2024年12月04日

緑泉会「源氏供養」

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今年は大河ドラマ「光る君へ」の影響で、紫式部と源氏物語がブームとなっています。様々なところで関連した講座や書物を目にします。世界最古の長編小説である源氏物語と、その作者の紫式部は、日本はもとより世界的にも有名です。

 

能「源氏供養」のシテはその紫式部です。紫式部自らが源氏物語を語り、登場人物の光源氏の弔いをするという面白い趣向の能です。

 

 紫式部は、うそ偽りの物語で人々を惑わせた罪(狂言綺語)によって死後成仏できずに苦しんでいるという言い伝えが平安時代末期からありました。その紫式部を救うために行われた法要が源氏供養であり、そこで読まれたのが、「源氏物語表白」という法要文です。この法要文は、源氏物語の54の巻名を全て織り込んで、仏の教えを巧みに説いています。

 

能「源氏供養」は、その法要を能の形にしたものです。特にクセという段落では、「源氏物語表白」をそのまま取り入れた美しい詞章と巧みな節付けの謡にのせて、紫式部が華麗に舞を舞います。

「空蝉」「夕顔」「若紫」「末摘花」「花散里」「明石」「玉鬘」「浮舟」など、源氏物語に出て来る数々のヒロインたちの名前が次々登場するクセの詞章は、源氏物語の総集編を見ているかの如く、優雅な気分に浸ることが出来ます。

 

紫式部は、小説を書き和歌を詠み漢学の才もあり、また琵琶も嗜んだと言われています。ただでさえ世界的に有名な才媛なのですが、能はさらに舞の名手という設定を加えています。

 

平安時代の宮中絵巻の雰囲気に浸りながら、紫式部の優雅な舞をじっくり楽しむのがこの能の見どころです。

 源氏物語と平安文化が話題となった今年の締めくくりに、華やいだ気分で「源氏供養」を演じたいと思います。




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2024年11月02日

茉莉会 20周年記念大会

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11月4日に、私の社中会「茉莉会20周年記念大会」が、矢来能楽堂にて華々しく開催いたします。

師匠である観世喜之師・観世喜正師をはじめ観世九皐会の方々、お三役の方々のお力添えをいただきます。

重習「求塚」準九番習「弱法師」の素謡や、舞囃子「西王母」「敦盛」「融」「猩々」「須磨源氏」「山姥」など、盛り沢山の内容です。

また今回は、20周年を記念して長男・潤之介(高3)と次男・大志郎(高2)に能「小袖曾我」をさせます。
リアル兄弟で曾我兄弟を演じてもらいます。
曾我兄弟の母役は、父親の私が演じます。

久しぶりの親子3人の共演となります。

この日まで、長い人は1年以上の稽古を積んできました。
社中一同、稽古の成果が発揮できるよう、精一杯つとめます。

入場無料です。

何とぞよろしくお願いいたします。


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2024年10月11日

九皐会「三輪」

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10月13日(日)に、観世九皐会定例会にて能「三輪」を演じます。

今日、申合も無事に終わりました。
今日演じてみた感触は、まずまずでした。

やはりいくつか問題点が現れましたので、本番までの2日間でうまく修正したいと思います。

ここのところ急に寒くなったせいか、喉の調子が良くないのですが、今日は割に声が出ていました。
とにかく、体調管理が一番大事なことです。



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2024年08月12日

深川八幡祭 子供神輿連合

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今年の深川八幡祭は、子供神輿連合渡御です。

東京駅から皇居へ続く、天下の永代通りを封鎖しての子供神輿連合渡御です。
集まってきた神輿は、48町会から52基。
「わっしょい わっしょい」の可愛らしい掛け声をかけながら、威勢よく神輿が練り歩きます。

深川の神輿文化を次代につなげるこの子供神輿連合渡御も、コロナ禍により、5年ぶりの開催。
6年間の小学校を考えると、ギリギリ」のタイミングでした。
5年前、1年生で参加した子がギリギリ6年生となって、下級生たちのサポートに回っている姿はほほえましかったです。

うちの子供たちは、高校3年生と2年生。完全に裏方です。
大人たちに交じって、さまざまなお手伝いをしていました。

その姿を見ると、頼もしく思います。
幼少の頃、水がかかって大泣きしていた姿を思い出します。

私が住んでいる町会では、地元の中学生が作成した仮装神輿も担ぎました。

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小さな子供は、「豆しば」神輿に大喜び。

大人でも子供でもない中学生が、神輿作成という形でお祭りに参加しているのがすごいなあと思います。

深川八幡祭も佳境です。
明後日は、いよいよ「深川八幡祭 能奉納」です。

準備に余念がありません。


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2024年08月10日

深川八幡祭 能奉納「小袖曾我」

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今年も、「深川八幡祭 能奉納」致します。

今年の深川八幡祭は、子供祭りです。
東京駅から皇居へ連なる大動脈・永代通りを封鎖して深川48町会から52基の子供神輿(仮装神輿含む)が集まって渡御します。

子供祭りにあやかり、今年は息子たちに能をさせます。

曾我兄弟を扱った能「小袖曾我」を、リアル兄弟で演じます。
18歳の長男・潤之介と17歳の次男・大志郎は、張り切っています。

私は、仕舞「船弁慶」で暴れまわろうと思います。

他にも、桑田貴志社中の仕舞・連吟等盛りだくさんの内容です。

神社の奉納行事ですので、入場無料です。
お祭り見物がてら、是非お運びください。




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2024年06月30日

「融」御礼

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第14回「桑田貴志 能まつり」、大盛況でした。
客席は、ほぼ満員。暑い中、多くのお客様がお運びくださいました。
この場を借りて御礼申し上げます。


今回演じたのは、「融」です。「舞返之伝」という特別な小書に挑戦しました。

「舞返之伝」とは、舞を返す、即ち舞を2度舞います。しかも「早舞クツロギ」「急之舞」という難易度の高い舞を立て続けに舞います。
技量はもちろん体力と気力も、求められます。


最近、私は膝を痛めておりまして、当日は正座もままならない状態でした。

膝は、能を舞う時のキモです。痛いなんて言っていられません。痛いの痒いのなどと弱音を吐かず、気合を入れて臨みました。そうは言っても気合だけでは心もとないので、痛み止めの薬も飲みました。

上演中はアドレナリンが出ていますので、膝の痛みなど忘れています。
思う存分動き回ることが出来ました。
膝は大事にせねばなりません。もっと、体重を落とさねば、、、


さて、前シテは汐汲みの老人です。
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田子という汐汲みの桶を担いで登場です。
光源氏のモデルとも謂われるイケメン貴公子・源融ですので、老人とはいえ明るい色目の装束を選びました。

前シテは、とにかく謡が多い。次から次へと謡います。
ワキとの掛け合いも多いのですが、これが厄介です。
ワキの殿田謙吉師は下掛り宝生流のワキ方なので、観世流と謡が違います。
「融」は殊に違っているので、つい紛れてしまいます。惑わないよう気をつけました。

前場の見せ場は、田子で汐を汲む場面です。色んな汲み方がありますが、今回は舞台の外の白洲の水を汲むというケレン味たっぷりの型でいたしました。

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能面を着けていると足元が見えないので、舞台の端へ行くのは怖いものです。
すり足で舞台の前へ進みます。足元が見えない中、頼りとなるのは足の裏の感覚だけです。進んでいくうちに、足の裏で舞台のヘリが感じられました。手探りならぬ足探りでの前進です。

この辺が舞台の端だと察したら、えいやと深くかがんで桶にて水を汲みました。
なかなか上手くいきました。
こういう風に遊び心を持った型も、能には多くあります。

後場は、楽しんで舞えました。

後の源融の装束は、直衣という能装束の中でも格の高い装束を着けました。
通常は狩衣という装束を着ますが、直衣を着るとグンと位が上がります。
能では、天皇かそれに準ずる位の役が着けます。めったにお目にかかれません。

源融は、左大臣という最高位の大臣であり、何より嵯峨天皇の皇子という皇室の血筋を引いている貴公子です。直衣にふさわしいと思い、今回は着させていただきました。

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上着の直衣が気品のある白色なので、他の装束は朱色で統一しました。
下の大口袴と中に切る厚板から、腰に巻く帯(腰帯)や袖口のツユまで朱色です。

また、左大臣という偉い役職の人なので、自ら太刀を着けて戦ったりはしないのでしょうが、格好が良いので真の太刀という綺麗な太刀をはきました。

なかなか華やかな出で立ちの後シテ・源融でした。


「早舞クツロギ」は、囃子との兼ね合いが難しい舞です。
特に今回は、笛方の一噌隆之師が「句マタギ・吹きソラシ」という難しい替えの演奏をしてくださいました。

この替えの演奏は、聞く方は華やかで良いのですが、舞う方は聞きなれない笛の譜なので混乱します。
細心の注意を払いながらの舞でした。

「急之舞」は、文字通り急速の舞です。フルスロットルで動かなければなりません。
そうは言っても、ドタバタと舞うのでは台無しです。

左大臣・源融らしく気品を持って舞うよう心掛けました。24.06.30 能まつり (174)

体力的には辛かったのかもしれませんが、気力が充実していました。
イメージ通りの舞ができたように思います。


舞の前に、扇を投げるという珍しい型があります。

笛の前辺りから、角に向かって軽やかに扇を投げるのですが、常座の方へ転がっていきました。
一瞬、扇を見失って焦りました。
舞台に落ちる音がしたから、どこかにあると思われます。

この場合、最悪なのは舞台の外に落ちること。(もちろん、落ちた時のために替えの扇も用意してあります)
その最悪の事態は避けられたっぽいのですが、能面していて視界が狭いので、扇がどこにあるのかわかりません。
キョロキョロする訳にいかないので、落ち着いてゆっくり舞台を見回し、何事もなかったように扇を拾いました。

お客様から、「あれは扇を落としたのですか?」と聞かれました。
あれはそういう型です。決して失敗したわけではありません。念のため。

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大河ドラマ「光る君へ」の影響で、昨今平安貴族がブームになっております。

平安貴族の優雅な舞に思いを馳せながらの、楽しい舞台でした。

写真撮影 駒井壮介
無断転載厳禁


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2024年06月29日

明日、能まつり「融」です

融チラシ

いよいよ明日、「融」です。
チケットもコロナ以後では、売れ行き好調です。
まだ、若干チケットございます。当日券販売いたしますので、お運びいただければ幸いです。

申合も終わり、今日は明日に備えて、自宅舞台で最終チェック。

明日の用意も、ひと通り終わり、ホッとしたところです。

明日は良い舞台にしたいと思います。

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お客様に、いつも当日の能にちなんだお菓子を送ってくださる方がいます。
今回は、塩釜の浦の藻塩を焼くところにちなんで、「塩釜の藻塩」の「焼ショコラ」

毎回、趣向を凝らしたお菓子です。


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2024年05月27日

深川能舞台チャンネル 「融」見どころ紹介

一年ぶりに、深川能舞台チャンネルの更新です。

6月30日に開催する主催公演「桑田貴志 能まつり」で演じる「融 舞返之伝」の見どころを紹介しています。

一年ぶりの動画編集に、相変わらず四苦八苦。
少しは慣れてきました。

能「融」の見どころを20分くらいの動画でまとめておりますので、6月30日に鑑賞する方はご覧いただければ幸いです。




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2024年05月25日

桑田貴志 能まつり「融」

融チラシ
融チラシ 裏面


自身の芸の研鑚のため立ち上げた「桑田貴志 能まつり」
14回公演は、能「融」に挑戦します。


この能は、美しく風流な平安貴族・源
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そう紹介すると、「源氏物語」の光源氏のイメージと重なります。実際に、源融は光源氏のモデルの一人と謂われています。


百人一首の「みちのくの しのぶもぢずり誰ゆえに 乱れそめにし われならなくに」の作者・河原左大臣は、源融のことです。
陸奥按察使(むつあぜち)として東北地方に滞在していた時の経験をもとに詠んだ、恋の歌と謂われています。

 


源融は、自宅の六条河原の院に陸奥の景勝地・塩釜(今で言う日本三景・松島)の景色を模した大庭園を造り、在原行平・業平などの貴族の友人たちを招いて、毎夜酒を酌み交わして和歌や管弦・遊舞を楽しんだそうです。

 
光源氏が
「少女」の巻で建てる大邸宅・六条の院は、この河原の院がモデルと謂われ、また「夕顔」の巻で夕顔上と密会する六条あたりの荒れた邸宅も、河原の院の荒れ果てた姿であると謂われています。平安時代の人は、「源氏物語」を読みながら光源氏に源融を重ねていたことでしょう。

 
今年は大河ドラマ「光る君へ」の影響で平安時代がブームとなっています。
平安時代に思いを寄せながら、イケメン貴公子がくりひろげる華麗な平安貴族の世界を、お楽しみいただければ幸いに存じます。


 
「融」は2013年以来の再演ですので、今回は「舞返之伝」という小書(特殊演出)で演じます。
「舞返し」という名の通り、舞を二度舞います。
一度目は早舞をクツロギという緩急に富んだ遊興的な舞です。型も増え、動きに回転が何度も加わり躍動的に舞います。

一度目の舞の後、すぐさまテンポが速まり二度目の舞「急之舞」が始まります。
「急之舞」は世界一速い舞と謂われ、「道成寺」と「紅葉狩」にしかない特殊な舞です。
演者の技量が試される至難の舞ですので、しっかり稽古して臨みたいと思います。

 


仕舞は、観世喜之師の「駒之段」と観世喜正師の「雨之段」です。どちらも月に思いをはせる舞です。月光輝く下で舞を舞う「融」に合わせて、月光浴を感じられる曲をお願いしました。

 


狂言「吹取」は、大人気曲です。これも月夜と音楽に因んだ曲です。曲中で演者が実際に笛を吹くという珍しい狂言です。この難しい役を、多方面で活躍されている人気狂言師・野村萬斎師にお願いしました。萬斎師が笛を吹くシーンが見せ場になっています。どのような笛が吹かれるのか、お楽しみください。

 

チケットは、私の公式ホームページの申込みフォームまたはメールからお申込みください。


お電話でのお申込みは、矢来能楽堂のみにて受け付けます。何とぞよろしくお願いいたします。

 


WEB
予約 
http://fukagawanohbutai.sakura.ne.jp/  E-mail    shitashimu@hotmail.com

     TEL予約 03-3268-7311(矢来能楽堂)




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2024年03月10日

「大江山」御礼

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若竹能「大江山」無事終わりました。
冷たい雨の中でしたが満員のお客様にお運びいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

今年の若竹能は、「山光水色」をテーマに山と海の景色を描きました。
まず2月は、山にちなんだ能の上演です。

初番は「吉野天人 天人揃」4人の天人が登場して、吉野山の美しい桜景色の中、華やかに舞いました。
その後が「大江山」です。
「大江山」は、5人の武士が勇ましく現れて、酒呑童子という鬼と戦うと言う、賑やかな能です。

どちらの能も派手で、楽しい内容でした。

私が演じた「大江山」は、おとぎ話のような能です。

前半は、お酒好きな童子という出で立ち。
「明け暮れ酒を好きたる」とか「酒ほど面白きものはなく候」
などと言いながら、ワキにお酒をお酌されて、喜んで呑んだくれます。
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何だか、とても親近感のわく役どころです。
楽屋では「ピッタリな役だなあ」とからかわれました。

酔っぱらった酒吞童子は、自分の生い立ちを語って楽しそうに舞を舞います。
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実は恐ろしい鬼なのですが、前場では楽しそうな雰囲気を出すように心掛けました。
ただ、無邪気な童子の装いの中にも、鬼としての強さを内在させて、謡い舞わなければなりません。

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この日に着た厚板唐織は、大江山の時によく用いられる観世喜之家の名品です。
華やかな色彩の中にも、強い柄の模様が映えています。


後場は、酔っぱらって寝ているところを、ワキ方5人で構成される源頼光一行に襲われます。

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鬼神の本性を現した酒吞童子と、源頼光たち5人の武士たちが勇ましく戦います。

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この辺りの戦いは、キチンと型が決まっておりません。
その都度、相談してきめます。

今回のワキは、長身で身体能力の高い福王和幸師でした。
私と背丈も合うので、戦っていて見栄えがします。2人で、動きを相談して派手な型で戦いました。

鬼神を5人がかりでやっつけるのは、昔からゴレンジャーなどの戦隊物シリーズのお約束です。
舞台狭しと動き回り、結局やられてしまいます。

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5人がかりで切り付けられた酒呑童子は、

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あえなくやられます。
今回は、派手に仏倒れという型で最後シメました。

身体を直伸したまま、後ろに倒れるという大技です。私のような大きな体躯の者がやるとド迫力です。

結構危険な型で、過去には脳震とうをおこしたり、首の骨を折った人までいます。
今回は、きれいに決まりました。

実は、仏倒れをする前はけっこう怖かったのですが、上手く決まってホッとしています。
これだけ派手な立ち回りを見せたので、最後も華々しくやられようと、意を決して挑みました。

上手く倒れたので、頭は打ちませんでしたが、背中が少々痛い。。。


写真撮影 駒井壮介
無断転載厳禁


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2024年02月18日

若竹能「大江山」 あと一週間

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若竹能では、技芸向上のため毎年テーマを決め、メンバー一同で懸命に取り組んでおります。

今年のテーマは、「山光水色(さんこうすいしょく)」です。
日本人が古来より大切にしてきた「山の風景と海の風景」の美しさを現わす言葉です。
まず2月は、「山の風景」にちなんだ能をお楽しみいただきます。

私は今回、京都の北にある大江山を舞台にした能「大江山」に取り組みます。
この能は、単純明快な鬼退治物です。正義の味方・源頼光(らいこう)が仲間とともに、大江山に棲む酒吞童子(しゅてんどうじ)という鬼神をやっつける爽快な物語です。

源頼光は、昔からおとぎ話などで、数々の鬼を退治したという伝説を残すヒーローです。能の中にも「土蜘蛛」「大江山」「羅生門」などが、源頼光の鬼退治を扱っています。

源頼光(ワキ)は仲間(ワキツレ)を4人従えて、酒呑童子(シテ)の退治に大江山に赴きます。
前場では、源頼光たちは道に迷った山伏のふりをして酒吞童子の棲家に入り込みます。
本当の山伏であると思った酒吞童子は源頼光たちにお酒をふるまい、自ら舞を舞いやがて酔っぱらって寝てしまいます。

前場では、山伏のふりをする源頼光とそれを疑わずおもてなしをする酒吞童子の言葉のやりとり、また酒呑童子の酒に酔いながら舞う舞が見どころです。

後場では、酔っぱらって鬼神の本性を現した酒呑童子と源頼光たちとの激しい戦いが見どころです。
源頼光は仲間を4人引き連れ5人で酒呑童子に立ち向かいます。
太刀を抜いて猛然と斬りかかる源頼光たちに、酒吞童子はあえなく倒されてしまします。後場の迫力満点の戦いをお楽しみください。

ワキ方が大活躍する能「大江山」。 
今回のワキは福王流の若宗家福王和幸師にお願いしました。長身で運動神経の良い福王和幸師は、頼光の役が良く似合います。
ワキツレも大事な役であるので、大阪から弟の福王知登師をお招きしました。福王兄弟との共演は、私自身とても楽しみにしています。

公演まで、あと一週間となりました。
しっかり稽古して万全に臨みたいと思います。


正面席は、おかげさまで完売となりましたが、脇正面席と中正面席は、まだ少し残席ございます。
是非ともお運びください。


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2024年01月31日

下甑島にて能楽公演

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朝、ホテルの窓を開けると素晴らしい朝日が飛び込んできました。

下甑(しもこしき)島というところに、文化庁学校巡回公演に行きました。

下甑島は、鹿児島県薩摩川内から、西に2時間半ほどフェリーで行ったところにある離島です。
離島の診療所の物語を描く「Dr.コトー診療所」という漫画や映画の舞台となった島だそうです。

人口1700人ほどの小さな島の中学校での学校巡回公演。

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このような離島での公演こそ、文化庁学校巡回公演の事業の意義があるように思います。

今まで、西表島や徳之島や壱岐島など、いろいろな島に行きました。
その中でも下甑島は、最も小さな島でしょうか。

離島の生徒さんたちにとって、生の能と狂言を学校の体育館で見ることが出来るなんて、素晴らしい体験となったことでしょう。
演者の一員としても、こういう場所で演じることが出来ることは貴重なことです。


それにしても、時間がかかりました。
朝、10時ころ自宅を出て、羽田空港から鹿児島空港まで2時間。鹿児島空港から薩摩川内港までバスで1時間半。薩摩川内港から下甑島までフェリーで2時間半。
下甑島のホテルに着いたのは19時でした。

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下甑島に着くと、真っ先に郵便局の車が出てきました。当然ですが、下甑島にも郵便局はあります。
仮に、東京から下甑島にハガキを出しても、63円で届きます。
郵便局の全国統一料金って凄いと、感心しました。

帰りは、フェリーの時間の関係でもっと時間がかかりました。
12時ころ学校を出て、自宅に着いたのは23時半。

長旅でしたが、清々しい気持ちです。


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2024年01月26日

マレーシアから来たれる

先日、香港で20年前に教えた学生と再会した話をしました。

 

やはり20年前に教えたマレーシア人の学生が日本に来ているそうです。

この前の香港の2人の学生もそうですが、20年も前に教えたのに、未だに覚えてくれていて連絡をくれることをとても嬉しく思います。

 

彼女はマレーシアの演劇界ではかなりの地位にいるようです。まあ、それだけ20年の月日は大きいのですが。

 

東京に来るというので、20年前に同じくシンガポールで教えた日本人の学生(今は国際的に活躍している役者です)と彼の奥様も交えて食事をしました。

 

食事の前に、矢来能楽堂にて観世喜正師に会いに行きます。

観世喜正師は、お稽古の合間に彼女と少し談笑。

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その後、神楽坂の和食の店に移動して昔話に花を咲かせました。

 
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20年前のことですが、本当に昨日のことのように思い出します。

私も本格的に外国人に能を教えたのは初めてでしたので、本当に印象深いです。



20年前、シンガポールで能を教えたマレーシア人と日本人と、東京で再会するって、嬉しいことです。こんな風にお互いに役者として活躍している中で、20年後に昔を思い出して笑い合っている状況って、とても良いなあと思います。

 



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2024年01月20日

深川江戸資料館「新春能楽初め」

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香港から帰ってはや6日。

東京のあまりの寒さにまんまと風邪をひきました。

 

香港は今が一番寒い季節と言っていましたが、それでも日中は22~24度くらいはあります。東京の10月くらいの気候です。

暑くも寒くもなく、ちょうど良い気温なのですが、向こうの流儀なのでしょう。室内はどこもかしこも冷房がガンガン効いています。寒くてたまりません。

 

そんな状態だったので、実は香港にいるときから後半は少し風邪気味でした。

ただ、香港で風邪を引くわけにはいかないと、日本から持ってきた風邪薬をこまめに飲んで、何とか乗り切っていました。

 

やはり日本に帰ってきて気が緩んだのでしょう。久しぶりの風邪です。

 

思えばコロナ禍の間、感染症予防を徹底していたおかげで風邪らしい風邪は引きませんでした。

だから、免疫力や抵抗力が無いのでしょうか、今までにないくらい重い風邪の症状です。

 

月曜日から調子悪くなり、今日は丸6日目なのですが未だに声がかすれます。

 

そんな中、恒例の深川江戸資料館にての「新春能楽初め」

 

45分の時間、出ない声を振り絞って懸命に謡い、お話いたしました。

 

香港に行っていたので、この後のスケジュールもパンパンです。

頑張って乗り切るぞー!!

 




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2024年01月13日

香港から 最終回

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「風姿花伝 能劇大師班」もいよいよ最終日。

今日は4時間の稽古のうち、最初の3時間はリハーサル。最後の1時間が発表会です。

 

最初、本番同様に23人のグループに分かれて通してやってみると・・・・

 

けっこうポロポロ間違えます。

今まで、少なくても6人くらいのグループにて稽古していたので、少人数だと面食らったようです。

人数が少ないので、当然ながら間違えると目立ちます。しっかり覚えなければキチンと舞えません。

こちらとしてみれば、まさにそれが狙いです。しっかり覚えて、自身の体に身に着けてもらいたいの、こういった機会をあえて設けました。

 

ひと通りリハーサルをやった後、15分間の自主稽古の時間を与えました。

参加者たちは、それぞれのグループに分かれて目の色を変えて稽古しています。

みんなお互いに教え合いながらの自主稽古です。発表会で良いパフォーマンスが出来るように必死になっています。


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ああ、この雰囲気良いなあ。

 

私は「風姿花伝 能劇大師班」の成果を確信しました。

 

 

自主稽古の後、もう一度リハーサルを行いましたが、先ほどよりは見違えるような出来栄えです。

もう心配ありません。

 

参加者たちはリハーサルの後、発表会までのわずかな時間も懸命に稽古しています。

やはり、彼らは役者です。舞台という目標にむけて一体となっていく様は、見ていてすがすがしいです。

 
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急に設定した発表会ですが、参加者の友人や借りているスタジオのスタッフなど何人かお客様も来ています。

お客様の前で演じる彼らは、何と生き生きとしていることでしょう。

良い発表会となりました。

 

 

フィナーレに全員そろって集合写真。

皆、良い顔をしています。


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その後、私と記念に2ショット写真を撮りたいと希望する参加者が長蛇の列。皆、私と思い思いのポーズをとって記念写真をとり、喜んでくださっています。

その行列を見て、「ああ、香港に来てよかったなあ」と、しみじみと思いました。

 

 

終了後は、近所の香港料理の店で打ち上げ。

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夜遅くまで、ビールを飲んで語り合いました。楽しい時間でした。

「風姿花伝 能劇大師班」を、やり切った充実感でいっぱいでした。

 

シンガポールでも毎回そうなのですが、長い時間を共にした参加者たちと別れるのは寂しいものです。

また会えるかなあ。

 

幸い、この能ワークショップは好評であったそうで、主催者の方からまたぜひ開催したいとのお話をいただきました。

きっと、また香港に来ることになるでしょう。

再会を約束して、香港を後にしました。

再見!!!




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2024年01月12日

香港から 8

香港での能ワークショップ「風姿花伝 能劇大師班」も、9日目です。いよいよ大詰めとなってまいりました。

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7日目で「鶴亀」「羽衣」「屋島」を終えた参加者は、8日目に3曲の総復習をしました。

最初はとても苦労した「鶴亀」の仕舞をスイスイ舞っている姿に、参加者の成長が見られます。

 

8日目の総復習の後、最終日の発表会で舞う仕舞を一曲選んでもらいました。最後の2日は発表会に向けての稽古です。

 

9日目の今日、まだまだ仕上がりには不安がありますが、ここでちょっと息抜きもかねて能面体験をしました。

能のエッセンスを学ぶにあたって、能面を着けることは欠かせないことです。

でも、「ただ単に着けてみました」という体験講座の参加者みたいなことはしたくありませんでした。

 

能の構えも歩き方(すり足)もある程度固まり、仕舞の動きもしっかり覚えた今なら、良い経験が得られると思います。

 

最初に、持ってきた能面の紹介して説明しました。

参加者は、食い入るように見ています。

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そしていよいよ、能面の体験です。まずは、着けるにあたっての心構えと作法を教えます。

「能面は、能役者の命であり魂がこもっています。心して丁寧に取り扱ってください」

こう言うと、神妙な顔で能面を取り扱っています。

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いざ、能面を着けて仕舞を舞わせてみました。


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なかなか、上手に動ける人もいれば、完全に迷子になってしまう人もいます。

参加者をいくつかのグループに分けて2回ずつ体験しました。

2回目は、慣れてきて結構対応してきていることに驚きました。

 

参加者にとって、貴重な体験であったと思います。



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2024年01月10日

香港から 7

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香港での能ワークショップ「風姿花伝 能劇大師班」も、7日目を迎えました。

今日で3曲目の「屋島」を仕上げました。
この7日間で「鶴亀」「羽衣」「屋島」と、3曲も稽古できました。これは驚異的なペースです。

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ローマ字で作った特別謡本で、キチンと謡の稽古もしています。
全く分からない日本語の謡を、なかなか立派な声で謡っています。

シンガポールでも感じましたが、演劇をやるにあたっての基本的な身体技術はあまり変わらないと思います。

参加者は全員演劇に関わっている人です。中にはかなり有名な役者や舞踊家もいるようです。
そういった人たちは、やはり演劇をやるにあたっての基礎がしっかり定まっています。

普段から発声トレーニングをしているから、声は立派ですし、身体技法をしっかり学んでいるので仕舞の構えも様になります。

少し教えれば、どんどん覚えていくので、たいへんに稽古のしがいがあります。

さあ、「能劇大師班」もあと3日になってきました。
この3日間で、今まで稽古した3曲をしっかり復習して、最終日の発表会に臨みたいと思います。


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2024年01月08日

香港から 6

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月曜日も、ワークショップはありません。

どう過ごそうかと思っていたら、Wahwahからお誘いがきます。

「先生が行きたいところに連れていきます」

街中は一人で行けそうなので、郊外のお寺に行くことにしました。

最寄駅から25分ほどケーブルカーに乗り、山頂に行きます。

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このケーブルカーは、床がガラスになっていて迫力満点。空を飛んでいるような気分になります。

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香港の仏教寺院「寶蓮禪寺」

ここには、世界最大の野外座仏の天壇大仏があります。
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とりあえずお約束の手乗り大仏
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お寺の横には、「心経簡林(サムキンガーンラム)」というパワースポットがあります。
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仏の教えを刻んだ38本の木柱が、圧倒的に語ってきます。


「大仏の他に、行きたいところないですか」と聞かれたので、

「何かエンターテインメントが見たい。できれば中国オペラがいいなあ」
とリクエストしたら、
「今日は月曜日だから難しいなあ」

と言いながらも、懸命に調べてくれました。

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香港の中国オペラの情報は、なあなか日本語では出てこないので、助かりました。

鑑賞したのは「花田八喜」という広東オペラ。
勘違いからおこるコメディでした。

台詞は全く分かりませんが、隣でWah Wahが説明してくれるので、だいたいのストーリーは分かりました。

とにかく、声が美しく所作がキレイ。

能もそうなのですが、言葉が分からなくても歌と踊りで楽しめるのが歌舞劇の良いところです。

アーテンコールは写真を撮っても良いそうです。

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昨日に引き続き、香港の休日を堪能しました。

この二日間、日本人観光客がまず行かないであろう、長洲島、郊外のお寺、地元の人が楽しむ広東オペラと、深い観光が出来ました。
香港人の案内が無いと無理だったでしょう。

Special Thanks,  Wahwah &  Melissa.


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2024年01月07日

香港から 5

香港のワークショップ「風姿花伝 能劇大師班」、日曜日と月曜日はお休みです。
休日を満喫いたしました。

20年前の2004年にシンガポールの演劇学校で指導した学生の中に、Melissa(メリッサ)とWahwah(ワーワー)と言う2人の香港人がいました。
今は香港で演劇をやっている2人と久しぶりに香港で再会しました。

まず、メリッサが住んでいる長洲(チョンチャウ)島へ行きました。
長洲島は、香港島からフェリーで1時間ほどかかる離島です。香港のビーチリゾートの地のようです。

香港と言えば高層ビルが立ち並ぶ、金融と経済の街というイメージでしたが、街中を離れると自然豊かな地もたくさんあります。

フェリーで長洲島まで行くと、今度は漁船のような小さな船に乗って島の反対側へ行きました。

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舟の船頭さんや道端の露天のおばちゃんと、気さくに話すメリッサを見て驚きました。

20年前のシンガポールでは学級委員のような立ち位置のリーダー的存在だった彼女の今の姿をみて、微笑ましく感じました。

長洲島は小さな島ですが、それでも2万5000人ほど住んでいるそうです。離島としては結構な人口です。
その割に、風景はどこから見ても「のどかな漁村」

島には車すらないそうです。確かに道も狭くとても車が走れそうな感じはありません。
それなりに店が立ち並び多くの人が普通に生活しているのに、いまどき、車が走っていない街があるというのが驚きです。

島人達はみんな気さくに話しかけてきます。
吉野さんという日本人の方にも会いました。この人がお話し好きで、長洲島の話などを延々と語ってくださいました。
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こんな暖かい気持ちの島は、日本でもなかなか無いように思います。店に入っても、見知らぬ人がどんどん、話しかけてきます。

ああ、メリッサって良いところで暮らしているんだなあと、暖かい気持ちになりました。

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まず、島をハイキングです。
メリッサとワーワーと、もう一人の男性は私の通訳をしてくださっている香港人の方です。こんな風にプライベートなお出かけにも同行してくださって、感謝です。


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途中からメリッサの娘も合流しました。お嬢さんとは、11年前にシンガポールで会っています。その時はほんの小さな子供でしたが、今は15歳になり立派なレディです。

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途中、疲れたら海を見ながらビールを飲みます。

うう、至福のひと時。

知らないおじさんと会話してもしょうがないのでずっとスマホをいじっていメリッサの娘さんも、イマドキっぽい。

夜は、地元の海鮮料理の名店へ行きました。416956371_340669995428980_2585046106149114774_n

右端の女性は、ワークショップの参加者のBonni(ボニ)という方です。なんとこんな遠くの離島から毎日ワークショップに参加してくださっているそうです。
平日のワークショップの終了時間は22時30分です。
彼女は22時40分のバスに乗ってフェリー乗り場へ行き、23時30分のフェリーに飛び乗って帰宅しているそうです。

どうも彼女は香港ではかなり有名な女優でありダンサーだそうです。


とても良い一日を過ごしました。

彼女たちに能を教えたのは20年前です。
お互いに年と取ったねえと、語り合いました。

彼女たちは20年前のことをよく覚えていました。
「能を勉強して学んだことは、今でも体の中に残っている」と言ってくれます。「演劇の創作活動に役立っている」と、嬉しいことを言ってくれます。

思えば、20年前は私も必死でした。
能楽師として独立したてのペーペーでした。懸命に能を指導をしました。

その年はいろいろあって、通訳が授業にいませんでした。必死に片言の英語で授業を乗り切ったことも良い思い出です。

2002年に初めてシンガポールの演劇学校に指導に行きましたが、その時はサブ的な指導しかしませんでした。
2004年の学生は、私が初めて本格的に指導した人たちなので思い入れも格別です。学生のアパートにまで行き、ビールを飲んで語り合ったのも良い思い出です。

その同窓会が、20年後に香港で実現するなんて、感慨深いものがあります。

長年、シンガポールで能を指導してて良かったなあ。
なんだか、いろいろ報われた気分です。


kuwata_takashi at 22:30|PermalinkComments(0)

2024年01月06日

香港から 4

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香港での能ワークショップも、いよいよ半分が終わりました。
この5日間で仕舞「鶴亀」「羽衣」を終え、今日から3曲目の「屋島」に入りました。

参加者は、プロの役者や役者の卵たちです。身体能力に優れ、モチベーションも高いようです。すぐ覚えていきます。
ただ、参加者が29人と大所帯なので、細かなことを指導するのは大変です。参加者の中を回って注意するんのも一苦労です。

そんな中、一生懸命取り組んでいます。


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最初は、皆で能の映像を見ることから始めました。能という演劇がどういう特徴を持っているのかは、映像を見てもらうことが一番てっとり早いですね。

そして、能の構えとすり足から丁寧に教え、徐々に仕舞の型を教えていきます。
このあたりの流れは、日本で普通のお弟子さんに教えるのと一緒です。

構えやすり足は、能の稽古の基本なのですが、何度かやらせるとそれなりに様になっていきます。
やはり、役者なんだなあと感心します。

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「鶴亀」「羽衣」は、基本の動きが多いのですぐにマスターしていきましたが、今日から入った「屋島」は、扇を盾や太刀に見立て、複雑な動きをするので、四苦八苦しています。
まあ、3曲目にいきなり「屋島」を稽古させるのも、かなり高いハードルのように思います。

ただ、能の色んなエッセンスを学んでほしいので、あえて高度なカリキュラムを組んでいます。

あと1週間でいろんなことを教えていきたいと思います。


さて、ワークショップも1週間が過ぎ、参加者の顔と名前も覚え、徐々に打ち解けてきました。
29人もいるので、顔と名前を覚えるのは難しいことだと思っていましたが、意外にすんなりでした。
ほとんど日本人と変わらない様相の中国系の人達だから覚えやすいのでしょうかね。

平日は、22時30分まで稽古しているので終わった後はすぐに帰りますが、土曜日の稽古は18時に終わります。
参加者の有志たちと、食事に行きました。


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最初は、ポウチャイ飯という、釜めしのような香港料理の名店に行きました。

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その後は、若者が集まる生ビールのお店。
西洋風のバーなのですが、店のカウンターの上には「福禄寿」と書いてあるのが香港らしいです。


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