2024年02月18日

若竹能「大江山」 あと一週間

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若竹能では、技芸向上のため毎年テーマを決め、メンバー一同で懸命に取り組んでおります。

今年のテーマは、「山光水色(さんこうすいしょく)」です。
日本人が古来より大切にしてきた「山の風景と海の風景」の美しさを現わす言葉です。
まず2月は、「山の風景」にちなんだ能をお楽しみいただきます。

私は今回、京都の北にある大江山を舞台にした能「大江山」に取り組みます。
この能は、単純明快な鬼退治物です。正義の味方・源頼光(らいこう)が仲間とともに、大江山に棲む酒吞童子(しゅてんどうじ)という鬼神をやっつける爽快な物語です。

源頼光は、昔からおとぎ話などで、数々の鬼を退治したという伝説を残すヒーローです。能の中にも「土蜘蛛」「大江山」「羅生門」などが、源頼光の鬼退治を扱っています。

源頼光(ワキ)は仲間(ワキツレ)を4人従えて、酒呑童子(シテ)の退治に大江山に赴きます。
前場では、源頼光たちは道に迷った山伏のふりをして酒吞童子の棲家に入り込みます。
本当の山伏であると思った酒吞童子は源頼光たちにお酒をふるまい、自ら舞を舞いやがて酔っぱらって寝てしまいます。

前場では、山伏のふりをする源頼光とそれを疑わずおもてなしをする酒吞童子の言葉のやりとり、また酒呑童子の酒に酔いながら舞う舞が見どころです。

後場では、酔っぱらって鬼神の本性を現した酒呑童子と源頼光たちとの激しい戦いが見どころです。
源頼光は仲間を4人引き連れ5人で酒呑童子に立ち向かいます。
太刀を抜いて猛然と斬りかかる源頼光たちに、酒吞童子はあえなく倒されてしまします。後場の迫力満点の戦いをお楽しみください。

ワキ方が大活躍する能「大江山」。 
今回のワキは福王流の若宗家福王和幸師にお願いしました。長身で運動神経の良い福王和幸師は、頼光の役が良く似合います。
ワキツレも大事な役であるので、大阪から弟の福王知登師をお招きしました。福王兄弟との共演は、私自身とても楽しみにしています。

公演まで、あと一週間となりました。
しっかり稽古して万全に臨みたいと思います。


正面席は、おかげさまで完売となりましたが、脇正面席と中正面席は、まだ少し残席ございます。
是非ともお運びください。


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2024年01月31日

下甑島にて能楽公演

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朝、ホテルの窓を開けると素晴らしい朝日が飛び込んできました。

下甑(しもこしき)島というところに、文化庁学校巡回公演に行きました。

下甑島は、鹿児島県薩摩川内から、西に2時間半ほどフェリーで行ったところにある離島です。
離島の診療所の物語を描く「Dr.コトー診療所」という漫画や映画の舞台となった島だそうです。

人口1700人ほどの小さな島の中学校での学校巡回公演。

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このような離島での公演こそ、文化庁学校巡回公演の事業の意義があるように思います。

今まで、西表島や徳之島や壱岐島など、いろいろな島に行きました。
その中でも下甑島は、最も小さな島でしょうか。

離島の生徒さんたちにとって、生の能と狂言を学校の体育館で見ることが出来るなんて、素晴らしい体験となったことでしょう。
演者の一員としても、こういう場所で演じることが出来ることは貴重なことです。


それにしても、時間がかかりました。
朝、10時ころ自宅を出て、羽田空港から鹿児島空港まで2時間。鹿児島空港から薩摩川内港までバスで1時間半。薩摩川内港から下甑島までフェリーで2時間半。
下甑島のホテルに着いたのは19時でした。

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下甑島に着くと、真っ先に郵便局の車が出てきました。当然ですが、下甑島にも郵便局はあります。
仮に、東京から下甑島にハガキを出しても、63円で届きます。
郵便局の全国統一料金って凄いと、感心しました。

帰りは、フェリーの時間の関係でもっと時間がかかりました。
12時ころ学校を出て、自宅に着いたのは23時半。

長旅でしたが、清々しい気持ちです。


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2024年01月26日

マレーシアから来たれる

先日、香港で20年前に教えた学生と再会した話をしました。

 

やはり20年前に教えたマレーシア人の学生が日本に来ているそうです。

この前の香港の2人の学生もそうですが、20年も前に教えたのに、未だに覚えてくれていて連絡をくれることをとても嬉しく思います。

 

彼女はマレーシアの演劇界ではかなりの地位にいるようです。まあ、それだけ20年の月日は大きいのですが。

 

東京に来るというので、20年前に同じくシンガポールで教えた日本人の学生(今は国際的に活躍している役者です)と彼の奥様も交えて食事をしました。

 

食事の前に、矢来能楽堂にて観世喜正師に会いに行きます。

観世喜正師は、お稽古の合間に彼女と少し談笑。

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その後、神楽坂の和食の店に移動して昔話に花を咲かせました。

 
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20年前のことですが、本当に昨日のことのように思い出します。

私も本格的に外国人に能を教えたのは初めてでしたので、本当に印象深いです。



20年前、シンガポールで能を教えたマレーシア人と日本人と、東京で再会するって、嬉しいことです。こんな風にお互いに役者として活躍している中で、20年後に昔を思い出して笑い合っている状況って、とても良いなあと思います。

 



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2024年01月20日

深川江戸資料館「新春能楽初め」

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香港から帰ってはや6日。

東京のあまりの寒さにまんまと風邪をひきました。

 

香港は今が一番寒い季節と言っていましたが、それでも日中は22~24度くらいはあります。東京の10月くらいの気候です。

暑くも寒くもなく、ちょうど良い気温なのですが、向こうの流儀なのでしょう。室内はどこもかしこも冷房がガンガン効いています。寒くてたまりません。

 

そんな状態だったので、実は香港にいるときから後半は少し風邪気味でした。

ただ、香港で風邪を引くわけにはいかないと、日本から持ってきた風邪薬をこまめに飲んで、何とか乗り切っていました。

 

やはり日本に帰ってきて気が緩んだのでしょう。久しぶりの風邪です。

 

思えばコロナ禍の間、感染症予防を徹底していたおかげで風邪らしい風邪は引きませんでした。

だから、免疫力や抵抗力が無いのでしょうか、今までにないくらい重い風邪の症状です。

 

月曜日から調子悪くなり、今日は丸6日目なのですが未だに声がかすれます。

 

そんな中、恒例の深川江戸資料館にての「新春能楽初め」

 

45分の時間、出ない声を振り絞って懸命に謡い、お話いたしました。

 

香港に行っていたので、この後のスケジュールもパンパンです。

頑張って乗り切るぞー!!

 




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2024年01月13日

香港から 最終回

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「風姿花伝 能劇大師班」もいよいよ最終日。

今日は4時間の稽古のうち、最初の3時間はリハーサル。最後の1時間が発表会です。

 

最初、本番同様に23人のグループに分かれて通してやってみると・・・・

 

けっこうポロポロ間違えます。

今まで、少なくても6人くらいのグループにて稽古していたので、少人数だと面食らったようです。

人数が少ないので、当然ながら間違えると目立ちます。しっかり覚えなければキチンと舞えません。

こちらとしてみれば、まさにそれが狙いです。しっかり覚えて、自身の体に身に着けてもらいたいの、こういった機会をあえて設けました。

 

ひと通りリハーサルをやった後、15分間の自主稽古の時間を与えました。

参加者たちは、それぞれのグループに分かれて目の色を変えて稽古しています。

みんなお互いに教え合いながらの自主稽古です。発表会で良いパフォーマンスが出来るように必死になっています。


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ああ、この雰囲気良いなあ。

 

私は「風姿花伝 能劇大師班」の成果を確信しました。

 

 

自主稽古の後、もう一度リハーサルを行いましたが、先ほどよりは見違えるような出来栄えです。

もう心配ありません。

 

参加者たちはリハーサルの後、発表会までのわずかな時間も懸命に稽古しています。

やはり、彼らは役者です。舞台という目標にむけて一体となっていく様は、見ていてすがすがしいです。

 
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急に設定した発表会ですが、参加者の友人や借りているスタジオのスタッフなど何人かお客様も来ています。

お客様の前で演じる彼らは、何と生き生きとしていることでしょう。

良い発表会となりました。

 

 

フィナーレに全員そろって集合写真。

皆、良い顔をしています。


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その後、私と記念に2ショット写真を撮りたいと希望する参加者が長蛇の列。皆、私と思い思いのポーズをとって記念写真をとり、喜んでくださっています。

その行列を見て、「ああ、香港に来てよかったなあ」と、しみじみと思いました。

 

 

終了後は、近所の香港料理の店で打ち上げ。

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夜遅くまで、ビールを飲んで語り合いました。楽しい時間でした。

「風姿花伝 能劇大師班」を、やり切った充実感でいっぱいでした。

 

シンガポールでも毎回そうなのですが、長い時間を共にした参加者たちと別れるのは寂しいものです。

また会えるかなあ。

 

幸い、この能ワークショップは好評であったそうで、主催者の方からまたぜひ開催したいとのお話をいただきました。

きっと、また香港に来ることになるでしょう。

再会を約束して、香港を後にしました。

再見!!!




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2024年01月12日

香港から 8

香港での能ワークショップ「風姿花伝 能劇大師班」も、9日目です。いよいよ大詰めとなってまいりました。

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7日目で「鶴亀」「羽衣」「屋島」を終えた参加者は、8日目に3曲の総復習をしました。

最初はとても苦労した「鶴亀」の仕舞をスイスイ舞っている姿に、参加者の成長が見られます。

 

8日目の総復習の後、最終日の発表会で舞う仕舞を一曲選んでもらいました。最後の2日は発表会に向けての稽古です。

 

9日目の今日、まだまだ仕上がりには不安がありますが、ここでちょっと息抜きもかねて能面体験をしました。

能のエッセンスを学ぶにあたって、能面を着けることは欠かせないことです。

でも、「ただ単に着けてみました」という体験講座の参加者みたいなことはしたくありませんでした。

 

能の構えも歩き方(すり足)もある程度固まり、仕舞の動きもしっかり覚えた今なら、良い経験が得られると思います。

 

最初に、持ってきた能面の紹介して説明しました。

参加者は、食い入るように見ています。

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そしていよいよ、能面の体験です。まずは、着けるにあたっての心構えと作法を教えます。

「能面は、能役者の命であり魂がこもっています。心して丁寧に取り扱ってください」

こう言うと、神妙な顔で能面を取り扱っています。

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いざ、能面を着けて仕舞を舞わせてみました。


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なかなか、上手に動ける人もいれば、完全に迷子になってしまう人もいます。

参加者をいくつかのグループに分けて2回ずつ体験しました。

2回目は、慣れてきて結構対応してきていることに驚きました。

 

参加者にとって、貴重な体験であったと思います。



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2024年01月10日

香港から 7

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香港での能ワークショップ「風姿花伝 能劇大師班」も、7日目を迎えました。

今日で3曲目の「屋島」を仕上げました。
この7日間で「鶴亀」「羽衣」「屋島」と、3曲も稽古できました。これは驚異的なペースです。

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ローマ字で作った特別謡本で、キチンと謡の稽古もしています。
全く分からない日本語の謡を、なかなか立派な声で謡っています。

シンガポールでも感じましたが、演劇をやるにあたっての基本的な身体技術はあまり変わらないと思います。

参加者は全員演劇に関わっている人です。中にはかなり有名な役者や舞踊家もいるようです。
そういった人たちは、やはり演劇をやるにあたっての基礎がしっかり定まっています。

普段から発声トレーニングをしているから、声は立派ですし、身体技法をしっかり学んでいるので仕舞の構えも様になります。

少し教えれば、どんどん覚えていくので、たいへんに稽古のしがいがあります。

さあ、「能劇大師班」もあと3日になってきました。
この3日間で、今まで稽古した3曲をしっかり復習して、最終日の発表会に臨みたいと思います。


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2024年01月08日

香港から 6

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月曜日も、ワークショップはありません。

どう過ごそうかと思っていたら、Wahwahからお誘いがきます。

「先生が行きたいところに連れていきます」

街中は一人で行けそうなので、郊外のお寺に行くことにしました。

最寄駅から25分ほどケーブルカーに乗り、山頂に行きます。

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このケーブルカーは、床がガラスになっていて迫力満点。空を飛んでいるような気分になります。

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香港の仏教寺院「寶蓮禪寺」

ここには、世界最大の野外座仏の天壇大仏があります。
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とりあえずお約束の手乗り大仏
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お寺の横には、「心経簡林(サムキンガーンラム)」というパワースポットがあります。
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仏の教えを刻んだ38本の木柱が、圧倒的に語ってきます。


「大仏の他に、行きたいところないですか」と聞かれたので、

「何かエンターテインメントが見たい。できれば中国オペラがいいなあ」
とリクエストしたら、
「今日は月曜日だから難しいなあ」

と言いながらも、懸命に調べてくれました。

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香港の中国オペラの情報は、なあなか日本語では出てこないので、助かりました。

鑑賞したのは「花田八喜」という広東オペラ。
勘違いからおこるコメディでした。

台詞は全く分かりませんが、隣でWah Wahが説明してくれるので、だいたいのストーリーは分かりました。

とにかく、声が美しく所作がキレイ。

能もそうなのですが、言葉が分からなくても歌と踊りで楽しめるのが歌舞劇の良いところです。

アーテンコールは写真を撮っても良いそうです。

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昨日に引き続き、香港の休日を堪能しました。

この二日間、日本人観光客がまず行かないであろう、長洲島、郊外のお寺、地元の人が楽しむ広東オペラと、深い観光が出来ました。
香港人の案内が無いと無理だったでしょう。

Special Thanks,  Wahwah &  Melissa.


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2024年01月07日

香港から 5

香港のワークショップ「風姿花伝 能劇大師班」、日曜日と月曜日はお休みです。
休日を満喫いたしました。

20年前の2004年にシンガポールの演劇学校で指導した学生の中に、Melissa(メリッサ)とWahwah(ワーワー)と言う2人の香港人がいました。
今は香港で演劇をやっている2人と久しぶりに香港で再会しました。

まず、メリッサが住んでいる長洲(チョンチャウ)島へ行きました。
長洲島は、香港島からフェリーで1時間ほどかかる離島です。香港のビーチリゾートの地のようです。

香港と言えば高層ビルが立ち並ぶ、金融と経済の街というイメージでしたが、街中を離れると自然豊かな地もたくさんあります。

フェリーで長洲島まで行くと、今度は漁船のような小さな船に乗って島の反対側へ行きました。

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舟の船頭さんや道端の露天のおばちゃんと、気さくに話すメリッサを見て驚きました。

20年前のシンガポールでは学級委員のような立ち位置のリーダー的存在だった彼女の今の姿をみて、微笑ましく感じました。

長洲島は小さな島ですが、それでも2万5000人ほど住んでいるそうです。離島としては結構な人口です。
その割に、風景はどこから見ても「のどかな漁村」

島には車すらないそうです。確かに道も狭くとても車が走れそうな感じはありません。
それなりに店が立ち並び多くの人が普通に生活しているのに、いまどき、車が走っていない街があるというのが驚きです。

島人達はみんな気さくに話しかけてきます。
吉野さんという日本人の方にも会いました。この人がお話し好きで、長洲島の話などを延々と語ってくださいました。
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こんな暖かい気持ちの島は、日本でもなかなか無いように思います。店に入っても、見知らぬ人がどんどん、話しかけてきます。

ああ、メリッサって良いところで暮らしているんだなあと、暖かい気持ちになりました。

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まず、島をハイキングです。
メリッサとワーワーと、もう一人の男性は私の通訳をしてくださっている香港人の方です。こんな風にプライベートなお出かけにも同行してくださって、感謝です。


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途中からメリッサの娘も合流しました。お嬢さんとは、11年前にシンガポールで会っています。その時はほんの小さな子供でしたが、今は15歳になり立派なレディです。

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途中、疲れたら海を見ながらビールを飲みます。

うう、至福のひと時。

知らないおじさんと会話してもしょうがないのでずっとスマホをいじっていメリッサの娘さんも、イマドキっぽい。

夜は、地元の海鮮料理の名店へ行きました。416956371_340669995428980_2585046106149114774_n

右端の女性は、ワークショップの参加者のBonni(ボニ)という方です。なんとこんな遠くの離島から毎日ワークショップに参加してくださっているそうです。
平日のワークショップの終了時間は22時30分です。
彼女は22時40分のバスに乗ってフェリー乗り場へ行き、23時30分のフェリーに飛び乗って帰宅しているそうです。

どうも彼女は香港ではかなり有名な女優でありダンサーだそうです。


とても良い一日を過ごしました。

彼女たちに能を教えたのは20年前です。
お互いに年と取ったねえと、語り合いました。

彼女たちは20年前のことをよく覚えていました。
「能を勉強して学んだことは、今でも体の中に残っている」と言ってくれます。「演劇の創作活動に役立っている」と、嬉しいことを言ってくれます。

思えば、20年前は私も必死でした。
能楽師として独立したてのペーペーでした。懸命に能を指導をしました。

その年はいろいろあって、通訳が授業にいませんでした。必死に片言の英語で授業を乗り切ったことも良い思い出です。

2002年に初めてシンガポールの演劇学校に指導に行きましたが、その時はサブ的な指導しかしませんでした。
2004年の学生は、私が初めて本格的に指導した人たちなので思い入れも格別です。学生のアパートにまで行き、ビールを飲んで語り合ったのも良い思い出です。

その同窓会が、20年後に香港で実現するなんて、感慨深いものがあります。

長年、シンガポールで能を指導してて良かったなあ。
なんだか、いろいろ報われた気分です。


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2024年01月06日

香港から 4

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香港での能ワークショップも、いよいよ半分が終わりました。
この5日間で仕舞「鶴亀」「羽衣」を終え、今日から3曲目の「屋島」に入りました。

参加者は、プロの役者や役者の卵たちです。身体能力に優れ、モチベーションも高いようです。すぐ覚えていきます。
ただ、参加者が29人と大所帯なので、細かなことを指導するのは大変です。参加者の中を回って注意するんのも一苦労です。

そんな中、一生懸命取り組んでいます。


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最初は、皆で能の映像を見ることから始めました。能という演劇がどういう特徴を持っているのかは、映像を見てもらうことが一番てっとり早いですね。

そして、能の構えとすり足から丁寧に教え、徐々に仕舞の型を教えていきます。
このあたりの流れは、日本で普通のお弟子さんに教えるのと一緒です。

構えやすり足は、能の稽古の基本なのですが、何度かやらせるとそれなりに様になっていきます。
やはり、役者なんだなあと感心します。

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「鶴亀」「羽衣」は、基本の動きが多いのですぐにマスターしていきましたが、今日から入った「屋島」は、扇を盾や太刀に見立て、複雑な動きをするので、四苦八苦しています。
まあ、3曲目にいきなり「屋島」を稽古させるのも、かなり高いハードルのように思います。

ただ、能の色んなエッセンスを学んでほしいので、あえて高度なカリキュラムを組んでいます。

あと1週間でいろんなことを教えていきたいと思います。


さて、ワークショップも1週間が過ぎ、参加者の顔と名前も覚え、徐々に打ち解けてきました。
29人もいるので、顔と名前を覚えるのは難しいことだと思っていましたが、意外にすんなりでした。
ほとんど日本人と変わらない様相の中国系の人達だから覚えやすいのでしょうかね。

平日は、22時30分まで稽古しているので終わった後はすぐに帰りますが、土曜日の稽古は18時に終わります。
参加者の有志たちと、食事に行きました。


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最初は、ポウチャイ飯という、釜めしのような香港料理の名店に行きました。

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その後は、若者が集まる生ビールのお店。
西洋風のバーなのですが、店のカウンターの上には「福禄寿」と書いてあるのが香港らしいです。


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2024年01月03日

香港から 3

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香港にて、能の稽古に励んでいます。

さて、まず香港で能のワークショップを開催することになったいきさつです。

2019年の12月頃、一通のメールが届きました。
ウィリアムと名乗る香港の方からの突然のメッセージに最初は警戒しました。

メッセージにはこう書かれていました。

「自分は、香港でアンディとウォルターに演劇を習っています。彼らからよく能について聞いています。私は香港で演劇トレーニングのワークショップを企画しています。あなたにぜひ香港に来てほしい」

アンディとウォルターは、私が2002年にシンガポールの演劇学校「Intercultural Theatre Institute」で能を教えた学生でした。20年前は、若い役者の卵でしたが、現在は演劇学校で講師をするほど立派な役者になっています。

20年以上シンガポールで能を教えてきたことから、こんな風に他の国まで広がったことを嬉しく思います。

私は二つ返事で了承し、具体的な日程調整を行いました。
当初は、2020年の秋ごろという話でしたが、とても2週間も香港に行く日程を空けられません。

ダメもとで聞いてみませした。「年末年始なら、日程が取れます。でも、その期間だと人があつまらないですよね」

返事は驚くものでした「香港では、新暦の正月は別に何の変わりはない。ワークショップを開催することに何の問題もない」

そうか、香港も旧正月を祝う文化なんだった。

そういう訳で、いったんは2021年の正月に開催することが決まりました。
しかし、コロナ禍によりやむなく延期となり、ようやく3年遅れで今回の訪問に至ります。

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ここ香港でも能に対する注目はそれなりにあるようです。30人の定員は、すぐ埋まったそうです。

そんなこんなで、1月2日から、2週間(10日間)の能のワークショップが、いよいよ開催されました。

外国人に能を教えることは、シンガポールでのノウハウがあるのでスムーズです。
ただ、演劇学校で教えていたシンガポールと違い、今回は一般募集から応募してきた参加者を対象に指導します。それなりの難しさがあります。

学校では、ある程度生徒間のコミュニティが出来ているので、そこにうまく入っていけば、稽古はやり易かったです。
今回は、中には元からの知り合いもいますが、お互いに初対面の人たちが大半のようです。

そんな中では、まずはワークショップのクラスの雰囲気づくりから始めなければなりません。
ただ淡々と能の稽古をしても面白くありません。
楽しく稽古できるように、様々工夫しなければなりません。

そうして、一人でも多くの参加者に「能って、面白いなあ」と思ってもらいたいなあと思います。

このワークショップの参加者の中から、次のアンディとウォルター(今回私を招待してくださった方の先生)が出てきてほしいなあと思います。


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香港から 2

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元日に、ビクトリア湾でブルース・リーの銅像など見ながらのんびりしていると、スマホから緊急速報が流れてきた。

日本の石川県で震度7の大地震が起こっているというニュースでした。

ここ香港でも大きく報道されています。

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中国国民は死傷者はいないって、書いてあるっぽい。

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「日本の地震の後、韓国と北朝鮮とロシアに津波警報が出た」かな? 津波は広東語では、海嘯なのですね。
ロシアは露ではなく、俄のようです。ロシアとウクライナの戦争のニュースの見出しに、「俄烏」とよく出てきます。ウクライナは「烏」なのでしょう。


最初は、自分の国に関する報道が出るのはどこも同じようです。
アナウンサーが何言っているか全くわかりませんが、中国語(広東語)の見出しに漢字が出るので、意味が何となく分かります。

翌日になると、徐々に被害状況が分かってきます。IMG_4580


記者が現地入りしているようです。
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この記者、いろんな人にインタビューしていました。
広東語のテレビから日本語が聞こえると、はっとします。


1月2日の飛行機事故も大きく報道されていました。
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「天災と人禍が襲ってきて、岸田政権は二つの剣に遭遇した」などという意味だと思います。
なかなか、すごい見出しです。

現地の人も、私に心配の声を寄せてきます。

でも、ニュースだけ見ているとなんだかピンときません。
元日から2日にかけて、日本のテレビは震災報道一色であったと聞いています。

ここ香港では、まず習近平の新年のあいさつのニュースがトップ。
続いて、ガザとウクライナ。
そのあとに日本の地震と飛行機事故。

こんな感じでした。

色んなニュースで「なんだか中国の習近平がやたら出てくるなあ」と思っていましたが、よく考えたら、香港の国家元首は習近平なのですね。


とにかく、日本の正月は激動であったと聞いています。
犠牲になられた方、被害に遭われた方、たいへんな正月であったとお察しします。

外国にいても、心が痛みます。



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2024年01月01日

謹賀新年 香港から

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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さて、今年の年越しは香港でした。考えてみれば、年が変わる瞬間に日本にいなかったのは初めてです。
1月1日の早朝にロンドンへ出かけたことはありましたが、日付が変わる瞬間を海外で迎えるのは初めてです。

外国の年越しはどうなのか、少し楽しみでした。

ただ、ちょっと拍子抜け。
日本では一大イベントのお正月ですが、外国では様子が違います。

西洋ではクリスマスを盛大に祝いますので、正月はおまけ程度。実際に、元日にロンドンに行ったときは、正月気分は全くありませんでした。

日本以外のアジア諸国では、基本的に旧正月を祝います。太陽暦のカレンダーの正月は、ただ年が変わるだけの日です。
1月4日から一週間シンガポールへ滞在したことがありますが、正月気分は皆無でした。


さあ、香港ではどうでしょう。。。。 予想通りでした。

そもそも、1月2日から2週間「能のワークショップ」を開催、というのが日本の感覚ではありえません。
正月早々、ワークショップを開催できることが、香港の正月事情を物語ります。

大晦日に香港に着いて、現地スタッフと打ち合わせと歓迎の食事会をしました。

まずホテルのロビーでは
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クリスマスデコレーションで迎えられました。
朝、正月飾りあふれる日本を出て、このデコレーションで迎えられると不思議な感覚になります。

街へ出ると、まさに聖夜。
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いやあ、キレイでした。

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路上パフォーマーも、クリスマスソングを歌っています。


ただ、全く正月気分が無いかというと、そんなこともありません。

日付が変わるときのカウントダウンイベントは、結構盛大に行われます。
大晦日の夜は、長旅と打ち合わせと歓迎会で疲れ果てたので、街へは出ませんでした。テレビでカウントダウンイベントの様子を見ました。

最初の写真は、テレビ画面を写真で撮りました。
ビクトリア湾で盛大に花火が打ち上げられている様子を生中継していました。

元日は、香港でも休日です。昼下がりに街を散策しました。
尖沙咀(チムシャツォイ)という香港一の繁華街では、流石に正月イベントが行われていました。

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ビクトリア湾を背に、正月祝賀のパフォーマンスをやっていました。

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正月なのか、それとも辰年だからなのか分かりませんが、龍のダンスのようなパフォーマンスもたくさん行われていました。ビクトリア湾の高層ビルを背に繰り広げられる龍の踊りは、なかなか見ごたえありました。


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2023年12月31日

御礼 2023年

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2023年も大晦日を迎えました。
今年の年越しは、香港で迎えます。

写真は、百万ドルの夜景と言われる香港の夜景です。ビクトリア・ピーク(太平山頂)からみたビクトリア湾です。左上のビルに「GOODBY  2023」のライトアップが見えます。


今年もいろいろなことがありました。

2月と3月は、4年ぶりにシンガポールの演劇学校へ能の指導へ行きました。
久しぶりに会う、シンガポールの懐かしい風景と人々。良い経験をさせてもらいました。

長男は高校2年になり、次男も高校に入学しました。
2人とも、野球部で毎日汗を流しています。勉強もそれなりに頑張っているようです。

8月は、6年ぶりの深川八幡祭の本祭りでした。
能奉納も、4年ぶりに囃子方と地謡の先生を招いて通常通り開催出来ました。

10月には富士ロゼシアターで、11月には神谷舞台で、社中のおさらい会も開催することが出来ました。
去年の矢来能楽堂での茉莉会大会に続いて、久しぶりのおさらい会です。和気あいあいとした雰囲気で、とても良い発表会でした。


今年はお客様の前で5番の能を演じました。

6月17日 「松風」    桑田貴志 能まつり
8月14日 袴能「嵐山」  深川八幡祭 能奉納
9月18日 「絵馬」    緑泉会
11月21日 「羽衣」    文化庁巡回公演
12月10日 「玄象」   九皐会

11月10日に行った非公開のの稽古能「玄象」を含めると6番です。
これで、私が能楽師になって演じた能は通算151番となりました。
11月の文化庁巡回公演が、150番目の能でした。


香港にいると、年越しの気分ではありません。
ただ、15日間お世話になる演劇集団「流白之間」さんのスタッフさんたちが、私の歓迎会を開いてくださいました。

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明日から、ちょこちょこと香港での様子を書いていこうと思います。


kuwata_takashi at 23:30|PermalinkComments(0)

香港へ

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今年の年越しは、香港です。

今日大晦日から、明年1月14日まで香港にて能の指導をしてきます。

早朝の羽田空港はスムーズに出国手続出来ました。

どのようになるか、随時この日記で紹介しく予定です。


kuwata_takashi at 08:26|PermalinkComments(0)

2023年12月26日

仕事納め

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12月3日に、佐久間二郎さん主催の会で、国立能楽堂に行きました。
神宮外苑のイチョウ並木が綺麗だったので、思わずパシャリ。


今日は、今年の仕事納めでした。
今年は例年より少し早く、26日の沼津のお稽古が最後の仕事でした。

沼津の稽古場から見える庭の紅葉もなかなか素敵です。

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神宮外苑も、沼津稽古場も今ではすっかり葉が落ちて冬の装いとなってきました。

例年だと年末年始は、大掃除とたまった事務仕事をしながらも、家族とゆっくり過ごすのですが今年は違います。

12月31日から明年1月14日まで、香港に行ってきます。

私は、シンガポールの演劇学校に20年以上も能の指導に行っております。
その学校の第1期生のAndyという生徒の関係の人から、香港でもシンガポールのように能の指導をしてほしいと頼まれました。

本来は2021年に行く予定でしたが、コロナ禍により3年の延期を経て、この度ようやく実現することになりました。

さあたいへん。
30日までに、大掃除と事務仕事を片付けなければなりません。


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2023年12月10日

「玄象」御礼

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観世九皐会「玄象」、無事に終わりました。
今年最後のシテの舞台です。なかなか楽しめた舞台でした。

この能の後シテは村上天皇です。観世流の現行曲で、実在の天皇陛下をシテとする能は「玄象」だけです。
琵琶の名手として名高い村上天皇を演じるなんて、何とも恐れ多い気分です。

この能で、村上天皇はさすが実在の天皇陛下らしく、人間を超えた存在として扱われます。
村上天皇が海に向かって「いかに下界の龍神確かに聞け。獅子丸持参仕れ」と命令すると、龍神が獅子丸という琵琶の名器を携えて颯爽と現れ、藤原師長へ琵琶を授けると、勢いよく帰っていきます。

自分の一声で、海中から龍神が飛んでくるのを床几にかけて悠然と見送るシーンなど、たいそう気持ちの良い場面でした。

前シテは、村上天皇の化身である老人です。気品をもって謡い、所作をしなければなりません。

田子という天秤型の桶を持って現れますが、この桶の扱いがとても難しいのです。

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最初はこの格好から、


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この様に持ち替え、

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この様に桶を倒して海水をすくう型をします。
結構複雑な所作です。これを能面をつけてほぼ見えないまま持ち替えて型を決めます。
想像以上に難しい場面ですが、首尾よく出来ました。

また、前シテは琵琶をひく場面があります。
扇を開いて左手で持つだけで、琵琶をひいているように見せます。
能らしい演出だなあと思います。

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後場は、舞の名手でもある村上天皇が華やかなイケメン貴公子として登場します。

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優雅にエレガントに舞います。

この日のもう一番の能は「江口」でした。
「江口」で舞う序之舞と、「玄象」で舞う早舞は、型や動きがほぼ一緒です。
こういう場合、早舞の方を替の型でやることがあります。

今回、特別にお願いして替の型でさせていただきました。

替の型では、回転が増え、型も多くなります。舞に自信がない人は舞ってはいけないことになっています。
決して舞に自信があるわけではありませんが、替の型で舞うのは楽しいものです。

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早舞の最後の方で、両袖をキリリとはね上げるところなど、結構いい気分です。

琵琶と舞の名手と名高い、イケメン貴公子の村上天皇。
こんな美味しい役を演じられるのも、能の醍醐味です。


kuwata_takashi at 23:30|PermalinkComments(0)

2023年12月09日

九皐会「玄象」

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いよいよ明日、九皐会にて能「玄象」を演じます。
この日記に書くのが前日になってしまいました。

それくらいこの秋は怒涛の忙しさでした。

前日となった今日は、休息のため仕事をいれておりません。昨日申合も終え、精神的に少し落ち着きました。

「玄象」は、準九番習の大曲です。構成も複雑で演じにくい能です。
シテは村上天皇という、実在した天皇陛下です。そのことだけでもこの能の難しさが思い知らされます。

あすは、開き直って舞台を楽しみたいと思っています。

今年の九皐会のトリを務めます。さあ、頑張るぞ。


kuwata_takashi at 09:31|PermalinkComments(0)

2023年11月13日

深川能楽Salon

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8月に4年ぶりに開催した能楽入門体験講座「能楽サロン」
この度、復活第2弾の講演を行います。

11月23日(木祝)14:00~15:30 
(会場) 江東区文化センター 第3研修室

にて開催です。

舞台に立っている能楽師の立場から見た、能の見方、楽しみ方などを、実演を交えて楽しくお話したいと思います。
師匠から受けたお稽古の様子や、舞台の裏話など、「ここでしか聞けない」話が飛び出します。

今回は、琵琶の名器物語である能「玄象」を取り上げます。
実際に舞台で使用する能面や能装束なども、間近にご覧いただけます。

お申込みは、03-3643-0891 または shitashimu@hotmail.com
までお願いいたします。


kuwata_takashi at 18:40|PermalinkComments(0)

2023年11月06日

山梨へ行き、そして青森へ

昨日は、山梨市にて公演。

山梨出身の能楽師・佐久間二郎さんが主催する能公演です。
私は、能「羽衣」の主後見でした。

主後見とは、シテを補佐する舞台上の責任者。私も、たまにさせていただくようになりました。
舞台の成果は、シテと地頭と主後見の三角形でなりたつと、師匠はよくおっしゃいます。
緊張しました。

さて、山梨市で公演を終え16:21の中央線特急「かいじ」に乗りました。
このあと、JR武蔵野線を経由して大宮へ行き、そこで新幹線に乗り換え青森へ向かいます。

今日の青森公演のために前泊するためです。

新青森駅で新幹線を降りて、在来線に乗り換えて、青森駅に着いたのは、22時過ぎていました。
山梨の劇場を出て、6時間以上かかりました。

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22時をまわると、青森駅の人通りもまばらです。
こんな景色を見ると、やはり頭の中でこの歌が流れてきます。

「♬♬上野発の夜行列車降りた時から。青森駅は雪の中♪♪♪」

そうです、石川さゆりさんの「津軽海峡冬景色」が頭の中で何度もリフレインしています。

昔は、北海道の玄関口として栄え、ここから青函連絡船に乗ったそうです。駅の向こうに港が見えます。

「♬♬私も一人 連絡船に乗り♪♪♪♪」

かつては、船を待つ人たちで、「青森駅は雪の中」であっても、夜まで賑わっていたことでしょう。
青函連絡船は廃止され、新幹線が函館まで伸びて新青森駅が開業した今は、青森駅は落ち着いています。
「雪の中」どころか、20度を超える季節外れの暑さのようです。


今日は、青森市にて文化庁巡回公演でした。

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終了後は、八戸へ移動です。

明日は八戸にて文化庁巡回公演。
明後日は八戸市公会堂にて、昼夜と有料公演二回公演。

木曜日は始発で東京に帰り、10時から浦安でお稽古。

岡山から、山梨、そして青森、八戸。
本州を縦断しています。


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