そういうこと。


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2005年01月28日

能に親しむ会

昨日の「ぎんが能楽サロン」の余韻も醒めないうちに、今度は来週江戸川区葛西で行なう「能に親しむ会」能楽体験講座の準備で忙しいです。

この講座、能の台本を独自の節に合わせて歌う、謡(うたい)や、能の見せ場となる短い部分を演じる舞である、仕舞を紹介して体験もしていただくという、お得な講座です。詳しくは「ホーム」から「お知らせ」をご覧下さい。

昼の会場は、日本庭園の池に浮かぶ、素晴らしい雰囲気の「源心庵」という和風建築で行い、夜の会場は、葛西駅から徒歩5分という好立地にある葛西区民館ホールで行ないます。

昼の部はほぼ定員に達しましたが、夜の部はまだ余裕がございます。このホームページからも申込みできます。
宜しくお願い致します。


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2005年01月27日

ぎんが能楽サロン

今日は、「ぎんが能楽サロン」の日でした。

この催しは、市川市に「ぎんがホール」という小さなホールを経営している方が主催している講演会です。毎月1回、主に次の月の九皐会の演目を採り上げて能のお話をするという内容でして、謡や仕舞の実演をしたり、また月によっては能装束や能面を間近でご覧頂いたり、平家琵琶の演奏が聴けたりもするお得な講座です。
講座の監修は、能楽研究者の早稲田大学教授・小林保治先生という豪華布陣。私はあくまで能役者として、実演を交えながら体験談や舞台裏などの楽しい話をしたあと、小林先生が補足としてアカデミックな話をして下さいます。
昨年11月に「先触れの会」としてプレ講演を行い、今日が第1回。お陰様でスゴイ人気でして、前回も今回もアッという間に定員オーバー。なにせ、「ぎんがホール」は個人宅にしつらえた小規模のホールでして、35人も入れば一杯になってしまいます。
小規模ホールならではのアットホームな雰囲気がかえって受けているようです。講座終了後には、椅子をとっぱらって、その場でコーヒーやワインを飲みながらの懇親会。私や小林先生と、お客様との触れ合いの場でして、率直な感想や質問などに答えながら楽しくおしゃべりをさせていただいています。まさに「サロン」

私も「ぎんが能楽サロン」、とても楽しみにしています。大学教授も一緒ですので、うかつな事は言えません。毎回、下調べがたいへんですが、かえっていい経験になっています。詳しい内容は「ホーム」から「お知らせ」の欄をご覧下さい。ご希望の方は「ぎんがホール」または「能に親しむ会」までお問合せお願いします。


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2005年01月20日

文化服装学院

今日は、文化服装学院校外教室で、能「羽衣」のシテをさせていただきました。
この催しは、文化服装学院の学生を対象にした学生能です。ファッション専門学校の学生に見せるということなので、通常の能の前に能装束の着付けの実演を行うというのが目玉となっております。

この文化服装の学生能が始まったのは、記録が残っている限りでは昭和33年!! つまり、もう50年近くも代々の文化服装の学生は、矢来能楽堂で能を見ているってことです。文化服装といえば、知る人ぞ知る日本のファッション界の名門。その卒業生は、コシノヒロコ・高田賢三・山本耀二らデザイナーの巨匠達や、おすぎとピーコなど多岐に渡っています。その面々も、きっと矢来のどこかの席に座って、九皐会の先輩達の能を見ているんですよね。何を感じ、今の創作にどう影響しているのか、今度会ったら聞いてみようっと。(会うことはないと思うけど)

能装束のデザインには、日本の古くからの美が詰まっています。またその着付けには、日本人の知恵が詰まっています。装束着けの実演を目の当たりにして、また能を間近に鑑賞することは、デザイナーやスタイリストの卵たちにとって、かけがえのない経験となることでしょう。

今年も3日間で7公演が行なわれ、若手がシテを順に舞います。あまり能を舞う機会のない若手にとっても貴重な体験で、私は初シテも7年前のこの催しでした。

今日も気合入れて舞いました。私の能を見た学生が、何かを感じ、将来の創作の手助けになれればと思います。


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2005年01月18日

NHK収録

今日はNHK FMラジオの収録がありました。
毎週日曜日の朝7:15からやっている、謡曲ファン以外はまず聴くことのない能楽鑑賞の番組です。
ただ、謡曲ファンは結構聴いていて、かくいう私も、さすがに生では聴いていられないので、タイマー録音をしてよく聴いています。

私、実は初めての収録でした。ドキドキしながら、NHK放送センターに行き、スタジオに通された。
そのスタジオを見て、唖然。
とにかく広い。バスケットコートが2~3面とれそうな広さだ。
そのただっぴろいスタジオの片隅に、緋毛氈を敷いて、5人膝をつつき合わせて謡いました。
最初はその異様な状況に圧倒されましたが、謡い始めると別に何と言うこともなかったですね。
まあ、変な所で謡うのは慣れていますから・・・

放送は、2月6日(日) 朝7:15~8:00  NHK FMラジオ
番組は、素謡「羽衣」 シテ・地謡     津村禮次郎
               ワキ・地謡    中所宜夫
               ワキツレ・地謡  桑田貴志
              地謡        鈴木啓吾・坂真太郎

     連吟「屋島」 シテ・地謡  鈴木啓吾
              ツレ・地謡  坂真太郎
              地謡     津村禮次郎・中所宜夫・桑田貴志

です。乞うご期待。


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2005年01月17日

祝 レベルアップ

レベルアップしました。

これは英会話の話。私はうさぎのCMで有名な某英会話学校に通っているのですが、今日レベルアップを果たしました。といっても、9段階中、下から3番目から4番目に上がっただけですが。
今日のレッスンを終えた後、先生に「では試験をうけましょう」と言われた。
「試験?」
「そろそろ上のレベルに推薦しますから試験を受けてください」
「へ、試験・・・。受けないといけないのですか」
「もちろん」
「落ちる事もあるのですか」
「当たり前です」

いろいろ食い下がる私をインストラクターのきれいなお姉さんは、明るく個室に案内する。
「この画面を見てて下さい」
「え? テレビ見てればいいんですか」
「見てるだけではダメです。中の先生が問題を出しますので、受け答えてください」

あ、これが有名なお茶の間留学に使うTV電話かあ、などと感心してたら、画面に自分が映った。
「へえすごいもんだ、ホントに映ってる」と、画面に向ってピースしたり面白い顔してると突然画面が切り替わって、外国人の先生がにこやかに話しかけてきた。「げ、マズイ。今の面白い顔みられちまったかな」

緊張している私に、無表情で話しかけてくるテレビの中の先生。ただ試験自体は、シカゴ出身という先生と、マイケルジョーダンがいたころのシカゴ・ブルズの話で盛り上がっているうちに終わってしまった。先生は、「しまったもう時間か」と言いながら、「それでは、結果は後ほどお知らせします」と、試験を終えてしまった。
「チョット待った、何が試験だ。バスケの話しかしてないぞ。それに「しまった」ってなんだあ」
そう思っても後の祭り。ドキドキと結果を待ってたら、合格してました。

その習得度を見ると、「日常生活や旅行中に最小限度必要な会話力はある」とある。へえ、スゴイもんだと思ってたら、インストラクターにこう言われた。
「新しいレベルに入っても、リスニングは上位です。自分から話しかける会話力はかなりのものです。」
おお、褒められたぜ。
「ただ、文法はメチャメチャです。もっと勉強してください」

そんな訳ないだろ、こう見えても大学行ってんだし・・・ と思って帰宅すると、新聞にセンター試験の問題が載ってた。
よっし、第一回センター試験受験者(かつ第二回受験者)としていっちょやってみるか。

結果は・・・・ インストラクターの注意が納得出来ました。


at 21:22|Permalink

2005年01月16日

「冬のソナタ」

「とりあえず、流行ってるから見てみるかな」

年末に、またまたやってました、「冬のソナタ」。 しかも完全版。
今まで一度も見たことなかったんですが、ここまで日本中でさわがれてると、いちおう見ようかなという気になってくる。私のモットーとして、流行り物は取り敢えず押さえる。

「まあ、見ないと文句も言えないしな」

そして、・・・見事に文句言いながら、しっかり見ています。

年末にまとめて録画してたのを、最初は年賀状など書きながら適当に見てたのですけど、とにかくこのドラマ、突っ込むところが多すぎて、目が離せない。

「なんで、家の中なのにマフラーしとんのや」
「ヨン様が高校生って、無理ないか」
「このお父さんのメガネ、面白い柄。というより、焦点合ってないぞ」

などなど。そして、話の展開が何だか懐かしい。私が中学生の頃一生懸命見ていた大映ドラマ(「不良少女とよばれて」とか「少女に何がおこったか」とか「スクールウォーズ」など)のノリ。
とにかく、伏線が見え見えなので、ついTVに向って突っ込んでしまう。

「あ、こんなこと言ってるけど、どうせ誤解がとけて、仲直りするんだぜ」
「ほら見ろ、言ったとおり」

さらにそんな重い展開なのに、ノリはバブルの頃流行ったトレンディドラマ。移動は全てタクシーだし、待ち合わせはオシャレなカフェ。相手が電話口で泣こうものなら、仕事をホッポリ出してスキー場からソウルへ駆けつける。

そしてこのドラマは年配の人に言わせると、「君の名は」なのだそうだ。すれ違いと勘違い。あくまでプラトニックな純愛。(キスシーンすらほとんど出てこない。それ以上は皆無)

いやあ、これは日本人に受けるのも無理はない。「君の名は」から、大映ドラマ、トレンディドラマと、日本人の全ての年代に受け入れられる作りだからねえ。
きっと今夜も、文句言いながら、見るんだろうな。



at 22:45|Permalink

2005年01月11日

「翁」の後

「仕事が始まったら、ネタができるからジャンジャン日記を書くぞ」
そう思ってましたが、間違いですね。

舞台の前は、大体演目の謡を覚えててとても余裕ないですし、終わった後は終わった後で、疲れ果てて、それどころじゃない。
特に最近の舞台では時節柄、終演後はよく新年会という禁断のお誘い。ビールが主食と公言している私としては、ついつい飲み過ぎてしまい、帰ったらバタン・キュウ。とても日記どころではありませんですね。

一昨日、九皐会の初会があり、毎年恒例の「翁」が上演されました。
「翁」はいいですね。福山でも思いましたけど、心が洗われます。
実際開演前、「翁」の出演者一同でお清めの儀式を行なって、体を清めます。
「翁」自体も、ストーリーなんてない、呪術的な儀式のようですし、ましてや精進潔斎を済ませて清らかな役者で演じられるこの演目はご利益いっぱい。
お客さんが、幸せな気持ちになるのも無理はないです。何せ「翁」が終わった後、楽屋で出演者もキラキラしてますから。まあ、次の能が始まる頃には元の難しい顔に戻ってますけどね。
私のお弟子様に
「翁を見ないと年が明けない」
と言う人がいます。その気持ち分かります。

今年見逃した方、来年は是非ご覧下さい。オススメいたします。


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2005年01月04日

謹賀新年

明けましておめでとうございます。

私は今、実家のある広島県福山市へ帰省しております。
正月に能楽師は何やってるかといいますと、まあそれぞれです。
だいたいは、新年謡初めがあったり、どこどこ神社で「翁」の奉納があったりと忙しいのが相場です。
ただ我々九皐会は、師匠が正月はキッチリ休む主義なんで、門下も比較的正月休みを満喫している人が多いですね。

もちろん、正月こそ能楽師の出番とばかり精力的に働いている方もたくさんいます。ここ福山にもいるのです。

福山には喜多流の大島家という江戸時代から続く名家があります。現当主は大島政允さんといって、福山が誇る能楽師です。
もう一つ福山の誇りとして、日本3大能舞台の一つ、「沼名前神社能舞台」があります。(因みにあと二つは京都の西本願寺と広島の厳島神社)
この舞台は豊臣秀吉が伏見城で使っていたものを移築したもので、桃山建築を今に伝える、貴重な舞台です。
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その舞台で、大島さんは毎年「翁」の奉納を行なっているのです。
でもって私、昨日行われた奉納に行ってきました。勿論お客さんとして。
いやあ、翁はいいですねえ。心が洗われます。大島政允先生の堂々とした貫禄にも圧倒されました。
私の師匠の観世喜之先生が以前、
「翁というのは、存在感と説得力だ」
と新聞紙上でおっしゃっていたのですが、本当にそのとおりですね。実感いたしました。

そして私も、福山が誇る、この豊臣秀吉の汗のしみこんだ能舞台で舞ってみたいと強く思いました。

決意は新たまったが、正月休みはまだ続く。


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2004年12月31日

大晦日

2004年もあと少しで終わりです。
今年もいろいろなことがありました。1~3月にはシンガポールの演劇学校でアジア10カ国の役者さんたちに能を教えるという素晴らしい経験をしました。怪しい英語で朝から晩まで接した学生さんたちとは、今でもメールのやり取りがあります。

3月にはまた、沼津市で「能に親しむ会」主催の、自主公演を行ないました。私にとって初めての主催公演であり、企画から営業、はてまた当日のシテまでつとめ、たいへんしんどい日々であったことが思い出されます。チケット販売に関しては、多くの方の協力をいただき、おかげさまで満員のお客様をお迎えすることができました。この場をかりて御礼申し上げます。
来年も4月9日に第2回の自主公演を予定しております。宜しくお願いいたします。

4月にはオランダ・ベルギー公演に行き、7月には九皐会で「殺生石」を舞いました。8月には伊豆の狩野川薪能にて、地元の小学生と一緒に創作能に挑むという体験をいたしました。子供の稽古って、外国人よりたいへんですね。

12月には能楽師の登竜門の一つである、「猩々乱」を披き、またこのホームページを立ち上げました。

その他いろいろあった1年ですが、何とか無事終える事ができました。お世話になった方に、重ねて御礼申し上げます。
来年も、いっそうの精進を重ねる所存です。何とぞ宜しくお願い申し上げます。

追記 今年の紅白歌合戦の司会をしている小野文恵アナは、私の中学高校の2年先輩です。残念ながら、面識はないのですが、同じ校舎で学んだと思えば親近感がわきます。頑張ってください

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