2007年01月

2007年01月25日

文化服装学院鑑賞会

また、文化服装学院鑑賞会がやってきました。
もう40年以上続いている恒例行事です。

今年も3日間で6回、合計2000人近い学生達に能を見せます。

私たち舞台経験の少ない若手には、大事なシテの舞台です。

今年も、心して勤めました。


ただ、文化服装学生能はシテを舞うだけではありません。
シテにも増して緊張するのは、やはり若手が交代で勤める、能についてと能装束についての解説です。

ほとんどが能を初めて観る学生さん達に、能について分かりやすく説明するのは大変です。

でも、300人もの前でお話をさせて頂けることは、とても良い勉強になります。

私が、「能に親しむ会」や「能楽サロン」でなんとかお話が出来るのも、この鑑賞会で解説をさせて頂いた経験が大きいと思います。

ただ、何回しゃべっても、お話は上手くならないですね。
まあ、人前でしゃべる度胸はつきますけど。


at 23:07|Permalink

2007年01月23日

新年うたい・しまい会

先日の土曜日は、私の東京のお弟子さん達の発表会がありました。

お弟子さんを教えるようになり、約5年。
沼津では、一年程前に催しましたが、東京で行う初めての発表会です。
したがって、ほぼ全員が初舞台というフレッシュな会でした。

皆さん、かなり緊急していたようでしたが、それぞれに頑張りました。
とても良い出来でした。

能舞台は、緞帳のない舞台です。
ですから、演者は仕舞や謡はもとより、舞台への出入りもお客様に丸見えです。

いろんな発表会のお手伝いをしましたが、お稽古歴も長いベテランの方でも、案外出入りが隙だらけというのはありがちです。

それ位、舞台へ何気なく入って行き、自分の演技の後に何気なく帰っていくことは難しいのです。
当然、スムーズに美しく出入りするための決まった作法はあります。

今回、ほぼ全員が初舞台ということは、全員にこの作法を教えなければいけません。
直前のお稽古は、出入りの練習ばかりしていました。


能は総合芸術です。
ただ単に、謡の節や仕舞の型を学べは良いのではありません。

舞台の上で、オドオドせずに堂々と美しく振る舞える。

これが出来れば、どこに出ても、自信を持って自分を表現出来る気がします。


今回の発表会に参加した会員を、そこまで導くことは、残念ながら出来ませんでした。

まあ、何はともあれ初舞台。
私も初めての主催の会。
多くは求められないですね。

会員の方々と、一歩一歩進んで行ければ……
と思ってます。


at 13:27|Permalink

2007年01月16日

新春恒例

日曜日は、九皐会の初会。
恒例の、観世喜之師の「翁」がありました。

「翁」は、太夫芸と謂われます。当主かそれに準ずる実力者が勤めないと様になりません。

流石に、師匠は堂々としたものです。その存在感は圧倒的です。

「翁」
よく上演されます。所作を付けない素謡「神歌」は、それこそしょっちゅう謡ってます。
そういう意味では身近な能です。

でもある意味、とても縁遠い能でもあります。

太夫芸である「翁」を、私は今後やる機会があるでしょうか。
今は全く想像出来ません。

舞台上で神に成り代わる翁(実際、翁の能面は演能中に舞台上で付けられます)
いずれは私も、「翁」が様になるようになりたい。そういう存在感を身に付けた能役者になりたい。

そう思います。


ところで、昨日は新春恒例の宮中歌会始め。
「月」をテーマに、全国から応募のあった作品が皇居で発表され、天皇陛下をはじめとする皇族方の和歌も発表される恒例の行事です。

会場には、各界からの著名人が80人位招かれたそうですが、何とその一人が我らが師匠の観世喜之師。

昨日、矢来能楽堂に稽古に行きますと、ちょうどハイヤーで師匠が帰宅するところでした。
師匠曰わく
「翁も大変だけど、宮中歌会始めも大変だね」


私にとっては、「翁」も縁遠いけど、「宮中歌会始め」は、絶対に行くことのない別世界。


at 13:43|Permalink

2007年01月09日

年男

亥年です。私は今年、年男です。


かれこれ5年前、アメリカ公演に出かけた時のことです。

アメリカの大学で日本語を学んでいるという学生と話をしました。

彼、トーマス君は日本と日本語が大好きだそうです。彼から貰った名刺には、「灯す」と書いてありました。

????

しばらく悩みました。

Tomas→とーます→ともす→灯す

おそらく、自分の名前を何とか日本語で表そうとしたのでしょう。

そんな彼と自己紹介をした時、彼は突然たどたどしい日本語で

「私は、サルです」

と言います。話に何の脈絡もなく唐突にそう言われて、戸惑いました。

サル? 何が言いたいんだろう? そういえば少しサル顔かも知れない… うーん、どう言葉をかえせば良いんだろう……

しばし絶句していると、彼は続いて

「父は、ヘビです。母はネズミです」

と言います。やっと分かりました。彼は干支の話をしているのでしょう。
何だ、アメリカでいきなり干支の話が出てきたんでビックリしたよ。

しかし、彼は続けて

「姉は、ブタです」

と言います。
うーん、「ブタ年?」

やはり彼は、身体的特徴を言っているのかも知れない……
お父さんは、痩せていてヘビみたいで、お母さんはネズミみたいに小柄なのかもしれない。
そしてお姉さんはきっと、ブタのように……


去年、シンガポールに行った時、干支の話になりました。
中国系が多いシンガポールでは、干支の話は身近なのです。

皆、「アイ アム イヤー オブ ドック」
「アイ アム イヤー オブ ドラゴン」

などと言ってます。
イノシシを英語でどう言うか分からない私は、紙に「猪」と書いて自分の干支を説明しました。

中国系シンガポール人は漢字が分かるので、英語に詰まった時は、よく筆談になります。

すると、
ああ、イヤー オブ ピッグね。

と説明されました。

亥年は、干支の本場・中国では豚年だそうです。
何でも、干支が日本に伝わった時、日本に豚がいなかったため、イノシシを当てはめたようです。


やっと分かりました。
そうか、アメリカのトーマス君はやっぱり干支の話をしていたんだ。
トーマス君のお姉さん、ゴメンナサイ。あなたの身体的特徴を、勝手に想像していました。
多分、私と同い年なのでしょう。


at 13:52|Permalink

2007年01月06日

新年野外イベント

仕事始めは、昨日の沼津稽古。
さあ、今年も頑張るゾウ。

今日は、横浜ベイクォーターでの野外イベント。

横浜ベイクォーターとは、横浜駅の脇に去年オープンした巨大なショッピング施設です。
そこが初めての正月を迎えるにあたって、施設の中庭で様々なイベントを行っております。その一環として、薪能風に能舞台をしつらえ、能のイベントを行いました。


何といっても、この寒い時期の夜間に、野外での能の公演。
しかも、今日は朝から冷たい雨が降り続け、東京地方は最高気温が5度位だったようです。

朝、自宅の窓を開けて身が凍えました。
「こんな中、紋付着て能の地謡・・・」

そのうち主催者から、天候の回復を待って開始時刻を4時半から6時に遅らせるとの連絡がありました。

それまでに、何とか雨があがって欲しい・・・

祈りました。

一応、舞台の上には屋根があるそうですが、吹き込んでくることは間違いありません。それにお客様は、雨さらしです。

私の祈りが通じた訳でもないのでしょうが、何とか雨はあがって無事イベントは行われました。

さて、私はたいへんな寒がりであることは何度か書きました。
雨はあがっても、外はたいへんな寒さ。

しかし、今日はさすがに準備万端。
紋付の下に、何枚も着込みドラえもんのようになって舞台に上がりました。

今日のイベントにいらした方へ申し上げます。
私は決して正月太りしたわけではありません。

今日初めてやってみたのですが、足のモモの裏側に張るカイロを貼り付けてみました。
この作戦が大当たり。
正座をしていると、足元から冷えてくるのですが、モモの下からポカポカとやさしい暖かさが伝わってきます。

いい寒さ対策を発見しました。



at 22:30|Permalink