2023年06月17日

「松風」御礼

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第13回「桑田貴志 能まつり」 無事に終わりました。
暑い中、多くのお客様にご来場いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

「松風」は能を代表する名曲と呼ばれます。
稽古しながら、「ああ、松風って良い能だなあ」と何度も感じました。

「こんな良い能を演じられるなんて、嬉しいなあ」
そんな気分で当日を迎えました。

しかし、そんなウキウキした気持ちはすぐ吹っ飛びました。
「松風は」、大変な能でした。

まず、謡が極端に多い。それも、大半はツレと一緒に謡って(同吟)います。
ツレとの同吟は、たいへん気を使います。しかし、一緒に謡ってもらえる安心感はあります。

ずっと一緒に謡っている中、一人で謡う箇所では、謡いやすい反面、心細さを感じました。

一か所、フッと謡が出てこないところがありましたが、ツレの佐久間二郎さんが上手くフォローしてくださいました。

佐久間二郎さんは、私より先輩ですが、あえてツレをやっていただきました。
「松風のツレは、シテを演じた人にやってもらうと良い」と聞いていました。佐久間氏は、シテも演じ、また何度も松風のツレを経験しています。是非にとお願いしたら、快く引き受けてくださいました。所々で助けていただき、心強かったです。


また松風は、中入の無い能です。
普通の能は、シテは一度舞台から引っ込んで楽屋で装束を変えて登場します。
シテが装束を変えている間のことを、中入といいます。多くはアイ狂言が物語の背景などを語っています。

中入は休憩ではありません。だいたい10分くらいの間で装束を変えるので、とても慌ただしいのです。

でも、前半の装束をとき、心も身体も一瞬だけど緩みます。
水分補給をすることも出来ます。

それを考えると、中入の無い能は一瞬たりとも気の抜ける時間がなく、ただでさえ大変なのです。
その上松風は1時間40分程の長い能です。
中入の無い能でこれだけの長さの能は、ほぼありません。他には「木賊」くらいでしょう。

1時間40分もの間、集中力を保って演じ続けるのはかなりの体力を要します。
後半は、本当にキツかった。。。

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装束は、前半は白い水衣。
下に着るのは縫箔を腰巻つけにしています。裾しか見えないので、裾の模様にはこだわりました。

シテは松風なので、松の模様の装束を選びました。
ツレは、妹なので可愛らしい明るい色のものを選びました。

こうやって装束の取り合わせを考えるのも能の楽しみの一つです。

途中、恋いしい在原行平の形見の舞装束と烏帽子をしみじみと見込む型があります。
ここは、わざとらしいほど情感たっぷりに演じてみました。

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後半では、水衣を長絹に着替えます。物着といって、舞台上で着替えます。

といっても、シテはただ座っているだけです。後見が落ち着いた様子で手際よく装束を変えてくださいます。
松風は、舞台の真ん中辺りで前を向いた状態で着替えるという特殊な物着です。
私は、能面をしているのでほとんど見えていないので、落ち着いていました。もし、周りが見えていたら、恥ずかしかったことでしょう。

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形見の装束を身に着ける後半になったら、舞が中心です。
ここまでくると、稽古や申合ではホッとしました。
「もうすぐ終わりだあ」

本番では、ホッとするなどという気持ちは全くありませんでした。
とにかく、「ツライ」

やはり松風は大変な能です。

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終わったらもう、疲労困憊。
体感としては「道成寺」や「安宅」くらい疲れました。

終わってみて・・・
何だか、まだ舞台に気持ちが残ったままです。

「上手く出来たなあ」と思うところもありましたが、「ああ、ダメだった」と思うところも多々あります。

「もっと出来たのに・・・」という後悔の念も強く残ります。

「松風」、手ごわい能でした。



注 このブログで紹介している写真は、全て駒井壮介氏の撮影です。


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2023年06月04日

観世喜之先生 米寿祝賀公演

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師匠の観世喜之先生が、この度米寿を迎えられました。

私が内弟子入門したとき、先生の還暦祝いを大々的におこなったことが思い起こされます。
つまり私が入門して28年の年月が経ちました。早いものです。

当日は、喜之先生の下で育った門下が勢ぞろいして仕舞を1番ずつ舞いました。
私は「熊坂」という、薙刀を振り回す仕舞を舞いました。正直、この年には少々しんどい仕舞ですが、先生から学んだことを精一杯だし切ろうと、張り切って舞いました。

当日の番組は下記の通りです。

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先生も、自ら舞囃子「菊慈童」を舞い花を添えて下さいました。
喜正先生と和歌さんと親子三大での仕舞「三笑」も見ごたえ充分でした。

先生に育てられた門下が集まり、終始和やかなムードで公演は行われました。
先生のお人柄がなせることだと思います。


私が入門して28年間、先生には言葉で尽くせないほどお世話になりました。
私がこのように能楽師として活動できているのは全て先生のおかげです。

今後ともよろしくお願いいたします。



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2023年05月21日

深川能舞台チャンネル 「松風」見どころ紹介

6月17日に開催する自主公演「桑田貴志 能まつり」で演じる「松風」の見どころ紹介の動画を、YouTubeにアップしました。

一年ぶりの動画編集に四苦八苦。
二日がかりで何とか編集して、動画編集ソフトからYouTubeにアップしようとしたところ、何だかわからないけど、アップできない。

どうやら、動画編集ソフトをアップグレードしたせいのようです。
しょうがないから、動画編集ソフトを再び元のバージョンに戻したら、今度は二日がかりで編集した動画が読み込めなくなってしまいました。

いろいろ試したけど、どうにもならないので、再び編集し直しました。
相変わらずのデジタル音痴ぶりに、自ら呆れました。

何はともあれ、「松風」の見どころは、この動画を見ればバッチリつかめます。

ご視聴は無料です。お暇なときにご視聴いただければ幸いです。




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2023年05月19日

桑田貴志 能まつり「松風」

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自身の芸の研鑚のため立ち上げた「桑田貴志 能まつり」。第13回公演は、能「松風」に挑戦します。
日本の舞台芸術文化が集まる銀座にある能楽の殿堂・観世能楽堂にて、今年も開催できることを嬉しく思います。

 

俗に、「熊野、松風に米の飯」と言われます。何度見ても面白い能「熊野」「松風」を、どんなお惣菜にも合い、飽きが来ないおコメに例えた言葉です。また、「謡三井寺、能松風」という言葉もあります。この様に様々な言葉で語られるほど、「松風」は能を代表する屈指の名曲・人気曲と言われています。



この能を一言でいうと、9世紀から1200年続くラブストーリーです。


花の都の貴公子・在原行平を、須磨の浦で待ち続ける松風とのロマンティックな恋愛は、時を超え永遠に続いています。その悠久の恋物語が、能「松風」では美しく描かれています。

 

前半、旅の僧の前に若い海女の姉妹が現れ、汐を汲む所作を見せます。この段落は、後に歌舞伎や日本舞踊の「汐汲(しおくみ)」など様々な芸能に取り入れられるほど、よく出来た名場面です。うっとりするような流麗な節遣い、気高い文言の美しい詞章は、実に見事です。


この段落をキチンと演じられるかが、能「松風」のキモだと思います。気持ちを込めて演じたいと思います。

 


能の中程で、旅の僧に在原行平との恋を語るうちに、松風は恋慕の念が押し寄せてきます。そして、行平の形見の烏帽子と舞装束を取り出して、情感的に抱きしめたかと思うと、やがてそれを身にまとって狂おしく舞います。この舞が後半の見せ場です。


男性の衣装を着て舞うということは、男装の舞です。能には日本の芸能には、白拍子舞など男装の舞というジャンルはたくさんあります。現代でも宝塚歌劇団にそのスタイルは受け継がれています。


男性である私が、女性の松風を演じる。そしてその松風は男装の舞を舞う。この二重の変身によって作り出される艶やかな雰囲気が、この能の最大の見せ場です。


この舞は、「イロエ掛り中ノ舞」「キリ」「破ノ舞」と次から次へと続きます。囃子との兼ね合いも難しく、能楽師としての力量が試されるところです。自分の技芸を余すところなく出し切りたいです。

 
「松風」は無上の名曲であるため、過去多くの名舞台を見てきました。鳥肌が立つようなすごい舞台も経験しました。その名演に少しでも近づきたいと思います。

 

 


仕舞は、観世喜之師の「井筒」と観世喜正師の「船橋」です。どちらも恋物語を描いた舞です。

「井筒」は在原業平を思う紀有常の娘の懐旧の舞です。幼馴染が結ばれる純愛物語となっています。「船橋」は、親に反対されたことによって非業の死を遂げた男女の情熱的な舞。能版「ロミオとジュリエット」です。

 


狂言は、TVや映画など多方面で活躍されている人気狂言師・野村萬斎師にお願いしました。「文荷」は、恋文(ラブレター)を巡るやり取りが見せ場となっています。野村萬斎師の華麗で洒脱な芸を、お楽しみ下さい。

 



チケットは、私の公式ホームページの申込みフォームまたはメールからお申込みください。


お電話でのお申込みは、矢来能楽堂のみにて受け付けます。何とぞよろしくお願いいたします。


WEB予約 http://fukagawanohbutai.sakura.ne.jp/
E-mail     shitashimu@hotmail.com

TEL予約 03-3268-7311(矢来能楽堂)




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2023年04月02日

インド・マレーシア・オーストラリアから来たれり

シンガポールに5週間滞在して、帰国してはや2週間が経ちました。
生活も落ち着き、日常が戻ってきました。

そんな中、4年前にシンガポールで能を教えた学生が日本へやってきました。
シンガポールの学校で学んでいた学生ですが、出身はインドとマレーシアとオーストラリアです。

インドの学生は、クーリヤッタムの役者をしています。クーリヤッタムのワークショップが金沢であったので来日しています。ワークショップを終えて東京に来ているそうです。
マレーシアとオーストラリアの学生は、「鈴木メソッド」という演劇手法を学びに日本に来ています。

「鈴木メソッド」とは、日本人の演出家の鈴木忠志氏が考案した役者の身体訓練です。世界中の役者にとってバイブルとなっている演劇手法だそうです。

それぞれの用事を終えて、東京に集まってきた彼らを、今日矢来能楽堂で行われた緑泉会に招待しました。

「田村」「阿漕」の2番の能を観た後、まずは矢来能楽堂にて記念撮影。
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右端のインド人と、左から2番目のマレーシア人は、寒くてしょうがないようです。
4月の春の日差しの中でも、ダウンジャケットを着ています。

その後は、神楽坂へ移動して楽しく食事しました。337855204_656356753167158_2073557257257070157_n

シンガポールではタイガービールばかり飲んでいたので、お酒を飲むことを「Tiger Time」と呼んでいました。
日本では「Asahi Time」または「Kirin Time」だと、最初は言っていましたが、彼らは日本酒が気に入ったようで、日本酒をガバガバ飲んでいます。「Sake Time」となりました。

久しぶりに会う彼らと、色んな話をしました。
楽しいひと時でした。

ちょうど桜も満開となり、彼らは日本の春を満喫しています。
日本の桜は、海外でも有名だそうです。

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店の外で、またの再会を祈ってパシャ。

今度会うのはどこでしょう。シンガポール? 東京? ひょっとしてインドやオーストラリアかもしれません。


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2023年03月25日

深川能舞台 15周年

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我が家の稽古舞台、深川能舞台は開場15周年を迎えました。

真新しい檜の能舞台でしたが、だいぶん落ち着いた色になってきました。

深川に自分の稽古と発信の拠点を構えて、なんやかんや15年が経ちました。
この街に育てられているなあと、日々実感しています。

15年たっても、私は全く変わりませんが、子供たちは大きく成長しました。
引っ越してきたときは、長男は1歳、次男は0歳でしたが、16歳と15歳になりました。
この春から、次男も高校入学です。

月日の移り変わりは早いものです。

「これからも、よろしくお願いします」
能舞台に感謝です。


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2023年03月16日

2023シンガポール第2便 9

昨日の発表会の後、皆で記念写真を撮りました。最初は晴れがましい顔で。
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次は、「面白い顔で」とリクエスト
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なかなかのヘン顔です。


一夜明け、今日は評価とミーティングの日です。
またこの日がやって来ました。
学生たちとお別れのをする日です。

学校なので、採点をしなければなりませんが、落第点を取る学生はいません。
素晴らしい成果が得られたITI能クラスの9週間でした。

私は学生たちにこのようなことを言いました。

私が、最初に来た2月13日を覚えているかい。
その日に自己紹介を兼ねて一人一人、仕舞を舞ってもらったね。これまで喜正先生が教えてきた4週間の成果を見たいと思ったんだ。1年生から始めたよね。その仕舞を見て、あまりに出来ないのでビックリした。その後、2年生3年生4年生と学年が上がるにつれ、上手になっていくので驚いた。
能は、1月に一斉スタートだったのに、こんなに差がつくものなんだね。それは、つまりこの学校のトレーニングが優れている証拠なのです。
やはり入学したての1年生(シンガポールは1月が新学期)は、訓練が圧倒的に不足しているし、12月に卒業した4年生は、さすがに様々な経験を積んでいるだけのことはある。
この学校で学んでいる、身体訓練や発声訓練などは、どんな劇をやるにも基礎となるのでしょう。この学校で学んでいる、能の他の3つの古典演劇(京劇・クーリヤッタム・ワーヤン・オン)も、基本的に根っこに流れるものは一緒のはずです。それらを総合的に訓練できる、この学校のカリキュラムのすばらしさを実感しました。
身体トレーニングの基礎をキチンと積んだ者は、どんなものを演じても、キッチリ出来ることをみんなは示してくれました。

あと、君たちは身体能力は抜群だから、能の舞の部分に関しては、出来ることは分かっていました。この学校で指導するようになって21年たちます。その経験から疑いもないことでした。
だから、今回はそれ以外のことをうるさく注意したね。
「ただ立つ」「ただ座る」「ただ歩く」
これがどんなに難しいか、分かってくれたと思います。
京劇などで、とてもアクロバティックな動きをしていると思う。だから能では、動かない演技をキチンと学んでもらおうと思いました。


そんなことをしみじみと語りました。
本当に、素晴らしい学校と学生たちです。

能の立ち役が出来ることは当然として、地謡の謡いっぷりも堂々としたものでした。
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短縮版とはいえ、1曲30分以上かかる能の間、学生たちは身じろぎもせずに正座して謡っています。
30分動かずに正座が出来る日本人が、どれほどいるでしょうか。

「もし、全く知らない人が昨日の能を観たら、日本語がわからない外国人が演じている能だなんて、誰も思わないでしょう」
最大の賛辞を学生たちに送りました。


ミーティングが終わると、恒例の大宴会。

楽しい時間は、やがて終わります。
でも、この9週間の能クラスで得たものは永遠に残ります。
それは教わった学生はもちろん、教えた私にとっても大きなものでした。

宴会の時、ある学生がこんなことを言いました。

「能のクラスが終わって直ぐに、もっともっと能が学びたいと思った。こんなことは初めてです」

とても嬉しいことを言ってくれます。
「私も、君たちにもっともっと教えたいよ」

何人の学生が、日本に行って能を稽古したいと言ってくれます。
私は、いつでもおいでと言いました。

「君たちだったら、いつでも教えるよ。お金なんていらない」
「条件はひとつ。君たちの稽古は疲れるから、稽古の後マッサージしてね」
そう言うと、さっそく肩をもんでくれました。


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色んな事がありました。
コロナ禍で2年延期になった能クラス。3年生と4年生は、ずっと楽しみにしていたそうです。
大いなる成果を得て、無事に修了することが出来て、本当に良かったです。

締めの写真は、能「紅葉狩」で出番を待つ鬼女たちです。
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9週間の能クラス、お疲れさまでした。
再会の日を楽しみにしています。


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2023年03月15日

2023シンガポール第2便 8

いよいよ、2023年ITI能楽コースの集大成の日です。
13期生から16期生たちの「Noh Presentation」がやってきました。

昨日の段階で、キチンと出来ていますので、今日の午前中の稽古は中止にしました。
不安そうにしている学生たちに、こう言いました。
「本番に向けてしっかり休息をとることも、役者として大事なことだよ」

昼過ぎに楽屋入りして、ゆっくりと準備を整えます。
学生たちが色々話しかけてきます。

本番前に、謡や型の最終チェックとして質問してくる者もいれば、他愛もない話をしてくる者もいます。
さあ、泣いても笑っても今日が最後です。
何だか、切なくなってきます。

14時半から、まずはドレスリハーサル(ゲネプロ)を行いました。
本番と同じ、タイムテーブルで、同じ手順で能面と能装束も着けて行います。

本番のための最終リハーサルでもあるし、関係者や報道の方へのお披露目でもあります。
また、仕舞では採点も行いました。

学生たちの対応力はたいしたものです。
一昨日、初めて劇場で通し稽古を行ったときは、問題が多かったのに、昨日・今日と日に日によくなってきます。
もう、発表会の成功に疑いはありません。

ドレスリハーサルの後、少し時間があります。
学生たちは、自主的に稽古しています。

シンガポール・マレーシア・フィリピン・インド・香港・マカオ・スウェーデン・オーストラリアの8か国から集まった24人の学生たちが、能の成功のために、懸命に取り組んでいます。

今年の学生たちも、また私を感動させてくれます。
何だか、始まる前から泣きたくなってきました。

ギリギリまで懸命に稽古する学生たち。
「もう大丈夫だから、そろそろ舞台にむけて心と体を準備しなさい」そう言って稽古をやめさせました。

皆で集まって、挨拶をして士気を高めます。
さあ、いよいよ始まります。


冒頭は、観世喜正師の「羽衣」です。
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集まったお客様に本物の能楽師による能の舞台を見せることも大事なのですが、学生たちに玄人の技をしっかり感じてもらいたいと思います。


そして、学生たちの仕舞です。
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堂々としたものです。

今回初めて演じさせた能「竹生島」
能らしい能です。
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能として見せるため、
「ただ立つ」「ただ歩く」「ただ座る」
この稽古をひたすら繰り返しました。


続いて能「邯鄲」
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劇的な展開の「邯鄲」は、毎回お客様の反応も良いようです。
学生たちが落ち着いて演じています。


最後に能「紅葉狩」
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いざ始まると、慌ただしい中あっという間に終わります。


24人の装束を入れ替わり立ち替わり着け続けて、私はクタクタです。
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首尾は上々でした。

最後にカーテンコール。
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私たちも呼ばれて、舞台に上がりました。

学生たちから万雷の拍手をもらってジーンときました。


ああ、今年も終わった。最高の舞台でした。
そして、最高の能クラスでした。


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2023年03月14日

2023シンガポール第2便 7

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さあ、いよいよシンガポールITI能楽コースも大詰めです。

昨日の月曜日は、午前中に学校での最語の稽古をおこないました。東京より観世喜正先生も合流して、緊張感が高まります。
午後に、発表会の劇場入りです。会場は、グッドマン・アート・センターという、文化施設が集まる小さな劇場です。

舞台設営や照明調整などおこないます。

会場が出来ると、一番最初にやることは、これです。

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舞台と楽屋の雑巾がけ。

月曜日は、舞台設営が終わった後、19時から22時過ぎまで通し稽古。ハードな一日でした。

今日は、午前中に装束を着けてフルでリハーサルをやり、その後、動きの確認を含めてもう一度通し稽古。
もうしっかり出来上がっています。

あとは、本番にむけ体調を整え、落ち着いてのぞむだけです。

能「竹生島」
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能「邯鄲」
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能「紅葉狩」
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今回は、喜正師が、4週間、私が5週間、それぞれ通しで指導しました。
コロナ対応で、なるべく日本との行き来を少なくしたので、結果的にいつもより稽古時間がとれました。

例年だとそこまでキチンと稽古できない点まで、細かく指導しました。

謡の日本語の発音、地謡の扇の作法、後見の作法、細部まで徹底的に指導しました。

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合間では、このようにリハーサルを動画をみて学生たち同士で動きを確認しています。
他にも、あちこちで謡の声が聞こえます。

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大道具小道具の出入りや後見や裏方仕事の配置なども、学生たちが自主的に決めてそれぞれ打ち合わせをしています。そこで活躍するのが、ステージ・マネージャー(舞台監督)です。
テキパキと、他の学生たちに指示を送るステージ・マネージャー役の学生は、頼もしかったです。

しかし、昨日から今日までいろんなことがありました。
体調を崩す者、自分の演技が上手く出来なくて悔し涙を流す者、舞台の成功をめぐって衝突する者、何となくパニックになる者。

皆、発表会の成功に向けて一生懸命です。
8か国24人もの学生たちが、能の成功に向けてがむしゃらに頑張っている姿には、胸が熱くなります。

三曲の能は、どれもとてもキチンと仕上がっていると思います。
明日の発表会が楽しみです。

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2023年03月12日

2023シンガポール第2便 6

毎日、熱戦が続くWBC。
日本ではたいへんな盛り上がりだそうですね。

野球が大好きな私はとても楽しみにしていましたが、大会期間中はシンガポールにいるので観戦は諦めていました。
毎回、WBCとシンガポールの指導は重なるので、まともに観戦できたためしがありません。

しかし今回は、アマゾンプライム・ビデオでインターネット配信があるので、シンガポールにいながら、全試合観戦することが出来ます。素晴らしい世の中になったものです。

熱戦が続くWBCですが、シンガポールでは全く話題に上りません。
オーストラリア人の学生に、「日曜日に日本とオーストラリアがWBCで戦うね」と話題を振っても、「何それ?」と言われました。

野球は、世界的には本当にマイナーなスポーツのようです。
ほとんどのシンガポール人は、野球のルールすら知りません。「ああ、そんなスポーツあるねえ」くらいの感覚です。

シンガポールで人気があるスポーツは、圧倒的にサッカーです。
去年のW杯は、シンガポールでも盛り上がったそうです。
私がよく行くインド料理のホーカー(屋台)の店員は、いつもサッカーチームのレプリカユニフォームを着ていますが、この前サッカー日本代表のユニフォームを着ていました。
私が、日本人だと話すと、「おお、日本チームはW杯で素晴らしい活躍だった」と喜んでいました。


今日本では、花粉が猛威を振るっていると聞きました。
シンガポールにはスギもヒノキも無いので、花粉症に悩まされることはありません。
日本に帰ってからが心配です。


学生たちは、8か国から集まっているだけあって、様々なので面白いです。

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休憩中も、ひたすら練習する者、袴の着崩れを直す者。

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謎のストレッチをする者など、様々です。


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2023年03月11日

2023シンガポール第2便 5

さあ、発表会目前です。
稽古も総仕上げに入っています。

やはり演劇を志す学生たちですので、動きはすぐに覚えてしまいます。
でも、やはり日本語の謡がなかなか覚えられないようです。

何年か前この学校の校長先生に、日本語がなかなか覚えられないのはしょうがない。特に発音は難しいから、その辺は加減しようと思います。

といったら、校長先生は、「イヤ、手加減なしで指導してくれ」とおっしゃいました。

学生たちは、卒業後様々な場所で演劇活動をやっていくだろう。ひょっとしたら、日本人の役をするかも知れない。日本語の台詞を言わなければならないかも知れない。
そんな時「日本語は分からないので、台詞覚えられません」では、役者失格だ。

私は、なかなか謡が覚えられない学生を叱り、この校長先生の言葉を告げました。

役者として、台詞を覚えるのは当たり前。

厳しく指導しているうちに、ほぼ謡えるようになってきました。
日本人でもなかなか謡えない、能の謡を、日本語が全く分からない外国人がスラスラ謡っている姿は壮観です。

能面と簡単な装束も使用して、本格的な稽古となっています。

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これは、能「邯鄲」で寝る型をしています。決して休んでいるのではありません。

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能「紅葉狩」で、ワキを酒宴に誘うシテ。今で言う逆ナンです。

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「紅葉狩」の後場

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これは「竹生島」の前場です。

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能面はこのように、自分たちで着けさせています。
最初に「O A TA RI(お当たり)」と、紐を締める場所を聞いて、次に「O SHI MA RI(お締まり)」と、紐の締まり具合を聞きます。
玄人の能の作法通りに着けさせています。



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2023年03月08日

2023シンガポール第2便 4

315日の発表会を迎えて、稽古も熱を帯びてきました。

 

例年は「邯鄲」と「紅葉狩」の2つの能を上演しますが、今回は人数が多いのでもう1曲「竹生島」を加えました。

 

能が3曲になり、教える方は大変です。

ただ、能に懸命に取り組む学生たちの姿を見ると、その苦労は吹き飛びます。

日本語が全く分からない外国人が、能の舞台の成功にむけて一生懸命に稽古をしている姿を見ると、胸が熱くなります。

 

わりに動きが多くてストーリーがはっきりしている「邯鄲」と「紅葉狩」に比べて、「竹生島」は能らしい能です。

後場は、天女の美しい舞と龍神の力強い舞を楽しむ内容ですが、前場は地味な内容です。

 

「舟に乗って、竹生島に渡って、ワキを竹生島明神に案内して自分たちの正体を明かす」

これだけです。動きもそんなにありません。

 

始めは、動きと舞の多い後場を中心に上演しようと思いましたが、学生たちに稽古をしているうちに考えが変わりました。

 

彼らは、役者であり身体能力は抜群です。能の仕舞などもすぐに覚えてしまします。

また、上級生はアジアの色んな古典演劇を既に学んでいます。京劇などとても激しい動きだったそうです。

 

「そういった学生たちは、むしろ止まっている演技を教えた方が良いのではないだろうか」

 

世阿弥は能の演技を「せぬところが美しき」と言いました。

何もせずに止まっているところが美しくなければ能は成り立ちません。

 

自分を殺して、ずっと立っている。またはずっと座っている。

これこそが、能らしいと言えます。

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せっかくだからこういう能らしさを、しっかり学んでほしいと思い、「竹生島」の前場もしっかりやらせることにしました。

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さあ、あと一週間で発表会です。



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2023年03月07日

2023シンガポール第2便 3

今日の稽古に、嬉しい来訪者がありました。
4年前の能のクラスの学生と通訳です。

シンガポールの演劇学校も、21年も教えているといろいろな人の繋がりが出来ました。
今の学校の先生には、21年前に指導した第一期生の学生もいます。

そういった人々が、こうして能のクラスに訪ねてくるのはとても嬉しいです。

稽古の後、学校の中庭にてお決まりのタイガータイムを開きました。

まず、4年前通訳をしてくれた、ヤグニャ。

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彼女はインド系シンガポール人ですが、日本が大好きな人です。
日本にも3年ほど暮らしたことがあり、日本人より日本人らしいシンガポール人です。

日本の古典芸能に造詣が深く、能も大好きなのだそうです。

「能の仕事が出来て嬉しい。というより、これって仕事かしら?」
と、喜んで通訳をしてくださいました。

今は、若手演出家としてシンガポールで大活躍です。シンガポールの新聞の演劇賞にノミネートされたりしています。

ちなみに、私が着ている「Oh Noh お能」というTシャツは、彼女の友人のシンガポール人がデザインしたシャツです。その友達も、とても日本びいきだそうです。
限定品を、学校のスタッフからいただきました。


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続いて、2004年からこの学校の活動を、ずっと注目している日本人の栗田さんと、4年前にオーストラリアからこの学校に留学していたサミュエルです。

栗田さんは、2004年のころは、インドの演劇を研究していた学生でした。
インドの役者の友達がこの学校で学んでいるので、能の発表会を見に来てくれたのでした。

それ以来、シンガポールでも東京でも、ちょくちょく会っています。
思えば長い付き合いです。

今は、大学の先生をしていますが、ちょうど研究のためにシンガポールに滞在していたので、学校に遊びに来てくれました。

サミュエルは、日本好きのオーストラリア人です。
去年の夏にも、同じく4年前の学生のインド人と日本に来ていました。

東京で能楽堂に招待して、一緒に食事をしました。
シンガポールでいつも飲んでいるタイガービールではなく、アサヒビールを飲んだので、「タイガータイムではなくアサヒタイムだ」と言って大喜びでした。

その時、栗田さんと意気投合してすっかり仲良しになりました。

サミュエルは絵が得意で、学校の扉にこんな絵を書いて、それを置き土産にオーストラリアへ帰ったのです。
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腕には、こんな彫り物をしています。

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続いて、4年前の学生のリエンです。

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向かって左がリエン、右が今回の学生のユアン・チーです。
彼女たちは今、ルームメイトだそうです。
4年前の話に花が咲きました。


楽しいひと時でした。

おまけ
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気が付いたら、タイガービールの箱で能面を作っていました。

これが本当のタイガーマスク。




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2023年03月05日

2023シンガポール第2便 2

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シンガポールで学生に能の指導を始めて3週間が経ちました。
シンガポール生活にもすっかり慣れました。

毎回シンガポールに来ると驚くのが、その成長ぶりです。
どんどん進化し、洗練された都市になっています。
21年前は2路線しかなかった地下鉄は、今は7路線あります。しかも、年々延長されています。

そして物価の上昇ぶりにも驚きます。

初めてシンガポールに訪れたのは、21年前でした。
その時は、「ああ、シンガポールは何でも安いなあ」と思っていました。

それが10年位前から、「もう、日本で買うのと変わらないなあ」となり、

今回は、「シンガポールは何でも高くて、とても買い物なんか出来ない」
に変わりました。

そもそもの物価高に加えて、最近の円安が大きく響いています。

4年前まで、1シンガポールドルは70円位でした。それが今は100円位します。
例えば4年前3ドルのものが、今4ドル位に値上がっていたとします。
4年前は210円位で買えたものが、今は400円します。

感覚的に、4年間で2倍くらい物価が上がっている感じです。

初めて来た20年前などは、よくガイドブックに載っているようなレストランに行ったりしましたが、今は、現地の人がよく行くホーカーズ(屋台村)にしか行きません。

ホテルも学校もリトルインディアというインド人街にあるので、食事はインドカレーばかり食べています。
最初は、珍しくて色々食べましたが、最近はさすがに食傷ぎみ。
シンガポールのローカルフードを食べるために、ちょっと遠くのホーカーズまで遠征することもあります。


南国の太陽がさんさんと降り注ぐ常夏の楽園のイメージですが、今は雨季なので雨ばっかり降っています。
雨季とは言うものの、そんなに毎日雨ばかり降るものではありません。それに、南国特有のスコールは、ざっと降ってはすぐやみます。日本みたいにシトシト一日中雨が降っているわけではありません。

しかし、最近は異常気象だそうで、毎日雨ばっかり降っています。今週太陽をほとんど見ていません。
かなり激しい雨が、終日降っています。「こんなこと珍しい。経験したことない」と、シンガポール人も言っていました。


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今週の天気はこんな感じです。にわか雷雨という天気予報が、けっこうおかしいです。

見ての通り、最近は30度を超えることもなく、35度を超す東京の夏に比べると、涼しくて過ごしやすい毎日です。
朝晩は、半袖だとちょっと肌寒さを感じます。
半袖しか持ってきていないので、少々困っています。


3週間も稽古しているので、学生たちとも打ち解けてきました。
最初は、髭顔のインド人や発音の難しい中国系の学生やフィリピン人など、なかなか区別がつきませんでしたが、今はあだ名で呼んだりします。

稽古後に一緒に飲む機会(タイガータイム)も増えてきました。

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2023年03月01日

2023シンガポール第2便 1

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再びシンガポールに来ています。
3日間空けていただけです。宿泊しているところは、2か月契約のホテルなので、荷物も置きっぱなしです。

学生たちは、早くも3月15日の発表会に向けて、能の稽古をしています。
例年は、能「邯鄲」「紅葉狩」の2曲に取り組むのですが、今年は人数も多いので、もう1曲「竹生島」にも挑戦します。

急ピッチで稽古を仕上げています。

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能「紅葉狩」と「邯鄲」は、配役を変えて色んな学生に経験させています。
かなり難しいことをやらせていますが、学生たちは頑張ってついてきています。

今回の稽古は、3日間の中断をはさみましたが、5週間ほぼぶっ通しで私がお稽古を担当しています。
前半の3週間は、観世喜正先生が基礎をしっかり教えてくださいましたので、私はいきなり応用編として能の稽古を絶え間なく取り組んでいます。

なかなか上達してきました。


明日から、2週間後に迫った発表会に向けて、総仕上げの稽古です。
能の配役も決めて、実践的に稽古します。


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2023年02月26日

東京にて

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日本に3日間の滞在です。

寒いのが苦手な私は、この寒さに嫌気がさしています。
でも、よいことも見つけました。

寒さにふるえる中、暖かい布団に潜りこんだ時のぬくもり。
こんなに幸せな瞬間はありません。

この感覚は、常夏のシンガポールでは味わえないものです。


今回の帰国2日前に、お世話になった方の訃報を受けました。
タイミングよく、告別式に参列することが出来ました。


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2023年02月22日

2023シンガポール第1便 6

シンガポールに来て10日たちました。
日曜日は学校がお休みでしたので、9日間稽古しました。

かなり上達してきました。

若い役者志望の学生なので、やはり抜群にセンスが良い。
それに、今回は色んなことを既に学んで技術の高い3年生と卒業生も稽古に参加しています。
例年のように1.2年生だけより、レベルが相対的に上がっています。


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能面を着けて、能「邯鄲」の稽古を始めています。
なかなか様になっています。

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能面の狭い視界にも徐々に慣れてきたようです。


そんな中ではありますが、私は明日に一度日本に戻ります。

といっても日本に滞在はわずか3日。すぐシンガポールに行きます(帰ります?)。
25日(土)は国立能楽堂主催の若手能「杜若」に出演し、26日(日)は九皐会若竹能「野宮」「葵上」に出演します。
そしてその申合が、金曜日にまとめてあります。申合を含めると、3日間の間に6つの能に参加して日曜日の夜にまた出発です。
今度はシンガポールに3週間滞在します。

つかの間の日本で、英気を養いたいと思います。


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2023年02月18日

2023シンガポール第1便 5

昨日の日記では、学生たちと飲んで良いものか悩んでいると書きました。

学生たちは、どうも先輩から、「能の先生は、稽古が終わると、Tiger Timeと言って楽しくビールを飲むらしい」という情報を聞いているようで、しきりに「先生、Tiger Timeはいつやるの?」と聞いてきます。

飲むといっても、どうせ風通しの良い学校の中庭で飲むんだし、あまり気にしない方がよいかな。

そう思った私は、初めての週末の稽古の後、Tiger Timeを開きました。

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学生たちは、待ちに待ったという表情で嬉しそうです。
私も、学生たちといろいろ会話が出来ました。

稽古では見れない学生の素顔が見れて、楽しかったです。


ビールがすすむと、Tiger Timeいつも通りの盛り上がりをみせます。

突然、ギターを弾いて歌を歌う者もいます。

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そのうち、オーストラリアの縦笛とアフリカのドラムも登場して、何やら不思議な音楽会が始まりました。

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こういう集まり、楽しいですね。
これからもちょいちょい開きたいと思います。

飲食は基本的に野外でおこなうシンガポールの風習は、感染症対策には良いことです。



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2023年02月17日

2023シンガポール第1便 4

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先日の日記に書きましたが、2月13日より、シンガポールでは新型コロナウイルスの規制は全て解除されました。

先週までは、電車やバスなど公共交通機関に乗るときはマスクが必要でしたが、今は必要ありません。
街中では、マスクをしている人は少数です。

私がコロナの話をすると、「たいへんだったよなあ」などと、過去形で語ります。
シンガポールでは、コロナはもう過去のものという認識のようです。

日本で読んだ新聞記事によると、シンガポールではすでに9割の人がコロナに感染しているので、集団免疫が出来ているそうです。
まだ4分の1の人しか感染していない日本と、大きく違うのはその点です。

もっとも、シンガポールでも今でも日に数百人は感染者が出ているそうです。
東京23区ほどの広さに570万人が住んでいるシンガポールという国の規模を考えると、そんなに少ない感染者ではありません。

しかし、土地も資源もないこの国は、外国から人とモノとカネを集めなければ立ち行かないのでしょう。シンガポールでは、完全にウィズ・コロナの方向に舵をきっています。

シンガポールでも、去年の夏までは世界有数の厳しい規制が引かれていたそうです。
ロックダウンされ、街には人通りが消えたそうです。

そんな国が、半年後はこんな風になっています。
日本も、そのうちこのようになっていくのでしょう。


そんなシンガポールにいると、コロナのことはつい忘れてしまいます。
街に食事に行くときは、マスクはせずに外出します。
基本的に食事は一人だから、誰とも会話しません。食事はホーカーズという野外の屋台村で食べますので、風通しもよく、換気はばっちりです。確かにマスクをする必要性は感じません。

マスクなしで外出すると、最初は何だか罪悪感を感じましたが、すっかり慣れました。

稽古中は、最初はマスクしていました。しかし、だんだんしないことも多くなってきました。
なにせ、学生は誰もマスクをしていません。

謡を謡うときはマスクをしますが、仕舞などで動くときは外すことも多いです。
連日30度を超える真夏のシンガポールですので、暑苦しいのです。

ふと思います。学生は誰もマスクをしていません。
くっついて大声出して謡っています。
休憩中は、学生らしく密になってじゃれあっています。
私を含め、誰も体調悪い人はいません。
学生も私も、全員3回以上ワクチンを接種しています。(先週までは3回のワクチン接種証明がシンガポール入国のためには必要であった)

私は何のために、誰のためにマスクをしているのだろう。。。。


多民族国家で、多様性を重んじるシンガポールですから、日本のような同調圧力はあまりありません。
マスクをしていても、奇異の目で見られることはありません。
中には、自分の意志でマスク着用を通している人もいます。


そんな中、困ったのは学生たちと食事をすることです。

今まで、Tiger Timeと言って、稽古の後に学生たちとよく飲んでいました。
Tiger Timeでは、シンガポールのローカルビールであるTiger ビールをたらふく飲んで大騒ぎをします。

シンガポールに来て5日経ちますが、まだ一度も学生たちと飲んでいません。
「コロナ禍の状況で、多人数での飲食は控えた方がよいのかなあ」

ついそんな気持ちになってしまいます。


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2023年02月16日

2023シンガポール第1便 3

私が教えにいっているシンガポールの演劇学校「Intercultural Theatre Institute」は、とても特殊な学校です。

生徒は、アジア各国(たまにヨーロッパや南米)から集まってきた役者か役者の卵。
創始者は、故クオ・パオ・クンというカリスマ的演劇人です。

演劇学校なので当然、演技や発声の授業もあります。
音響や照明などのテクニカルな授業もあります。
それぞれ、シンガポールや海外から招いた講師陣が指導しています。

それだけだと、普通の演劇学校と同じです。特徴は他にあります。

この学校の大きなコンセプトは、アジアの古典演劇を学ぶことによって、アジア人の独自の演劇を創造することです。
そのために、必修科目として日本の「能」・中国の「京劇」・インドの「クーリヤッタム」・インドネシアの「ワーヤン・オン」を学びます。

アジア人が古代から大切にしてきた、表現方法や身体の使い方、また発声方法など学んで、それぞれの役者としての表現に生かしていくというのが最大の特徴です。
その一環として、彼らは朝8時から太極拳まで習っています。

これまで、様々な学生を指導してきました。
最初にこの学校を訪れて第1期生を教えたのは、2002年です。
それ以来23年。今回教えるのは13期生から16期生までの4学年です。


私が訪問するより前に、喜正先生が1月中旬から3週間以上滞在して、基礎をみっちり指導しています。
入れ替わりで私が、お稽古を2月中旬から引き継ぎました。

もう基礎は出来上がっているので、3月中旬に行う発表会に向けて実践稽古を積んでいます。

もう着物も自分たちで着れます。

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能面を着けてのお稽古も進んでいます。

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能「紅葉狩」で6人が三角形に並ぶところなんかも、こんなにきれいに立ち並びます。

窓から見えるヤシの木が、南国風情があって良いですね。

この後も、お稽古状況をちょくちょくお知らせします。



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